海辺の光が強い環境で赤い植物が多いのはなぜか?
本当のところは、きちんと統計を取ってみないとわかりませんが、確かに、海辺の光が強いところでは、葉が赤くなった植物が多いように感じます。アッケシソウなどが有名ですね。アッケシソウは、夏の間は緑で、秋から赤くなっていきます。海辺ではありませんが、冬場をロゼット葉(ぺたっと地面に張り付いたような葉)で過ごす植物なども、冬に葉が赤くなっているのをよく目にします。基本的には、塩分濃度が高い、気温が低い、などといった光合成に不適切な環境下で植物は赤い色素を蓄積する傾向があるようです。ストレスがかかった状態の植物では、光合成がうまく進まず、結果として光合成に使われるエネルギーが余ってしまいます。しかし、光エネルギーの吸収は、クロロフィルがある限り起こってしまいます。赤い色素は、1)サングラスのように強すぎる光をカットする役割を果たす、もしくは2)余ったエネルギーを何らかの形で無害化する、のどちらかの働きをしているのでしょう。1の例としては、目に見える光の効果だけでなく、紫外線に対するサングラス効果を調べた論文などがあります。
ちなみに、赤い色素はアントシアンやベタシアニンなどの仲間の場合が多く、光合成色素ではありません。赤い色素が吸収した色素は光合成に使われることはありません。赤い色素と光合成の関係については、「赤い葉っぱは光合成をするか」をご覧下さい。