ポストゲノム時代の生命科学 第2回講義

人工核酸で病気を治す

第2回は、分子デザイン工学分野の和田先生が担当されました。 寄せられたレポートの中から目立ったもの3つを以下に載せておきます。


生命科学において、その立体構造が取りざたされるのはもっぱらタンパク質だと思っていたので、DNAやRNAといった遺伝物質そのもの(核酸)の立体構造を手がかりにして医療的に有用な物質を合成する、という話は目新しく感じた。特に面白かったのは、人工核酸を用いたガンの放射線治療の話だった。よく耳にする「ガンの放射線治療」という言葉も、それだけでは放射線によってどのようにガン細胞にダメージを与えられるのか、という過程がまったく分からないが、今回の講義ではどのようにしてガン細胞だけ選択的に叩けるかと、といったことまでふくめて話が聞けてよかった。しかも、最先端の人工核酸医療というトピックと絡めて理解できたのでとても興味深く聞けた。


分子をつくる、デザインする、という作業をはじめて聞いた。分子を、つくるものだとは思っていなかった。とても大変そうだけれども、誰もまだつくったことのない分子をつくるというのは、どこか惹かれるものがある。その上、病気の治療に使えるとなれば、もっとやりがいがあると思う。今回は、たくさんの分子モデルが見られて面白かった。DNAの二重らせん構造が3種類もあるとは知らなかった。でも、一番ノーマルなB型が、最も美しいと思った。難しい言葉もあって、おそらく理解できたのは半分くらいだろうと思うけれど、楽しい授業だった。DNAの結晶を見てみたいと思った。


面白かった。それが授業を受けての第一の感想だ。今まで体験したことのなかった遺伝子の科学の面からのアプローチで興奮した。講義の中では、細かい作用、また、化合物の合成の部分については、そうなんだと納得するしかないところも多かったが、全体としては筋のよく分かる、研究の臨場感を味わえる内容だった。研究とその成果がいざ実用の面につながるまでの長い道のり、実験の厳しさ、99%まで求めなければいけないその必要とされる忍耐力、精神力。そして、遺伝子の奥深さ。遺伝子の二重らせんにもいろんな種類があると聞いた時は正直びっくりした。そもそもの疑問なのだが、遺伝子の塩基配列からどのようにしてあのたんぱく質の配列が大きな狂いなくできるのか、それが二重らせんの違いに、ほんの一部だろうがその答えがあるとは。感動した。最新の研究をかいま見た気がする。