光合成色素の役割は何ですか
光合成色素の一番大きな役割は、光を吸収することです。光合成では光のエネルギーを駆動力として使いますが、そのためにはまず光を吸収する必要があります。クロロフィルとフィコビリンの大部分と、カロテノイドの一部は、このような光捕集に働いています。このような役割を果たす色素を光捕集色素、またはアンテナ色素といいます。
一方、光合成電子伝達と呼ばれる、光によって駆動される酸化還元反応の中で、一部のクロロフィルがその反応の当事者となります。例えば、光化学系IIの反応中心のP680、系Iの反応中心のP700はどちらもクロロフィルであり、光捕集色素に対して、反応中心色素と呼ばれます。ただし、反応中心色素として特別な種類の色素が存在するわけではなく、クロロフィルa(と正確に言えばその立体異性体のクロロフィルa')が反応中心色素としても働きます。
もう一つの役割は、安全装置として働く場合です。植物の葉にはβーカロテンという黄色い色素が含まれていますが、これは光を集める働きは弱く、むしろ光が強すぎた場合に、余分な光によって生じた体に害を及ぼす物質(活性酸素といいます)を無害にする働きをしています。また、ゼアキサンチンなどのキサントフィルも一種の安全装置として働いていると考えられています。