植物は葉緑体からどのようにして光合成産物を運び出すのですか?
葉緑体から細胞質へ炭素が運び出される時は、カルビン回路の中間代謝産物であるトリオースリン酸(炭素3つを含む化合物がリン酸化されたもの)の形を取ります。光合成をしている時は、カルビン回路のトリオースリン酸が直接運び出されますし、夜にはデンプンを分解して糖の形で運び出します。トリオースリン酸は細胞質でFBPaseやSPS (Sucrose phosphate synthase) といった酵素の働きでリン酸化された単糖からショ糖になり、茎の師管を通して運ばれます。目的の組織についたショ糖は、ショ糖合成酵素(名前はショ糖合成酵素ですが通常ショ糖の分解に働きます)の働きで単糖になり、さらにデンプンになります。反応に関する時間ですが、昼間に葉に貯められたデンプンは夜の間に徐々に分解され、量が減少していきます。この減少は、明け方まで続くので、その意味では数時間かかる、ということになります。もちろん個々の酵素反応は、基質の濃度によって決まるそれぞれ特有の反応速度を持つことになります。上に書いたような、トリオースリン酸が直接カルビン回路から細胞質に取り出される反応は昼間でも起こっているはずです。ですから、転流自体は昼も夜も行われていると考えて良いでしょう。いわば、それで処理しきれなかった分がデンプンとして葉緑体に蓄えられるので、見かけ上、昼間にデンプンを貯めて、夜間に分解する形になるわけです。