フィコビリンとクロロフィルのうち、なぜクロロフィルだけが有機溶媒で抽出されるのか?

確かに、フィコビリンの色素部分(発色団)とクロロフィルの構造を比べると、環状か、開いているかの違いはあってもよく似ています。違いは、タンパク質との結合の仕方にあります。光合成関連の色素は、基本的に植物体内でタンパク質に結合した形で存在しています。ここで、クロロフィルとタンパク質の間の結合は配位結合なのに対して、フィコビリンの色素部分(発色団)であるフィコシアノビリンなどとタンパク質の結合は共有結合なのです。従って、有機溶媒抽出などでクロロフィルはタンパク質からはずれますが、フィコビリンの発色団ははずれません。これが抽出の差の原因です。ちなみに、フィコビリンの発色団とタンパク質の間の結合は共有結合であるため、SDS等の界面活性剤でもタンパク質から解離しません。ですから、シアノバクテリアのチラコイド膜のタンパク質をSDSゲル電気泳動で分離すると、タンパク質の染色を行なわなくても、フィコビリンのバンドは色が付いて見えます。