読書記録2026

最近、一度読んだ本でも忘れていることが出てきて年を感じます。ひどいときは、新しく読む本だと思って、面白く読み進めていくうちに、何だか知っている気がしはじめて、読み終わる頃に、そういえば昔読んだことがあったと思い出すこともありました。そこで、新しく読んだ本を忘備録としてここに書いておくことにしました(平成14年3月開始)。「新しく読んだ」というだけで、別に新刊の本とは限りません。


「わたしの芭蕉」加賀乙彦著、講談社 令和8年6月読了
 芭蕉の句を、季節や思想、旅などのテーマに従って鑑賞したエッセイです。荘子の思想との関連が特に強調されています。その通りだとは思いながら腑に落ちない感じを持ちつつ読み進めていたのですが、最後に美の世界で芭蕉は荘子を乗り越えたという解説があって、腑に落ちない感じの原因がなんとなくわかりました。そのあたりについての著者の思いをもう少し読みたいと感じました。

「そのギモン、カガクのチカラでもっと答えます」日本経済新聞社編集サイエンスグループ編、日経サイエンス社 令和8年5月読了
 日本経済新聞に連載されていた「親子スクール理科学」の記事のために植物の葉の色について取材を受けたことがあるのですが、その連載を再構成した本です。非常に幅の広い話題についてよく調べていると思います。

「牧野富太郎の恋」長尾剛著、朝日文庫 令和8年5月読了
 連続テレビ小説「らんまん」の世界ですね。かなり奇天烈に描かれていますが、実際にある程度そういう人だったのでしょう。

「AIは短歌をどう詠むか」浦川通著、講談社現代新書 令和8年3月読了
 AIに短歌(あるいはWikipediaからたまたま定型になっている日本語を切り出したもの)を学習させて、短歌を詠ませるプロジェクトを紹介するとともに、そこから人間が短歌を作る際にしていることの本質を抽出しようとする試みも紹介されています。AI以前に著者の短歌観が僕にはしっくりこないのと、結論が「適度が飛躍が重要」というごく当たり前なところに着地しているので、苦労の割には報われないプロジェクトだったという印象を受けました。

「百年の短歌」 三枝昂之著、新潮選書 令和8年1月読了
 さまざまな作者の短歌に解説を付けたアンソロジーです。「百年」といっても古いものは明治時代にさかのぼり、現代短歌に至るまでの幅広い時代の歌が、時代別ではなく、春夏秋冬、時代と人生、折々の歌といった一種の部立てになっている点が特徴的です。「和歌」と「現代短歌」が隣り合わせに紹介されることによって、大げさに言えば歌のエッセンスが浮かび上がる気がします。歌そのものの鑑賞と作者の解説のバランスもよく、短歌という形式の素晴らしさがよく理解できます。最後に作者の短い略歴が記載されているのですが、まとめて読むと、早稲田大学の存在感はなかなかのものです。三枝さんも早稲田の出身ですが。