ヨウ素デンプン反応の色が違う理由は?
確かに、ヨウ素デンプン反応をいろいろな植物で試してみると、植物によって色合いが違う場合があります。また、同じ植物でも、発色させた後にしばらく放置しておくと、色合いが変化する場合があります。呈色反応で色が違う場合、原因は大きく分けて3つあります。(1)スペクトルが違う、(2)濃さが違う、(3)別の物質が混ざっている、の3つです。
(1)ヨウ素デンプン反応は、デンプンのらせん構造の中にヨウ素が入り込んで色がつく現象です。この際に、らせん構造の長さによって吸収スペクトル(=光の色)が変化します。デンプンには、直鎖状のアミロースと、分岐したアミロペクチンがありますが、アミロペクチンは直鎖状の部分が短くなって、結果としてより赤っぽい色になります。うるち米と餅米では、アミロペクチン含有量が違うので、ヨウ素デンプン反応の色が違うことがよく知られています。
(2)スペクトルが同じ物質でも、濃度が違うと人間の目には色が違って見えます。ヨウ素デンプン反応でも、デンプンが十分にたまっている場合は、真っ黒に見える場合もあります。それほどではなくても、濃さが違う溶液は、同じ物質でも色が変わって見えます。
(3)当然、別の色を持った物質が混ざっていれば、色は変わります。クロロフィルやカロテノイドは通常除いてからヨウ素デンプン反応を見るので、色に影響はないはずですが、例えばフェノール関連物質などを持っている場合、すりつぶしたあとに空気酸化されて褐色から黒色のポリフェノールに変化して色が出る可能性はあるでしょう。皮をむいたリンゴを放っておくと茶色になるのと一緒です。
これらの原因の中で、どれが該当するかは難しいところですが、しばらく放置した場合に色が変化するのは、フェノール関連物質の関与を疑わせます。木本植物は、野菜などに比べるとフェノール関連物質の量が多いことが知られています。
なお、ヨウ素デンプン反応の詳しい実験ポイントについては「ヨウ素デンプン反応の実際」をご覧ください。