植物生理学II 第2回講義

光合成の初期進化

第2回の講義では、狭義の光合成細菌からシアノバクテリア、そして藻類・陸上植物への進化の内、シアノバクテリアの前後の進化について主に解説した後、藻類への共生について触れました。講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。


Q:私は今回の授業の中で一次共生というシアノバクテリアを細胞内に取り込むことで、紅色植物や緑色植物などの真核生物がシアノバクテリアの葉緑体を獲得していったが、この一次共生の途中段階であると思われるものが存在していないという箇所に特に興味をもったためその理由を考えた。まず考えられる事としては一次共生が発生した時代が非常に古いために、現在の植物では痕跡が完全に消失してしまっているということが考えられる。このことを確認するためには、一次共生が完了した真核生物が含まれている最も太古の地層を対象に炭素年代測定法を行うことで、この真核生物が生存していた年代を特定し、その年代が非常に古いことが確認できたらこの考えが正しいことが証明可能と考えられる。2つ目に一次共生によって獲得したシアノバクテリア由来の核などが獲得主の真核生物中の細胞で非常に分解されやすく、次世代へと受け継がれていかなかったことが考えられる。このことを確認するためには、現在の植物細胞に痕跡として残存することが期待されるシアノバクテリア由来の核などの細胞小器官を注入し、何世代もにも渡り培養を行い、数世代後に注入したシアノバクテリア由来の核などの細胞小器官が消失、もしくは痕跡化しつつあることが確認できたらこの考えが正しいことが証明可能と考えられる。

A:もしかしたら、少し話が混線しているかもしれません。協議の光合成細菌とシアノバクテリアをつなぐ生物は存在していないのですが、一次共生の過程の中間段階として解釈し得る生物は、存在しています。例えば、講義で紹介した灰色藻で葉緑体の二重の包膜の間に、シアノバクテリアの細胞壁起源であると考えられるペプチドグリカンの層が存在しているのはその一例です。


Q:今日の講義は、光合成生物の進化に関してであった。シアノバクテリアは自分の研究内容でもあるので、改めて復習ができた。仮説があって、それを裏付ける根拠が多く見つかる形で仮説が正しいことが立証されていく過程は非常に興味深いと感じた。クリプト藻類の話では、ヌクレオモルフは核が残っているのになぜ残っているのか疑問に感じた。ミトコンドリアは消えているのに、ヌクレオモルフは残っているということから、これをヒントに実験をしていけば、その辺りの謎も解明できると考えられる。

A:肝心なのは「これをヒントに実験をしていけば」という時に、どのような実験をすべきかという点です。「これをヒントに」という漠然とした方向性ではなく、どのような事実があるから、そこからどのような仮説を立てて、それをどのような実験によって検証するのか、という点を明確にしなければ、この講義のレポートとして不十分です。


Q:今回の講義では、シアノバクテリアが細菌の一種であると確定し、藍藻という名称からシアノバクテリアという名称が一般化したことを学んだ。そのことに関して、シアノバクテリアの植物(藻類)としての一面と原核生物としての一面の比較において、原核生物の一面を優位として考えたためであると考えられる。それに関して、植物・シアノバクテリアの定義を考察する。文献1より、植物の定義は、「植物とは、細胞壁を有し、独立栄養で光合成を行うことができる生物をいう。」とある。ここで、シアノバクテリアはペプチドグリカンからなる細胞壁を有し、クロロフィルaやフィコシアニンで光合成を行うことから植物であると考えられる。しかし、文献2より、シアノバクテリアには核膜がないことから、細菌の一種として扱われることが多いとある。以上のことから、シアノバクテリアの原核生物である一面が優位となっている現在において、植物の定義に当てはまってしまうシアノバクテリアを例外的に除いた旨を書くべきではないかと考えられる。
【参考文献】1.コトバンク-植物/日本大百科全書「植物の解説」/2022-4-23 閲覧/, https://kotobank.jp/word/植物-80224、2.コトバンク-藍藻/デジタル大辞泉「藍藻の解説」2022-4-23 閲覧/, kotobank.jp/word/藍藻-656781

