藻類によってpHが変わるのはなぜか?
狭い水槽などに緑藻などの藻類がはえると、pHが高くなる(アルカリ化する)ことがあります。これは光合成により二酸化炭素が吸収されることによります。一般的に、水の中の二酸化炭素/炭酸イオンは、空気中の二酸化炭素と平衡関係にあります。ですから、光合成で二酸化炭素が吸収されても、空気から二酸化炭素がとけ込むために大きな池などではpHの極端な変化は抑えられます。ただ、例えば小さな水槽では、特にあらかじめ二酸化炭素の供給源として重曹(炭酸水素ナトリウム)を溶かしておいてから藻類を速く生育させたような場合には、簡単にpHが10を超えてしまいます。炭酸水素ナトリウムの化学式はNaHCO3ですが、ここから光合成でCO2が使われれば、引き算で残るのは、NaOHです。アルカリになることは当然と言えるでしょう。ただし、アルカリ化するのは重曹を入れた場合だけではありません。要は、水に溶けた状態では酸性を示す二酸化炭素が光合成によって減るわけなので、そのこと自体が溶液をアルカリ化させます。pHを変化させた藻類自体がその変化によって死滅する例もあります。pH10を超える状態で、まだどんどん増殖するような種は限られると思いますが、pHの変化自体は多くの種で一般的に起こりうると思います。狭い水槽でも、例えば空気(二酸化炭素を含みます)を通気して培養した場合には、pHの変化はあまり見られません。これは、光合成によって失われた二酸化炭素を補給し続けれることによって、アルカリ化する溶液を炭酸によっていわば中和していることに相当します。化学式に関しては「二酸化炭素が吸収されるとなぜ溶液はアルカリになるか?」をご覧下さい。