光合成色素の構造のどの部分が光を吸収しているのですか
クロロフィルは、大きく分けて四角いポルフィリン骨格と、そこについたしっぽのような長い炭化水素の鎖であるフィトール鎖からなります。クロロフィルcはフィトールの部分がないのですが、それでも可視部に吸収がありますから、ポルフィリン骨格の部分の構造が主に光の吸収に関わっていることがわかりますね。カロテノイドは、場合によっては両端が環状構造になる長い炭化水素の鎖ですが、環状構造をとらないものでも可視部に吸収を持つものがありますから、環状構造自体は吸収の存在に必須ではありません。炭化水素の鎖には、共役二重結合(つまり一重結合と交互に並んでいる二重結合)が存在しますが、これの種類と数によって吸収スペクトルの形は変化します。その意味では、共役二重結合が吸収を決めていると言ってもよいかと思います。フィコビリンの発色団はクロロフィルのポルフィリン骨格が開いたような構造をしていますが、やはり共有二重結合のつながりは保たれています。
共役二重結合と吸収スペクトルの関係について簡単に説明しておきます。クロロフィルやカロテノイドは炭素と水素(と場合によって窒素)からなり、大きく分けた場合は脂質に分類されます。脂質は、可視光を吸収しないものが多いのですが、紫外線領域の光を吸収するものは多くあります。共役二重結合を持つと、その長さ(数)に応じて吸収する光の波長がより長くなります。ですから、共役二重結合が少し長くなると紫外線ではなく青い光を吸収するようになり、さらに長くなると緑色の光を吸収するようになります。カロテノイドは、構造的にはほぼ単純な炭化水素の鎖と言ってもよいので、共役している二重結合の数を数えると、その吸収スペクトルがある程度予測できます。