読書記録2012
最近、一度読んだ本でも忘れていることが出てきて年を感じます。ひどいときは、新しく読む本だと思って、面白く読み進めていくうちに、何だか知っている気がしはじめて、読み終わる頃に、そういえば昔読んだことがあったと思い出すこともありました。 「常に新鮮な喜びが味わえてうらやましいこと」などと言われる状態です。そこで、新しく読んだ本を忘備録としてここに書いておくことにしました(平成14年3月開始)。「新しく読んだ」というだけで、別に新刊の本とは限りません。
「義経の冒険 英雄と異界をめぐる物語の文化史」 金沢英之著、講談社選書メチエ 平成24年11月読了
「御曹子島渡」という義経の冒険譚の成立を中心に考察した本です。理系の人間からするとかなり専門書に思えるのですが、これを1,785円で売れるというのはうらやましい。義経の威力もあるのでしょうけれども。
「光合成細菌の世界」 原島圭二著、共立出版 平成24年11月読了
書評を生物学関係の書籍の書評の所に載せておきました。
「緑と光と人間 光合成の探究」 宇佐美正一郎著、そしえて文庫 平成24年11月読了
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「光と緑の葉の秘密?光合成?」 ヴェ・エム・クチューリン著、科学普及新書(東京図書) 平成24年10月読了
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「光合成の謎」 ミ・エ・イヴィン著、現代教養文庫 平成24年10月読了
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「40年後の『偶然と必然』」 佐藤直樹著、東京大学出版会 平成24年9月読了
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「失われた化石記録」 J・ウィリアム・ショップ著、講談社現代新書 平成24年9月読了
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「化石の分子生物学 生命進化の謎を解く」 更科功著、講談社現代新書 平成24年8月読了
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「HSPと分子シャペロン」 水島徹著、講談社ブルーバックス 平成24年8月読了
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「授業づくりのための理科教育法」 左巻健男著、東京書籍 平成24年8月読了
教育学部の教員としては読んでみようかと思いました。なにしろ古本で30円だったので・・・。きっと講義で買わされた学生がすぐに売り払うんでしょうね。研究の分野で「これから考えていく必要がある」というとむしろ発展性を感じさせますが、教育の分野で同じことを言われると、今教わっている生徒がかわいそうなのでは、と思ってしまいます。
「陽だまりの彼女」 越谷オサム著、新潮文庫 平成24年8月読了
電車の中で読む本がなかったので恋愛小説を衝動買い。ちょっとエンディングが肌になじまない感じ。
「音楽の科学がよくわかる本」 岩宮眞一郎著、秀和システム 平成24年7月読了
ホールの設計から聴覚に仕組みまで非常に幅広く音楽を紹介しています。1ビット方式のデジタル信号というのをこの本で初めて知りました。
「トコトンやさしい発酵の本」 協和発酵工業(株)編、日刊工業新聞社 平成24年6月読了
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「壜の中の手記」 ジェラルド・カーシュ著、角川文庫 平成24年6月読了
変わった雰囲気を持った短編集で、面白く読めました。奇想天外なプロットもさることながら、ひとくせもふたくせもある登場人物が魅力的です。
「エントロピーから読み解く生物学」 佐藤直樹著、裳華房 平成24年6月読了
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「つぶやき岩の秘密」 新田次郎著、新潮文庫 平成24年6月読了
著者の新田次郎は山岳小説などで有名ですが、児童文学も書いていたのですね。主人公以外に子供が出てこない児童文学ですが、意外とビルドゥングスロマンの王道を行っている感じです。
「Q&A野菜の全疑問」 高橋素子著、講談社ブルーバックス 平成24年5月読了
