植物生理学 第10回講義

地球の歴史と生命の進化

第10回は、最終回として、地球と生命の進化を概観することにより、光合成が地球環境と生物に与えたインパクトを振り返り、さらには、今後の地球環境における人間の位置にまで思いを馳せてみました。


Q:今回の講義は今までのとは違い、ずいぶんマクロな視点でした。植物などの分子的な機能を研究するのと、地球規模でしかも生命の進化を研究するのとで、おなじ植物学とは思えませんでした。長い年月をかけて植物はCO2の同化という他の生物ができない機能を保持している。それを人間が十分に理解し、他の研究結果(CO2濃度、平均気温など)とてらしあわせ、植物の機能を工業的に真似るのではなく、共存など植物あっての生活としっかりと把握すべきだと感じました。
 半期どうもありがとうございました。今まであまり勉強してなかった植物学を学べてよかったです。

A:本当は、「植物生理学」という名前の講義の中でする話ではなかったかも知れませんが、光合成の意味を知るためには必要だと考えたものですから。


Q:今回の授業は今までの授業と少し違い、代謝などの細かい部分は出てこなかったが、深海にすむ生物などは興味深かった。深海にすむ生物は厳しい環境にすんでいるが、進化の上では酸素を作る生物のほうが先に登場したのであるから、その厳しい環境に移動した。それは他の生物と生存競争するよりも環境に適応していくほうが簡単だったのだろう。あるものは他の生物との生存競争のために進化し、あるものはそれを避けて環境に適応するために進化する。このようにいろいろに進化する生物にさらに興味を覚えた。
 最後に今までもそうだったが、これからもあまり植物についてのことを学ぶ機会は少ないと思う。この授業は初めて植物を専門に扱っている授業だったがとても面白く、ためになった。

A:他者との競争があるかどうかは、生命にとって重要な問題ですね。現在の熱水噴出口の生命は、酸素を必要とする生物ですが、これとは別に、生命の起源的な生物が、深海底にいたのではないかと考えられています。


Q:近年二酸化炭素濃度の上昇が明らかとなり、その対策法が課題の1つとなってきている。私は高校での授業などで植物は二酸化炭素を吸収するということを学んできたために、植物を多く死滅させることさえしなければ二酸化炭素は減少していくものだと思っていた。しかし今回の講義で、極相林など安定した植物を維持するだけでは呼吸と光合成が釣り合っているために二酸化炭素は減っていかないということを知って少し驚いた。でも私の考えではやはり極相林は二酸化炭素を減らすのではないかと思う。樹木のバイオマスの中で最も大きな割合を持つ幹の部分は形成層を作り続けて成長しているし、幹が成長するとその分多くの養分が必要となり、生存するために葉の量を大きくしていかなければならない。また倒れて腐朽しても短時間で大気に炭素が放出されるわけではなく、長い時間をかけて腐朽していく中で多くの炭素が土壌中に蓄えられていくはずである。従って森は二酸化炭素を吸収すると思われる。故に温暖化対策の効果的な方法は現在の森林を維持し、新たな森林を作り出していくことであろう。

A:新たな森林を作り出せば、確かに二酸化炭素を吸収します。ただ、長い目で見た場合に、すでに存在する森がどの程度二酸化炭素を吸収するかについては、難しい面があると思います。


