除草剤はどのように効くか?
実は、一口に除草剤といってもいろいろなものがあります。代表的なのは、1)光合成を直接阻害するタイプ、2)光合成の電子伝達系から還元力を奪って酸素に渡してしまうタイプ、3)そして、光合成には無関係で植物ホルモンとして働くタイプ、の3つでしょう。光合成を直接阻害するタイプの阻害剤として有名なのは、DCMUという薬剤ですが、これは、2つある光化学系の1つ、光化学系IIから電子を受け取るプラストキノンと構造が似ていて、プラストキノンの代わりに光化学系IIに結合することにより光合成の電子伝達反応を阻害します。アトラジンなども同じタイプです。2番目のタイプとしては、メチルビオローゲン(商品名はパラコート)があります。光化学系Iから電子を受け取るので、光合成系で還元力が生じません。しかも、受け取った電子を酸素に渡すことによって活性酸素が生じるので、さらに植物体に大きなダメージを与えます。最後の植物ホルモンのタイプとしては2,4-Dが有名です。植物にとって重要な植物ホルモンでも、外から大量に与えられたら正常な生育を妨げてしまうことを利用しています。この中で、メチルビオローゲンは呼吸の電子伝達系からも電子を受け取る能力を持ちますので、人に対しても高い毒性を示します。