光合成色素はどこに存在しているのですか

光合成色素は光合成に働くわけですから、当然、光合成の細胞内器官である葉緑体に存在します。葉緑体は、その中にチラコイド膜という膜を持っているのですが、クロロフィルやカロテノイドの多くは、タンパク質と結合してこのチラコイド膜の中に存在します。フィコビリンの場合は、クロロフィルやカロテノイドとは異なり、タンパク質と共有結合した発色団からなります。フィコビリンは、フィコビリゾームという巨大な複合体を形成して、チラコイド膜の外側に結合した形で存在します。ただし、カロテノイドに関しては、全てのカロテノイドが光合成色素として働いているわけではありません。光合成とは無関係に働くカロテノイドは、例えば細胞膜などに存在する場合があります。

光合成色素がタンパク質に結合した状態で存在することには意味があります。光を吸収するとエネルギーを持った状態になりますが、エネルギーはもろ刃の剣で、うまく使えれば役立ちますが、使い損ねるといろいろな生体分子を破壊しかねません。生物は、そのような危険を秘めている光合成色素を、ふらふらした状態にはせず、必ずタンパク質に結合した状態におくことによってその働きを制御しているのです。