Q:今回の講義で、人間はおそらく近いうちに(地球の歴史から見て)絶滅するかもしれないと思った。地球では、これまでに何度も環境に大きな変化(例えば酸素濃度の急激な低下)が起こって、生物の大量絶滅を繰り返しているので、地球にとってはそうやって地球上の生物に絶滅を繰り返させることの方が自然なのかもしれない。それは、宇宙全体に言えることでもあり、地球だっていつかは消滅するし、そしてまた新しい惑星が宇宙のどこかで生まれているはずである。宇宙でさえビックバンによって生まれ、またいつかは消滅すると言う人もいる。つまり、全てにおいて始まりと終わりがあるのである。地球環境がこんなに短期間で変わったということは初めてのケースらしい。そのような急激な変化は明らかに絶滅の方向だろう。人間がその宿主の地球に取って代わって、地球をある程度でも支配できるようになれば(溶菌しないで細胞のゲノムに潜伏しているウイルスのように)話は別だが、今のところ人間はただただ地球(宇宙)のごく自然な挙動に従っているだけだと思う。自分の意志で自然を支配していると思っている人もいるかもしれないが、まだまだだと思う。もはや、いつ人間は絶滅するのか、絶滅まであとどのくらい人間という種は生き延びられるだろうかという段階にまで来ているのかも知れない。しかしそれでも人間は、地球のためにではなく、むしろ地球と対抗して、必死で生き延びようとするだろうし、それがまた自然なことだろうと思う。
 10回の植物生理学の授業を受け、自分が得たものの中で最も重要だなと思うことは、自分で考えるということだった。私は昔から自分で考えることは好きだった。しかし、考えるためには知識があまりにも足りないし、受験やテスト勉強は、テストのための勉強になりがちで、勉強があまり面白くはなくなっていた。しかし、この植物生理学のレポートを書く中で、知識は足りなくても、今持っている知識だけを使って自分なりに考え、その上で、足りない知識を調べてみるという、その繰り返しがとても面白くて感動した。講義の内容も、実験における思考の流れの例などを講義していただき、これが学問なんだなと実感した。知識はどこにあるのかが分かっていることのほうが大切なんだということも実感した。時間の使い方がまだまだ下手で、考える時間が無くなって、あんまり考えられなかったレポートもたくさんあったが、学問の面白さを実感できたこの授業はとても意味のある授業だった思う。

A:考えることの重要性が講義を通してわかってもらえたのならこれほどうれしいことはありません。人間に生まれたからには、脳みそを使って考えなくてはつまりません。脳みそはお金と違って使っても減るどころか、能力がアップしますし。


Q:今回の講義は興味深い点がいくつもありました。まず、大量絶滅を何度もくぐり抜けてこれたことを不思議に思いました。それに、馬鹿みたいな質問かもしれませんが、恐竜が誕生することってもうないのですか。隕石が衝突して、二酸化炭素や酸素の濃度のバランスが崩れて、しばらくして地球が落ち着いて安定したバランスを取り戻した時に、恐竜の進化の元となった生物は存在しなかったのですか。大量絶滅の前後の大気の割合は少しずつ違っているのですか。あと、普段の生活の中で温暖化を感じることはなかなか出来ませんが、ハワイでの二酸化炭素濃度経年変化を見ると明らかですね。このグラフは1958年からですが、日本がちょうど高度経済生長期の頃から除々に二酸化炭素濃度は増え始めたのですか。それまではずっと安定した低濃度を維持していたのでしょうか。最近誕生したばかりの人間の生活変化によって、何十億年もかけて成長してきた地球が変えられていることは確かです。最後に、食物連鎖のピラミッドは、例えば、草食動物が増えて草を大量消費すると、草が足りなくなって草食動物も少し減少し、しばらくすると草が生える、というように、またもとのピラミッド型に戻り維持されているはずなのに、なぜピラミッドの頂点付近にいるヒトだけが増えたのか。これから先食料が足りなくなって飢餓が起こるのか。人口増加に高齢化も関係あるのかなと思いつつ、それだけのことで生態系のバランスまで壊れるのかなとも思いました。ヒトを減らすことは出来ないから、底辺である植物を増やすことで、ピラミッド自体を大きくし、さらに、森林破壊や温暖化の緩和に繋がれば、と思います。言うは易し、ですけれど。この植物生理学の講義では、植物の合理的な機能とその適応能力の高さに驚かされるばかりでした。今地球上で感じられることとか身近な植物のことを挙げての講義だったので、聞き入りやすかったと思います。理解できなかった回はレポートを出さなかったりしましたが、先生の話は興味深く聞くことができました。ありがとうございました。

A:地球全体から見ると、おそらく産業革命の頃から二酸化炭素濃度が上がり始めたのでしょうね。化石燃料の消費とはかなり良い相関があるようです。人間によって食物連鎖のピラミッドがゆがめられているのはどうしようもない気がします。人間が減らない限り・・・


