読書記録2022
最近、一度読んだ本でも忘れていることが出てきて年を感じます。ひどいときは、新しく読む本だと思って、面白く読み進めていくうちに、何だか知っている気がしはじめて、読み終わる頃に、そういえば昔読んだことがあったと思い出すこともありました。「常に新鮮な喜びが味わえてうらやましいこと」などと言われる状態です。そこで、新しく読んだ本を忘備録としてここに書いておくことにしました(平成14年3月開始)。「新しく読んだ」というだけで、別に新刊の本とは限りません。
「アシモフ選集化学編3窒素の世界」 アイザック・アシモフ著、共立出版 令和4年12月読了
有機化学の分野、特に炭素と水素以外の元素を含む分子についてアシモフが解説した本です。窒素とありますが、リンなどについても触れています。発見の歴史的経緯のエピソードなども交えて、いつもながらの楽しい解説です。
「植物と伝説」 松田修著、正文館 令和4年9月読了
あいうえお順に並べた植物について、それぞれの伝説もしくはエピソードを紹介した本です。何かの際にリファレンスとして重宝するかもしれません。昭和35年発行の本なのですが、誤植が非常に多いのが気になりました。
「呼吸の科学」 石田浩司著、講談社ブルーバックス 令和4年5月読了
書評を生物学関係の書籍の書評の所に載せておきました。
「修道女フィデルマの叡智」 ピーター・トレメイン著、 創元推理文庫 令和4年4月読了
古代アイルランドを舞台にした短編ミステリー。著者はアイルランド史の著作もある研究者のようで、前から興味はあったので、このシリーズの長編を読む前にまず短編を見てみようと思って読みました。クラシックなミステリーですね。長編もまあ一冊読んでみようかなと思います。
「白と黒のとびら」 川添愛著、 東京大学出版会 令和4年4月読了
東京大学出版会のPR誌UPで新入生向けに「言語学をファンタジーで解説した奇書」と推薦されているのを見て、「ファンタジー好きとしては買わなくては」と思ったわけですが、さすがにこれを読んで言語学がわかるようになるわけではありません。むしろ、言語学を学んでいる人が、「そう来たか」と面白がるための本でしょう。ファンタジーとしての出来は、まあそこそこといったとこでしょうけれども、最後の方はきちんとストーリー性が出てきます。
「あの胸が岬のように遠かった」 永田和宏著、 新潮社 令和4年4月読了
永田和宏先生が、亡くなられた奥様の河野裕子さんが残された日記を発見して、それをもとに若き日を振り返る構成ですが、やはりその時の心情が証拠として残っているとリアルですね。おそらくここで描かれたような「若い」時の出来事は、時の流れと共に記憶が書き換えられてしまうのが普通である気がします。日記のような物証の力が感じられます。
「梨本宮伊都子妃の日記」 小田部雄次著、 小学館文庫 令和4年4月読了
明治時代に鍋島侯爵家から宮家に嫁いで、昭和51年に数え95歳の長寿を全うした伊都子妃の日記の抜粋に解説を付したものです。様々な出来事もさることながら、それらに対する伊都子妃の率直な感想が面白いですね。所々で「こんな社会問題が起こっているのにそれに対しては何も触れられていない」といった記述がないことに対する解説もされていますが、それによって価値観にかかわる判断をするとアナクロニズムに陥りそうです。
「萬葉の花」 松田修著、 芸艸堂 令和4年2月読了
萬葉集に出てくる植物をあいうえお順に解説した昭和32年初版の本です。著者は、東大農学部卒なのでバックグラウンドとしては植物の専門家ですね。タイトルには「花」とありますが、海藻なども含まれます。伝統文化を愛する植物の専門家としてはリファレンスとしてそばに置いておきたい本です。