光合成ではなぜデンプンを作るのか?

植物にとって、デンプンはいわば食料戸棚にしまっておく材料です。人間なら、毎日(人によって週に一度かも知れませんが)買い物に行って、食料戸棚に材料を満たして、次に買い物に行くまでは、その材料を使って料理をしますよね。同じように、植物は、買い物をする代わりに、昼間に光合成によって自分のエネルギーになるものを作って貯めておいて、それを少しずつ使うのです。例えば、昼間に光合成をして稼いだものをデンプンとして貯蔵しておいて夜に使ったりします。場合によっては、夏から秋に稼いだ分を根っこにデンプンとして貯めておいて、春に芽を出す時にそれを取り出して使う場合もあるでしょう。

一方、なぜ他の物質を貯めないで、デンプンではなくてはいけないのか、という質問だとすると、なかなか答えは難しいですね。植物の種類によっては、デンプンではなくてお砂糖(ショ糖)を貯めるものもありますから、デンプンではなくては絶対にいけない、というわけではなさそうです。しかし、ショ糖のように水に溶けるものを大量にため込むと、細胞の中で浸透圧(わからなかったら取りあえず「水をひきつける力」と考えて下さい)が上がって不都合を生じる場合があります。デンプンは糖がたくさんつながった形をしていてあまり水に溶けずに安定なので、何かを貯蔵する物質としては非常によいのです。そのあたりが大きな原因だと思います。