緑色植物と光合成細菌のクロロフィルはなぜ違うか?
これは非常に難しい質問です。「なぜ」という質問には、いろいろな答え方があるのですが、ここでは損得を考えてみます。ただし、「なぜ」という質問に対しては、考えることはできますが、必ずしもこれが正解、という答えがあるとは限らないことに注意してください。緑色植物はクロロフィルを持っており、光合成細菌はバクテリオクロロフィルを持っています。クロロフィルの多くは可視光を吸収しますが、バクテリオクロロフィルは赤外光を吸収します。ですから、クロロフィルの方がより大きなエネルギーを使うことができます。しかし、もし、クロロフィルがあらゆる面でクロロフィルよりも優っていれば、バクテリオクロロフィルを持つ生物は絶滅するはずです。実際には、光合成細菌が存在するわけですから、何かバクテリオクロロフィルの方が有利な場合もあるはずです。赤外光の特徴の一つに散乱されづらい、ということがあります。いろいろなものが溶けたり浮遊したりしている水の中に光が通る場合、可視光と赤外光を比べると、赤外光の方が深くまで届きます。ですから、ある程度深い場所に生育する生物にとっては、赤外光を利用した場合には得になるはずです。また、上層に緑色植物がいて、それによって可視光が遮られてしまっているような環境でも得になるでしょう。このように、光の環境によって棲み分けが可能であるから、二種類の生物が異なるクロロフィルを持っている、と説明することが可能です。