なぜ葉は緑色なのですか

植物は光合成をするために光を吸収しますが、そのために葉緑素(クロロフィル)という色素を持っています。このクロロフィルが赤色(680 nm前後の光)と青色(430 nm前後の光)の光を吸収することにより、 残りの緑色の光が反射されたり、散乱されたりして私たちの目に入り、葉が緑色に見えます。光合成の活性とは直接関係ないことは、光合成活性を失ったホウレンソウのお浸しでも緑色をしていることからもわかります。この際、光合成に使われない場合は、クロロフィルが吸収した赤と青の光は大部分熱になります。陸上植物では、クロロフィル以外の光合成色素として一番多いのはカロテノイド(カロテンやキサントフィルなど)ですが、これらはオレンジから黄色に見える色素で、主に500 nm 前後の光を吸収しますので、これも緑色の光はあまり吸収しません。昔の銀塩写真を現像するための暗室などでは作業のために、赤色灯がつけていたものですが、植物を暗所で操作するような実験では、暗室に緑色の明かりをつけて作業します。これは、緑色の光ならば、人間の目には見えるけれども、植物には吸収されにくいことを利用しています。人間の目の感度が一番よいのが実は緑色の領域なのです。ちなみに、写真暗室で赤色灯を使うのは、赤い光は波長が長く、エネルギーが低いので、印画紙を感光させづらいことによります。