Q:今回の講義では地球誕生から今までに、生命がどのような環境を経験して進化してきたかを知ることができました。地磁気の強度が増し、マントルへ海水が逆流したことで海水が減少して海水の塩濃度が上昇したことや、大陸が現れて酸素濃度が増したことでオゾン層が形成されるまで、陸上生物が誕生できなかったことは驚きでした。
 生物が陸上に上がったのは、たった4億年前でそれまでずっと海中にしか生物がいなかった事を知って、なぜ人などの細胞が海水と等張でないのかという疑問が少し解けました。すべての生命がもともと一つの生命を起源に進化してきたと考えれば、海水の塩濃度がまだ薄かった時期の海水が細胞内液となっているはずなので、塩濃度が上昇したことは多くの生命が死滅する危機であったに違いありません。今生存している生物の多くは、イオンポンプなどを持っているので、イオンポンプを発現できた細胞が、我々の共通の祖先なのでしょうか。進化してきた過程に思いを巡らすのも、生物を学んでいる上で楽しいと感じました。

A:海水の塩分濃度の上昇や、空気中の酸素濃度の上昇は、当時の生物からすると、とてつもない環境破壊だったでしょうね。おそらくそのような環境変化に対応する手段も1つとは限らなかったのではないでしょうか。


Q:  おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし
 食物連鎖の頂点に位置していると自負している人類は「おごれる人」で、決して「久しく」ないのでしょうか。今回の講義を聞いて人類とは地球上に君臨している特別な生物種ではなく、地球に住む一種の生命体なのだという印象を受けました。確かに人類は自分たちが豊かになるため多くの生態系を破壊し、地球の環境も変えようとしています。しかし巨大隕石の落下など、急激な地球環境の変化が過去にあったというのも事実です。人間の活動もそのような変化と捉えれば、現在起きている環境破壊も地球にとっては単なる節目のようなものなのかもしれません。しかし人間は自ら絶滅したいとは思っていません。(地球の資源を好きなだけ使い、贅の限りを尽くし、それでいて長く生存したいというのはエゴのような気もしますが。)太陽光発電、生分解性プラスチックなど、生態系に影響を及ぼさない、もしくは還元できるシステムが開発されているように、地球環境を変化させているような人間活動を生態系に影響を及ぼさないものに置き換えるのが賢明です。そのためにも人間は自然環境を深く理解し、そこから人類が恩恵を受けられ、二次的に悪影響を及ぼさないようなものを作り上げなければいけないと思います。そして莫大な人口を補うためにも、これから人類が歩む道はおそらく自然環境への理解と科学技術をもちいて人工的な自然環境を作り、それと共存していく方向にあるでしょう。

   たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。

果たして人類は塵にならずに生きながらえることができるのでしょうか。

A:平家物語ですね。生分解性プラスチックにしても、もちろん使わないよりは使った方がよいのですが、そもそも、人間の存在自体が地球上で不自然に大きくなっている、という状況の解決策にはなりません。もはや「自然」の中で生きることは不可能になり、「人工的な自然環境」の中でだけ生きながらえる、ということになるような気がします。


Q:ストロマトライトの昔からの形を変えずに、古代から子孫をつないでいるのは環境が恵まれていたのも去ることながらある意味では完成された形であるのではないかと感じる。でなければどんなに環境に恵まれたとしてもきっとどこかで絶滅をしてしまったに違いない。歴史の酸素欠乏があったことや、大量絶滅が何度もあったにも関わらずその修羅場(?)をくぐり抜けてきたという事実がある。光が届かない深海を生息拠点にしたシロウリガイなどのヘモグロビンの大量さにも驚かされた。このような生物が大気や海洋での二酸化炭素濃度の変動に対処でき、今後またあるであろう酸素欠乏の危機に柔軟に適応して生き残ることのできる生物なのであろう。人間はそれらに比べて生命力はどうであろう。今地球は石油石炭などのエネルギー不足、鉄鉱石など材料不足、オゾン層破壊、温室効果などに対して人間は生身の体では対応できない。だから科学技術で破壊したとするならば、科学技術でそれに対する策を考えなくてはならないと考えさせられました。

A:さすがに、皆さん基礎工学部だけあって、解決策を科学技術に求めますね。科学技術だけに頼るのであれば、何か大きなブレークスルーが欲しいところですね。次代を担う皆さんに問題を解決して欲しいものです。


