生命をあやつるホルモン
日本比較内分泌学会編、講談社ブルーバックス、2003年、238頁、924円
動物のホルモンについて、基本的なところからきちんと抑えた教科書になっています。一般の読者を念頭において、動物の行動と結びつけながら説明されているので、難しすぎる、ということはないと思うのですが、それでも、いろいろなホルモンの名前がたくさん出てくるので、どうしても羅列的な印象は避けられません。まあ、こればっかりは、実際に非常に多くの種類のホルモンがわかっている以上、しょうがないでしょうね。動物ホルモンは種類が多いだけでなく、動物によって似たホルモンでもはたらきが違う例がありますし、さらには、発生の段階によっても違うはたらきをします。そのあたりが面白みでもあり、難しいところでもあるのでしょう。最後の方のホルモンとその受容体の進化を扱っている章は、まさにそのような面白さ難しさが凝縮されている気がします。分担執筆された原稿を、章ごとに担当者がまとめたそうですが、語り口などは非常に整っていて読みやすくなっていて、理系の学生ならば気軽に読める気がします。