A:植物は、小学校の教科書でも出てきますが、その定義は、中学の教科書、高校の教科書を見ても出ていません。ただ、高校で藻類を学ぶときには、それらは植物ではない、として扱われる例が多いようですから、中等教育における植物は、陸上植物を指すことが多いのでしょう。では、大学以上ではどうかというと、参考文献1のように「植物=光合成生物」と考える人もいれば、原核生物を除く場合もあります(つまり葉緑体を持つものを植物とする)。一方で、葉緑体を持つものでも、二次共生、三次共生によるものを植物から外す、という考え方をとる場合もあり、人によって定義は異なるのが現状です。


Q:今回の講義では、葉緑体が独自のDNAを持つことに触れた。葉緑体DNAから作られるサブユニットと核DNAから作られるサブユニットが合体してルビスコが作られるものの、どちらかが無ければルビスコは機能しない。そのため、ルビスコはシアノバクテリアには存在しないことが分かる。しかしながら、葉緑体もルビスコのタンパク質を作っているため、シアノバクテリアは光合成をするためにルビスコのような酵素を持っていたと予想した。ではなぜ、ルビスコという酵素が作られたのか。自分の考えでは、核DNAが持てる遺伝情報が葉緑体よりも多く、細胞内器官も多いので、効率的に光合成機能を高められる酵素を作ることができること、また、遺伝情報として保持できることより、ルビスコが誕生したということである。もしそうならば、系統樹的に、シアノバクテリアに近い植物のルビスコは、シアノバクテリアが扱う酵素に似た形質を持っていると予想でき、シアノバクテリアから遠い植物の葉緑体は、似ていない形質を持つと予想できる。

A:これは、僕が講義を進める順番が悪かったのかもしれません。実は、次回の講義で説明するように、シアノバクテリアが葉緑体化するにあたっては、その持っている遺伝子の一部は、葉緑体にとどまるのではなく、核に移行したと考えられます。したがって、ルビスコの遺伝子が核に存在していても、それは、シアノバクテリアがルビスコを持っていなかったことを示すわけではないのです。ただ、このように与えられた情報から自分で論理的に考えてある結論を導く姿勢は、この講義のレポートとしては評価できます。


Q:光合成生物は系統樹において単系統ではなく、混在している。一方で光合成色素遺伝子を探ると遺伝子自体は単系統である。このことから光合成の獲得は種間の遺伝子移動以外にも、生物は簡単に光合成の機能を失うことができるという説が予想される。そこで光合成の機能の喪失について考えてみる。光合成機能の喪失は、陸上植物でも起きている。ツチアケビは菌根菌との共生によって光合成の機能を失っている①。日光を必要としなくなったことで新たなニッチの獲得もしている。光合成色素も植物にとってはコストがかかる行為なので、場合によっては光合成を諦めるということの方が、利益になる可能性も考えられる。さらに細かい部分で見れば、一部ウミウシなども光合成をしているという。系統上では動物に分岐する過程で光合成を失っているので、光合成をする動物は再獲得をしたといえる。つまり光合成は環境による適応で再獲得及び喪失しやすい形質といえる。これを踏まえると、非光合成と光合成生物の混在は獲得と喪失によるものと考えられる。
①末永健司, 「光合成をやめたラン科植物ツチアケビにおける鳥による種子散布-動物に種子散布を託す初めてのラン科植物の発見-」, https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/embed/jaresearchresearch_results2015documents150505_101.pdf, (閲覧日2022年4月23日)
②松浦克美, 「光合成の獲得, 多様化, 喪失と種分化」, Microbes and Environments Vol. 14, No. 1, 37-40, 1999 , https://www.jstage.jst.go.jp/article/microbes1996/14/1/14_1_37/_pdf, (閲覧日2022年4月23日)

A:悪くはないのですが、知っている情報からすると、ある意味で当然の結論にたどり着いている感じを与えている気がします。もう少しだけ工夫があるといいですね。例えば、「非光合成と光合成生物の混在」は、確かに光合成の獲得でも説明できるし、光合成の喪失でも説明できます。それでは、混在が見られる具体的なある系統群において、それが光合成の獲得によるものなのか、喪失によるものなのかは、どうすれば見分けられるでしょうか。それを見分けるための知識は、今回の講義で話していますので、考えてみてください。