野菜のさまざまな疑問を幅広く網羅していて、回答も非常にわかりやすく説明されています。植物としての野菜という側面はそれほど強くなく、「八百屋」の語源など、意表をついた疑問があって楽しめました。
「化学を楽しくする5分間?手軽にできる演示実験?」 日本化学会編、化学同人 平成24年5月読了
簡単な化学の演示実験プロトコール集です。無機・分析化学、有機・生化学、物理化学の各領域の実験が全部で60集められています。いかにも生徒の目を引きそうという実験から、理論的な背景がわかっていないと面白みがわからないだろうなと思わせるものまで様々ですが、いずれもよく考えられています。
「クイズ植物入門」 田中修著、講談社ブルーバックス 平成24年5月読了
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「コロボックルむかしむかし」 佐藤さとる著、講談社文庫 平成24年4月読了
コロボックルの物語の別巻扱いの6巻です。コロボックルの世界に伝わる昔話集という体裁で、本編のストーリーとは直接かかわりませんが、その世界観を別の角度から眺める役割を果たしています。
「小さな国のつづきの話」 佐藤さとる著、講談社文庫 平成24年4月読了
コロボックルの物語は4巻までは読んでいましたが、5,6巻が講談社文庫に収められたので読んでみました。懐かしい雰囲気を久しぶりに思い出しました。ただ、最後が駆け足でもったいなく感じました。
「ウェイクフィールドの牧師」 ゴールドスミス著、岩波文庫 平成24年4月読了
1766年、「小説」というジャンルが初めて確立されつつあった時代の小説です。確か、「若草物語」か何かに登場人物がこれを読む場面があって、興味をひかれて大昔に一度読んだのですが、今度新しい訳が出たので再読してみました。2語で説明すると「波瀾万丈」と「ユーモア」でしょうね。
「折口信夫古典詩歌論集」 折口信夫著、岩波文庫 平成24年4月読了
主に和歌の評論を集めた本です。折口信夫は明治20年に生まれて戦後まで生きた人ですが、これを読むと芸術を昔から今へと進歩するものだと考えていたようですね。その「近代」的な感覚が明治生まれを感じさせます。
「至福のクラシック」 一個人編、KKベストセラーズ 平成24年4月読了
クラッシックの解説本です。ムックというのでしょうか。130ページほどの小さな本とは言え、写真がたくさん入ったものを500円で売れるというのは、理系の人間からするとうらやましい限りです。
「光と水と植物のかたち」 種生物学会編、文一総合出版 平成24年3月読了
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「塩野七生ローマ人の物語スペシャルガイドブック」 新潮社編、新潮文庫 平成24年2月読了
「ローマ人の物語」のいわば写真付きダイジェスト版です。大河ドラマの総集編と同じで、元の本を読んでいなかった人にその魅力が伝わるかどうかはわかりませんが、様々な写真を眺めるだけでも価値があります。最後の著者のインタビューで、持って生まれたかに見える著者の記述のスタイルが意識的なものであったことが印象に残りました。
「異星人の郷 (上・下)」 マイクル・フリン著、創元SF文庫 平成24年2月読了
異星人が遭難して一時期中世ドイツに滞在していた、という設定のSFです。中世ドイツの描写が印象的ですが、異星人があまりにも人間臭いのがSFとしては物足りませんでした。相互受容が一つのテーマですから、あまり異質だと話として成り立たないという側面はもちろん理解できるのですが。
「新編どどいつ入門」 中道風迅洞著、三五館 平成24年2月読了
たまに吹かせる宗匠風が鼻につくけど名著です。
「音楽と文学の対位法」 青柳いづみこ著、みすず書房 平成24年1月読了
6組の作曲家と作家を取り上げて論じた本です。この手の本は、著者の視点のユニークさが命になることが多いのですが、その点では面白く読めました。よく資料を調べて書いてある印象を受けますが、その分、やや著者個人の演奏体験に根差す部分は印象が薄くなっています。
「だれも知らなかった「百人一首」」 吉海直人著、ちくま文庫 平成24年1月読了
「百人一首本」の一つですが、百人一首の解説が中心ではなく、成立や受容の歴史が主になっており、近現代における百人一首の取り上げられかたにページが割かれているのが特徴的です。一首の歌が、万葉集に乗っていた時と勅撰集に取り上げられた時と、百人一首の中の一つになった時では、別のとらえ方がされているという指摘は、当たり前なのですが、面白いですね。編集著作権の考え方に通じるものがあります。