お茶やホウレンソウのゆで汁に抽出されている色素は何か?

僕はお茶の専門家ではないのですが、考えてみることはできますね。煎茶と、ほうじ茶と、抹茶を比べると、煎茶は一番色が薄く、ほとんど黄色なのに対して、ほうじ茶と抹茶は色が濃くてそれぞれ茶色と緑色です。抹茶の場合は、緑色なので、元々のクロロフィルが残っていると考えられます。抹茶の場合は、葉を粉にして、それがお湯に浮いている状態(懸濁状態と言います)になっているので、クロロフィルは水に溶けているのではなく、溶けないまま小さな粒の中に含まれてふらふらしているのでしょう。つまり、実際には、葉から抽出はされていない、ということですね。ほうじ茶の場合、濃い色がでますが、抽出された色は緑色ではなく、茶色です。これは、クロロフィルが熱などによって分解して、その分解産物(茶色なのでしょう)は水に溶けるようになった、と考えるとよく説明できます。煎茶の場合は、ほうじ茶に比べると、お茶の製造工程での処理がマイルドなため、おそらく、その分解産物の量が少なく、色が薄いのでしょう。抽出された色は緑と言うよりは、黄色に近いと思いますので、少なくともクロロフィルそのものの色ではないでしょう。煎茶の主成分は、アミノ酸類、カテキン類とカフェインだといわれています。この中で、カテキン類は短波長の領域に吸収を持ちますからその色かも知れません。ただし、カテキン類は光合成色素ではありません。

ホウレンソウのゆで汁は、ホウレンソウが中に入っている時は何となく緑色に見えますが、ホウレンソウを引き上げて、ゆで汁だけを透明な容器に入れてよく見ると、色はそれほど緑というほどではありません。どちらかというと黄色から褐色に近いような色だと思うのですが。ちゃんと調べてみたことはないのですが、クロロフィルの含有量は高くないと思います。カロテノイドについては、種類がいくつかあり、βーカロテンなどは水に全く溶けませんが、より水と親和性の高いカロテノイドの一群(キサントフィルと呼ばれます)の中には、ある程度は水に溶け出すものがあるかも知れません。ただ、色が本当にキサントフィルによるものかどうかは確かめたことがないので、よくわかりません。