Q:本講義内で細胞共生説について取り上げられていた。そこで、真核細胞に取り込まれる前のシアノバクテリアはどのように生きていたのか疑問に思った。葉緑体内には異化能力がないため、有機物を作れても分解できず、エネルギーを獲得できないからである。同様にして、ミトコンドリアも細胞基質で起きる解糖系がないために単独ではエネルギーを獲得できないと考えられる。しかし、好気性細菌は酸素を利用して天然有機化合物を分解しており、シアノバクテリアにも「酸素を消費(除去)する代謝系が発達していた?」とのことである。従って、真核細胞に取り込まれた際、余分な機能が取り除かれたのではないかと考えた。
引用文献1 日本植物生理学会. HOME>みんなのひろば植物>Q&A>シアノバクテリアは嫌気性生物なのか、好気性生物なのか? https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2467(2022/04/18 参照)

A:「葉緑体内には異化能力がない」というのはどこから来た知識でしょうね。「異化」をどのように定義するのかにもよりますが、たとえば、中学校でやるヨウ素デンプン反応を考えてみれば、葉緑体に貯められたデンプンを分解する能力があることはわかると思います。もしかしたら「呼吸鎖の電子伝達系がない」と言いたのかな。このような知識が前提となる場合、できたら出典を記してください。


Q:講義のシアノバクテリア等の共生の関係から、1点疑問点を持った。それは細胞内に共生した際は、全く異なる生物であったにもかかわらず、細胞を増やして行く際に、細胞に伴って共生した生物も増殖するのはなぜか?という点である。私自身の推察としては、細胞内にある、もしくは細胞が取り込む、生成する栄養素をコントロールし、葉緑体等の共生した生物の量を意図的に変化させているためであると考える。例えば、葉緑体量を増やしたい場合は、葉緑体へ栄養素を回し数を増加させる。逆に葉緑体量を減らしたい場合は、意図的に葉緑体へ使う栄養素の量を減らし、減少させられると推察する。その点で言えば、細胞分裂や細胞を成長させる際に多量の栄養素が必要になるため、見かけ上はわからずとも、1細胞あたりの葉緑体量は増えており、その段階を経ることで結果、得られる栄養素が増え、細胞分裂へとつなげることができると考える。つまり、共生している生物に与える栄養素を変化させることで、自身の成長をコントロールしているのではないかと推察した。

A:単に、細胞が葉緑体の数を一定に調節しているはずだ、という仮説だとすると、ある意味で当たり前かな、と思ったのですが、細胞内のエネルギー需要に応じて調節しているという主張だとすると面白いと思います。その場合、「栄養素」という言い方はややあいまいですね。植物にとって必要な栄養素というと、普通は外から取り込む必要がある窒素、リン酸、カリウムなどを指します。もし、エネルギー物質としての有機物を指すのであれば、明確にした方がよいでしょう。


Q:講義では藻類の持つ葉緑体・光合成色素について系統樹を用いて説明された。その中で、クロロフィルaとフィコビリンを持つシアノバクテリアから、別々にクロロフィルbを獲得した緑藻とプロクロロンが進化したという話があった。ここで、クロロフィルcについて同様に考えてみる。クロロフィルcを持つのは、珪藻、褐藻、クリプト藻、ハプト藻である[1]。これらは紅藻の二次共生を由来とする葉緑体を持つので、クロロフィルcの獲得には以下の2つのシナリオが考えられる。1つ目は、フィコビリンの代わりにクロロフィルcを獲得した紅藻の一種がそれぞれの宿主に取り込まれたという仮説①で、もう一つ紅藻が宿主に取り込まれた後に、それぞれ別々にクロロフィルcを獲得したという仮説②である。仮説①は、現在クロロフィルcを持つ紅藻が存在しないことで否定できると考えられるが、二次共生しなかったクロロフィルcを持つ紅藻だけが絶滅した可能性がある。仮説②は、緑藻とプロクロロンのクロロフィルbの例を考えるとありえない説ではないことが分かる。これらの仮説を検証するには、紅藻類とクロロフィルcを持つ二次植物の葉緑体遺伝子のうち、クロロフィルb・クロロフィルcに関わる遺伝子の相同性について調べてみればヒントが得られるかもしれないと考えられる。
[1]光合成色素, 光合成教室, 光合成の森, 2022/04/23閲覧

A:これは、きちんと考えていてよいと思います。強いて言うと、最後の「ヒントが得られるかもしれない」という部分はややふわっとしていて論理性に欠けますが。いずれにしても、全体としては論理的に構成されていると評価できます。


