光の環境を変えるとどのぐらいの時間で光合成の能力が変わりますか?
光合成の速度自体は、光の強さによって即座に変化しますが、ここで質問されているのは光合成の仕組み自体が、光環境に応じて順化していくのにかかる時間のことでしょうね。光の環境が変わった時にどれだけ速くそれに対応できるかは、植物種によってかなり違うと思います。植物の研究によく使われるシロイヌナズナ(これは小さな草です)だと、光環境を変えて4日ぐらいで、光合成系が変化します。これは、例えば、クロロフィルaとbの比率の変化などとして検出できます。ただ、おそらく樹木の葉などでは、もっと時間がかかるのではないかと想像します。
もう一つ注意しなくてはいけないのは、光環境にたいする順化の能力は植物により様々だという点です。かなり広い範囲の光の明るさに適応できる万能型のものから、このぐらいの光でないと、といういわば専門化した植物まであります。例えば、本当に暗い環境にだけ生育する植物の場合、強光には弱く、徐々にならしていっても直射日光が当たるような環境ではあまりよく育ちません。そのように専門化した植物と、光環境が変わるとそれに応じて自分を変えていける柔軟性のある植物とがあります。