読書記録2014

最近、一度読んだ本でも忘れていることが出てきて年を感じます。ひどいときは、新しく読む本だと思って、面白く読み進めていくうちに、何だか知っている気がしはじめて、読み終わる頃に、そういえば昔読んだことがあったと思い出すこともありました。 「常に新鮮な喜びが味わえてうらやましいこと」などと言われる状態です。そこで、新しく読んだ本を忘備録としてここに書いておくことにしました(平成14年3月開始)。「新しく読んだ」というだけで、別に新刊の本とは限りません。


「現代秀歌」 永田和宏著、岩波新書 平成26年12月読了
 永田先生が選んだ現代歌人百人の短歌のアンソロジー。この中で一首印象に残った歌を挙げろと言われたら、梅内美華子の「君は男だ」の歌でしょうか。

「異端の皇女と女房歌人」 田淵句美子著、角川選書 平成26年11月読了
 今年読んだ同じ著者の三冊目の本。改行の仕方をとっても、時代とともに変遷しているのが面白いですね。

「日本語の考古学」 今野真二著、岩波新書 平成26年10月読了
 同僚の先生が書いた一般向けの本を読んでみました。式子内親王を中心に据えて、女房歌人の歌とその作歌環境が論じられていて面白く読めました。一般向けの書籍なのでしょうがないのですが、本文の個々の記述と後ろにつけられた参考文献の対応関係がよくわからないのが少し残念でした。

「徳川家が見た幕末の怪」 徳川宗英著、角川oneテーマ21 平成26年8月読了
 田安徳川家の当主が書いた幕末もの。通俗的な内容ですが、最後の方にちらっと出てくる著者の思い現れた部分がいいですね。

「しくみと原理で解き明かす 植物生理学」 佐藤直樹著、裳華房 平成26年8月読了
 書評を生物学関係の書籍の書評の所に載せておきました。

「かなづかいの歴史 - 日本語を書くということ」 今野 真二著、中公新書 平成26年7月読了
 「百年前の日本語」が面白かったので同じ著者の本として読んでみましたが、事実の羅列が多く、一つ一つの事例について、結論を述べずに次に移っていくので、かなり読みにくい内容でした。

「キリンの斑論争と寺田寅彦」 松下貢著、岩波科学ライブラリー 平成26年6月読了
 書評を生物学関係の書籍の書評の所に載せておきました。

「「地球システム」を科学する」 伊勢武史著、ベレ出版 平成26年6月読了
 書評を生物学関係の書籍の書評の所に載せておきました。

「猫のパジャマ」 レイ・ブラッドベリ著、河出文庫 平成26年5月読了
 先年亡くなったブラッドベリの短編集です。ストーリーはさまざまですが、味わいはブラッドベリですね。その根底にあるのは心の揺らぎでしょうか。古い未発表作品と2000年代に入っての作品が混在していますが、扉の年号を見ないと、どれが古くてどれが新しいかがなかなかあてられません。若くても年をとっても、ブラッドベリはブラッドベリだということでしょう。

「創作の極意と掟」 筒井康隆著、講談社 平成26年4月読了
 以前の「文学部唯野教授」が文学理論を扱った小説とすれば、今度の本は創作の際に気をつけることを扱う、という形式をとっている。本の帯にあるように、これを実際の創作に役立てる人があるようには思えませんが、批評の世界におけるものの見方は参考になります。

「伝える極意」 長井鞠子著、集英社新書 平成26年4月読了
 会議での同時通訳の第一人者によるプレゼン術の本です。同時通訳の様々なエピソードが織り交ぜられていて楽しめます。結論としては、何かを伝える最大の極意は「伝えたいコンテンツを持っているのか」「伝えたいという熱意を持っているのか」という2点で、最後に「伝えるための論理性を持っているのか」という点が付け加わります。極めて常識的な結論ですが、就活で面接の技術ばかり気にする学生もいますから常識をきちんと教えることも必要でしょう。

「異端の植物水草を科学する」 田中法生著、ベレ出版 平成26年3月読了
 書評を生物学関係の書籍の書評の所に載せておきました。

「太陽は23歳!? 皆既日食と太陽の科学」 日江井榮次郎著、岩波新書 平成26年1月読了
 日江井先生に前回の2009年の皆既日食の前に出されたご著書をいただきました。1億5千万kmのかなたにある太陽について、これだけ詳細な構造などが明らかになっているのは驚きです。