Q:今回の講義で気になった点は、「光を使う生物」についてである。植物は光合成に、光をエネルギー源として用い、ヒトを含む動物は視覚の情報源としている。それら以外で生物が光を利用している場合には何があるだろうか。例えばチョウチンアンコウなどに代表されるように、深海の生物には狩りの際に光を獲物を誘引する罠として利用する生物がいる。昆虫類のホタルも光を用いて求愛行動を行うように光は多くの生物にとって必須のエネルギーである。では光が存在しない環境では生物は生育出来ないのであろうか。人間は地熱を利用してた地熱発電を用いてエネルギーを得るが、このような仕組みでエネルギーを作り出す生物の存在の可能性が考えられる。例えば海底の熱水噴出孔周辺に生きる細菌類は高熱でも変性しないタンパク質を持つ。このような性質を持つタンパク質持ち、熱エネルギーを起点として有機物を生産する植物(のような生命体)が存在、あるいは作り出すことが出来れば光の届きにくい深海や地中、小惑星などにも人類の活動圏を広げられるかもしれない。

A:海底の熱水噴出孔周辺の生態系については、「熱水生物群集の成り立ち」をご覧ください。これらの生態系のエネルギーは熱ではなく、化学エネルギーなのです。生化学で教えた熱力学の中で少し触れたかもしれませんが、熱を生物学的エネルギー源とすることは極めて困難です。


Q:授業では、藻の中で灰色藻だけが2重の膜の間にペプチドグリカンの層を持つという内容が取り上げられた。しかし、他の藻にはペプチドグリカンの層がないことから、ペプチドグリカンの層は進化をする上で消失したと考えられる。そしてこれは、進化の上で細胞壁が消失したことと等しい。そこで、消失して、植物において再び別の細胞壁が作られた理由について考えた。まず、原核生物が真核生物になることで、生物の数が圧倒的に増える。また、真核生物が誕生した時代にまだ分解者がいなかったとする。真核生物が増え、分解者による無機物を有機物にする働きがないとすると、エネルギー源となる有機物の量が不足する。そこで生物は有機物を効率よく吸収するために形状を変える必要があったと考えられる。細胞壁をなくすことで、細胞の形状が固定されなくなり、例えばヒダ状の形態を構成することが可能になる。ヒダ状にすることで、表面積が増え、少ない有機物でも効率的に吸収することができたと考える。効率的に吸収できるようになったのにも関わらず植物が再び細胞壁を作ったのは、細胞壁が消失している間に光合成の機能が作られ、表面積を大きくして有機物を吸収するよりも、光合成の機能を守る機能を作った方が、効率的だったからだと考える。また、細胞壁の主成分をペプチドグリカンから変えた理由としては、ペプチドを含まないことで、変性する可能性を低くすることや、ペニシリンといった抗生物質の影響を受けないというメリットがあるからだと考える。また、数ある物質の中からセルロースを細胞壁の主成分として選んだのは、セルロースが水などの溶媒に不溶なこと、繊維状であるから丈夫であるが、水と混合することで膨張できるといった柔軟性があるなどのといった理由が考えられる。*(1)の文献参考
参考文献(1)セルロースの正体とは?食品添加物としての用途や特徴を詳しく解説 -Food for Well-being -かわしま屋のWebメディア- (kawashima-ya.jp)

A:これって、もしかしたら誤解をしているかな。「灰色藻だけが2重の膜の間にペプチドグリカンの層を持つ」は、正確には「灰色藻の葉緑体だけが2重の膜の間にペプチドグリカンの層を持つ」ですよ。細胞膜の外の細胞壁と、葉緑体の包膜の間のペプチドグリカン層を混同しているように思えます。


