生命応答戦略科学 第7回講義

光呼吸、C4植物、CAM植物

第7回の講義では、主に炭酸固定反応のバリエーションについて、カルビン回路、光呼吸、C4植物のハッチ・スラック回路、CAM植物のCAM回路等について紹介しました。今回は、分子生物学会と重なったため、出席が非常に低調でした。


Q:まず、カルビン・ベンソン回路の放射線同位体を用いた研究が戦争の産物であったというところが印象に残りました。やはり科学も時代に左右されるのだと感じました。
 C3植物とC4植物、CAM植物についてでは、環境やストレスによって代謝経路が変化するという話が面白かったです。イネをC4化することで生産性が上がるという研究が紹介されていましたが、イネをC4化するというのは育種・品種改良と比べてそんなにもメリットがあるものですか。また、生産性を上げるためには他にどのような研究がされているのでしょうか。

A:現実にC4化が成功したときに、どれだけ生産性が上がるのかは本当のところはわかりませんね。今までの品種改良は主に草丈を低くすること(倒伏を防ぐため)、耐冷性を上げること、それに穂につくお米を多くすることが目的でした。日本では、今後は、味に関する品種改良が重要になってくるのでしょう。


Q: 光合成の中間産物である有機酸の炭素数の違いにより,高等植物はC3植物,C4植物,CAM植物の3種類に分類されること,C3植物は弱い光でも光合成効率が悪くない反面,強くなっても効率が上がらないこと,C4植物は苛酷な条件下でも光エネルギーさえあれば二酸化炭素を効率よく吸収し,エネルギー生成を行なえること,C4植物はC3植物に比べ光合成適温が高く,耐乾性が強いこと,などを知ることが出来ました.

A:繰り返しになりますが、C4植物やCAM植物でも、最終的に二酸化炭素を固定するのはカルビン・ベンソン回路であることは注意してくださいね。


Q:今日の講義では、酵素の選択性が万能ではない事がわかったのが一番の収穫でした。おそらく、シアノバクテリアが出来た頃は酸素がなかったため酸素も二酸化炭素も一緒に取り込んでしまうような反応機構でも問題はなかったのでしょうね。葉の中の二酸化炭素濃度を高めるしくみも興味深かったです。
 ただし、反応機構で何箇所かわからないところがありました。できれば、構造式と機構も書いていただけると嬉しいです。

A:ルビスコの二酸化炭素の結合部位と酸素の結合部位が全く同じだとわかる前は、何とかして、酸素との反応性だけを欠失させたルビスコを作ろうという研究が盛んに行われました。
 「できれば」構造式と機構を書いてほしいとの注文ですが、もし、有機化学的な反応機構ということを言っているのであれば、実は、僕には「できない」場合が案外あります。大学時代は有機化学も勉強しましたが、だいぶ忘れてしまいました。調べればいいのですけれど。すみません。