Q:今回の講義で話題であった‘地球と生命の歴史’ですが、今までも何回も聞いてきた話でしたが話の切り口が少し違ってとても面白かったです。講義の本題とは少し違いますが、少し興味のある事を書きたいと思います。去年、NHKの自然科学系のNHKスペシャルで進化を何回かに分けて特集したものがありました。そのなかで、一度頂点に立った種(恐竜であるとか、人間であるとか)はそこで進化が止まってしまいそして絶滅する、といった内容がありました。先生も講義でおっしゃっていた通り、大量絶滅は何度も起こったことであり、人間もいずれ絶滅するのでしょう。ですが、人間がもう進化をしない、という点は本当なのだろうか、と考えてしまいました。進化の話をしだすと、何が進化なのか何をもって進化と呼ぶのか、という点から私にはわからない事だらけですが、人間の進化した姿とはどんな姿なのか、進化で得るとすればどのような能力なのか、そういった事がとても私の興味をひきます。
 半期の短い期間でしたが、具体的でわかりやすく細かい説明の授業をしてくださってありがとうございました。

A:恐竜はどうだか知りませんが、人間の場合、自分が進化せずに環境を変化させるようになりましたから、生物学的にはむしろ退化するだけではないでしょうか。サイボーグのような人間を進化というならば別かも知れませんが。


Q:半年間にわたる植物生理学の講義で、植物、特に光合成や好気呼吸の深い内容と、植物を用いた様々な研究について学べたことは非常に勉強になったと思う。例えば、光合成の仕組みについては、光化学系I、2や電子伝達系などの化学反応式は通常の生物学の講義で学んでいたが、それが実際に行われる組織や光合成色素のメカニズム、光量に対する応答など、化学反応式だけではない、生物の「仕組み」を知ることができたと感じた。また、後半で扱った研究内容の紹介では、実際の研究の行われ方、結果の考察と次の実験方法の判断の仕方など、研究を行う上での重要なことを知ることができ、実験や研究のおもしろさが伝わってくる内容だったと思う。
 この植物生理学で学んだことからは、植物がいかに効率的で無駄の少ない活動をしているかを思い知らされた気がした。今回の講義であったように、人間は地球の生態系が成り立つために絶対に必要な生物ではなく、むしろ植物によってそのエネルギー源を支えられ、さらに植物が過去に光合成によって産み出した様々なエネルギー物質を利用しているだけであり、自分ではエネルギーを産み出すことができない。人間は複雑な構造をしているが、単純な構造をしているように見える植物の方が、エネルギー生産能で見ると支配的な立場にあり、繁栄している年月も比べ物にならないほど長いのは、それなりの意味があるのではないかと思う。例えばウイルスは、核酸とタンパク質だけの非常に単純な構造をしているが、遺伝情報を伝えることはできる。他の細胞の核を利用してはいるがそれによって繁栄することもできるのだから、複雑な構造をしているほうが進化の最前線にいるとはいえないのではないかと感じた。
 移動能力もなく、構造もあまり複雑ではないとしても、独力でエネルギーを産生し、また様々な環境に適応して遺伝情報を伝えていき、子孫を繁栄させる能力を持つ方が、遺伝子の伝達という観点から見れば、もっとも進化的に優れている、と考えをこの講義を通じて何度も思った
 私がこの植物生理学の講義をとろうと思ったのは、もともと植物を見るのが好きだったからです。実際に講義を受けてみると、光合成など植物の機能について細かく見ていくばかりなのかなと思っていたけれど、普通の本には載っていないような最近の研究や進化、遺伝子の機能解析にわたるまで幅広く教わることができてとてもよかったです。私も将来自分の興味をもった分野をとことん研究していけるような研究者になりたいと思いました。
 最後になりましたが、とても親切で分かりやすい講義、ありがとうございました。園池先生のような先生がうちの大学にもいてくれればなあと思います。これからもがんばってください。

A:はい。がんばります。


Q:今回の授業は地球と生命の歴史ということで、生命の進化と人間による環境汚染までと幅広く扱ったものだった。生物の進化の過程で、唯一酸素の作れる植物の存在はとても重要だった。しかし現在では人間が植物の歴史の上で発生してきた資源を破壊し続けている。今まで絶滅してきた生物は自然に起きた事故によるものだと思うが、人類の滅亡の原因はそうでないかもしれない。地球の自然からの恩恵や過去の進化の経緯に発生した要因を使って初めて人間は存続できるのであって、『自然にやさしくしよう』などといってること自体が人間のおごりなのかもしれない。人類の滅亡は起こりうるもので恐ろしいが、またそれを楽観視していることも恐ろしい。
 この科目ではいままで植物のことだけでなく、植物を材料とした実験の内容についてもふれられた。実験する動機、結果からの仮説、実験による証明など実践的な実験の流れがつかめたことはとても有意義だったとおもいます。またこの課題レポートを通して、教わった内容を考察することとまた、疑問を見つけることも学びましたが、こういったことが苦手で上手くまとめることができませんでした。実際の実験ではこうした疑問を見つけることが大本のことであり最重要だと思うので今後もそういった能力が付くようにして、またこの講義で教わった実験の考え方も生かしていければと思います。半期でしたがそうもありがとうございました。