Q:緑藻は,祖先藻類が持っていたフィコビリンを失い,クロロフィルbを獲得した。さらに,これが進化して多様な陸上植物が誕生した。フィコビリンはフィコビリソームと呼ばれる,PSIIのアンテナタンパク質中に含まれるという1)。一方,緑藻はフィコビリソームを持たず,クロロフィルなどを持つアンテナタンパク質(LHC)を持つ。すなわち,祖先藻類から緑藻の進化はフィコビリソームを失い,クロロフィルを持つLHCを獲得することによって起きたと考えられ,この喪失と獲得は藻類の進化の過程で大きな変化と言える。フィコビリソームの喪失はともかく,複雑な色素タンパク質であるLHCの獲得はいったいどのように起きたのだろうか。考えられる可能性の一つに,PSIIの構造の変化が考えられる。PSIIはクロロフィルを持ち,PSIIの一部分が分離してアンテナタンパク質として機能しはじめるように進化したかもしれない。PSII自体がクロロフィルを用いた反応を行うため,フィコビリソームによる集光よりもPSIIから進化したLHCのほうが,光エネルギーの損失が少ないなど,都合がよかった可能性も考えられる。これを確かめるには,PSIIとLHCのアミノ酸配列およびタンパク質の構造の類似性を検証したり,フィコビリソームとLHCの集光効率を比較したりするとよい。
1) 日本光合成学会編,光合成,朝倉書店,2021.

A:全体としてはきちんと考えていてよいと思います。強いて言うと、「考えらえる可能性の一つに」として理屈抜きに仮説が提示されていて、そのあとにその解釈が述べられている点が少し弱いかもしれません。解釈の一部を先にもってきて、だからこの仮説が考えられるという展開にした方が、論理的なつながりは強くなると思います。


Q:今回の講義では植物の系統樹が紹介され、寄生虫で線虫などの仲間だと思っていたマラリア原虫が渦鞭毛藻などと近い原生生物だと知り驚いたが、系統の分化をアルベオラータに注目して見てみると、まず初めにマラリアなど寄生性のプラスモディウム属が分化していることがわかる。そこで、どのようにプラスモディウス属が早い段階で分化したのか考えていく。まず、分化以前の形態としては、系統樹をたどってくとアメーバなどのナエグレリア属などがあることから、捕食性の単細胞生物であったと考えられる。また、寄生性の生物が生息できる条件としては、自身より大きい生物が一定数生息していることが考えられる。さらに、寄生には外部寄生と内部寄生があるが、プラスモディウス属は現在では内部寄生を行っているため、初めから内部寄生を行っていたと考えられる。よって、プラスモディウス属が分化した時期には、さまざまな大きさの捕食性の生物が生息しており、ある捕食性の単細胞生物が大型の捕食性の生物に捕食され、その際に捕食者の内部で生息できたことに加え、生体内で生息できるということは捕食されることも少ないため死亡率も低くなったことから、寄生を行う種として分化したと考えられる。

A:考え方は面白いのですが、ここで「系統樹をたどっていくと」といっている系統樹は、宿主の系統樹ですよね?その場合、細胞内共生をしている共生体の有無の情報は消えてしまいます。一方で、生態系内でのフィットネスを考える上では、共生により生じた葉緑体により光合成をできるかどうかは極めて重要ですから、その点についてっも考慮する必要があるように思います。


Q:藍藻(シアノバクテリア)には、フィコシアニンという青い光合成色素があるという。シアノバクテリアには、他にも馴染み深い緑色の光合成色素である、クロロフィルも持っている。陸上植物等でも、クロロフィルの他に、光合成色素を持つことがあるが、フィコシアニンを持つものは紅藻しかない。シアノバクテリアから現在の光合成植物は進化したのに、なぜ紅藻しか持たないのだろうか。紅藻は、緑藻や褐藻に比べ、深い海域に生えている。そのため、届く太陽光が少ない。 赤色光は水に吸収されやすいため、青色光が深くまで届く。そのために紅藻は赤い光合成色素を持っていることが考えられる。だが、深海に届きずらい赤色光を吸収するフィコシアニンを持つのは謎である。その理由として、フィコシアニンは直接光合成に関わるというよりは、触媒のような働きをしている事を考えた。紅藻は陸上植物や、その他の藻類と比べ、光量の少ない深海に生えているために、光合成を補うためにフィコシアニンという、触媒効果のある色素を保持したまま進化したことが考えられる。また、その他の光合成植物は、十分光合成に足りる光量を受ける事が出来たため、触媒作用は必要なく、退化したためにフィコシアニンを持たない事が考えられる。

A:面白いテーマだと思います。ただ、光を吸収するという物理的な過程において、「触媒作用」なるものが何を意味するのかが難しいですね。少しでも例を挙げることができるとよいのですが。