A:単に与えられた問題を解くのではなくて、自分で疑問点を見つけて考える、ということは、これから会社に就職しても、生物の研究をするにしても、必要になる能力です。この能力は先天的なものではなく、訓練すれば伸びるものです。是非頑張ってください。


Q:生命は地球上の歴史において、何度も大量絶滅を経験してきた。そのたびに、生命は大きな進化をしてきた。なかでも、最大の大量絶滅であるペルム紀末におきた、スーパープルームによる火山の大噴火であり、それによって引き起こされた温暖化によって、メタンハイドレートの大量崩壊がおきた。放出されたメタンは更なる温暖化を引き起こし、また、酸素と結合することによって、空気中の酸素濃度を著しくさげた。この低酸素下において、爬虫類は気嚢システムを手に入れ、その後の大繁栄にいたった。哺乳類の先祖は、横隔膜を手に入れ、最大の進化である胎盤を用いた繁殖法を手に入れた。このように、大量絶滅は生命の進化にとって大変大きな役割を果たしている。
 いま、人類が地球環境を破壊し、人類は滅亡の危機に向かっているといわれているけど、地球的に見ても生命全体から見ても、人類の絶滅は問題ではなく、むしろいいことだと思います。
 先生へ:毎回提出しているレポートですが、講義の中ですべて先生が解説してしまうので、書くことがなかなかなくて苦労しました。ですので、疑問はいくつか残しておいて次の講義でレポートをふまえて解説することをお勧めします。

A:確かに、あまり細かく説明してしまうのも、教育上よくないかも知れませんね。ただ、「すべて」解説したように見える場合でも、どこかには絶対に自分なりの考察をする余地があると思います。そこを見つける訓練だった、と思ってくださいな。


Q:私は今回の授業で、ストロマトライトについてとても興味を持った。ストロマトライトは生きながらにして化石であり、25~35億年もまえから生息し続けているからである。そこでストロマトライトについて調べてみた。ストロマトライトとは、光合成バクテリアのコロニーが水中で構築したドーム状あるいは柱状の構造体であり、光合成バクテリアが分泌する粘液に細かい堆積物が海水中の炭酸カルシウムとともに沈着される。光合成バクテリアは、日中は光合成をし、運動性もあるので光を求めて沈着物の表面に出、夜間は活動を休止する。この繰り返しによって炭酸カルシウムを含む硬い層状構造が形成され、ストロマトライトと呼ばれる生物岩はゆっくりと成長してゆくという。西オーストラリアの中部、シャーク湾の最奥部ハメリンプールに世界で最初に発見された現生ストロマトライトの群体が見られ、夏の日のアスファルトのような、弾力性のある直系5,60cmの黒々とした岩体が波打ち際に群生するという。そこに写真が載っていたが、太古の地球はどこもこんな風景だったのだろうかと少し間近に見られた気がした。しかし、35億年も前から生き続けてきたストロマトライトも近年、成長が著しく阻害されているという。原因は生活廃水や牧草地で使われる化学肥料により、地下水脈を通じて大量のリン酸塩が湖にもたらされ、その結果ストロマトライトを作るバクテリアが生育できない水質へと変化したためとされる。地球に酸素を与え、生物を進化させる環境を整え、35億年以上も生き続けた貴重な生命を地球上から消し去るのは、やはり私達人類なのかと思うと、環境問題に個々人が取り組むべきだということを改めて痛感した。
 最後に、植物生理学を受講して、今まで知らなかった植物の生きていくための機構や、今回にいたっては地球の進化までしる事ができました。それらはどれも興味深いものであり、とても勉強になりました。ありがとうございました。

A:講義で話しているので、一度シャーク湾に行って生きているストロマトライトを自分の目で確かめたいと思っているのですが、未だにチャンスがありません。やれやれ。