植物生理学I 第7回講義
実際の研究例 強光ストレスと降雨ストレス
第7回の講義では、2つのテーマについてお話ししました。最初は、シアノバクテリアの強光順化・適応に関するお話で、これは現在埼玉大学の助手になっている日原さんとの共同研究です。2つ目は、かつて東京大学・理学部植物学科にいた石橋百枝さんの雨の植物に与える研究の紹介です。
Q: まず最初に、一番ショック(?)だったことは植物の雨によるストレスの話のオチです。。。前回の授業で(私だけかもしれませんが)実験を組み立てる時ちゃんと条件を限定してやらなきゃいけないんだなというようなことを一人で妙に納得してました。前回の授業で得たものといったら「条件を限定することの大切さ」といっても過言ではないくらいでした。そして今回も普通に実際の実験の講義を聞き、最後まで聞いて一人で納得した気分になっていたらそういうオチがついていたとは…講義二回分で信じ込ませてそういうオチに持っていくという先生の凝った策略だったんですか?と聞きたくなりました。実験の話の時はさすが科学者だなぁ、私もこういう実験系を自分で考えられるようになりたいと憧れていましたが、オチを聞かされた瞬間科学者の存在が小さなものに思えました。と同時に自然の偉大さに感動しました。実験をする時は自然を全体で見るのではなくある現象を限定してみていくわけですが、そういうことは本当に意味があるのか?と感じつつも、それが分かってからこそ自然の偉大さが本当に理解できるのかもとも思いました。なんか本当に「感想」になってしまいましたがそのくらい印象が強かったので今回はこれを送ります。
A:もちろん、我々も、実験している間はそんなオチが付くだろうと思って実験していたわけではないですがね。ただ、科学者にとって、うまくいったと思う実験でも「これでよいのだろうか」と疑う姿勢は常に必要だと思います。僕の先生がいっていましたが、実験の時の心構えは、「実験を始める前は楽観的に、終わったら悲観的に」だそうです。
Q:今回、200 μE m-2 s-1におけるグルコースの有無の二つの条件で一定時間WSとWLを培養し、一定時間後にどちらの存在の割合が多いかを調べる実験が進化の過程を見ているようでとても面白かったです。バクテリアのように世代時間の短いものだからこそできるシミュレーションだとは思いますが、このようなシミュレーションをもっといろいろな条件を付け加えてより現実世界に近い環境を作ることにより進化を再現することもできそうですね。
3枚目のプリントで光の強さを変えて何日間か培養しWSとWLの存在比を調べる実験で、WLが優性になる条件は狭いということがわかりましたが、なぜなのかがわかりません。実験過程を見ていると、300 μE m-2 s-1条件下では一時的にWLのほうが優性に成っており、最終的にWSが優性に成るという結果がでており、この結果は長期的に強光下にさらされる場合はWSの方が優性であるという実験に当てはまることはわかりますが、ただ、4日目でWLがほとんど完全に死滅するのをみると、WLとWSの差がPmgAだけの差なのか疑問です。また、PmgAが壊れるとグルコース存在下で育つことができないということは、おそらくはグルコースに関する分解酵素などをもたないことを意味しているのだと思うのですが、では、そのグルコースの酵素の存在が、なぜ、光条件における耐性をもコントロールするのか、その辺があいまいです。今回の実験は結果的にWSは強光下で順化し、最終的にWLより優性になるから、野生型WSが通常の環境により適応しており、また“順化”はWSが生きるために必要な方法であることはわかりましたが、なぜ、WLが短期的にしか強光下で優性になれないのか、そのメカニズムがとてもきになりました。
また、DCMUを摂取したWLはWS以上に生育が落ちませんでしたが、DCMUは本来シアノバクテリアが合成できる物質なのでしょうか?また、60時間においてはDCMUを摂取したWLが一番生育が落ちませんでしたが、これをより長い間続けると、結局はWSが一番になるのでしょうか?もしDCMUを細胞内で合成でくるWL型シアノバクテリアがいたら、強光な環境下で研究室内小進化実験を行うとWSとWL+DCMUの存在比はWL+DCMUのほうが優性になるのでしょうか?
A:なかなか、しっかりした質問で、短い文章では答えづらいですが、なるべく簡単に。
強光培養の実験で問題なのは、ここでは、バッチカルチャーといって一本の培養瓶で細胞が濃くなるまで培養しては、薄く植え継いでまた培養するという方法を採っていることです。この場合、植え継ぎ間隔が長くなると細胞が濃くなり、細胞同士が陰になって外側が強光でも、1つの細胞の受ける光は弱くなってしまいます。4日目でWLが増殖を停止するのは、24時間おきに植え継いで、細胞を薄く保った場合のみです。
グルコースの影響については、DCMUを入れて光合成をストップさせてグルコースを加えた場合(この場合は呼吸でエネルギーを得ます)は、WLとWSで生育に差がないことから、グルコースの取り込みには影響がないことがわかります。現在のところ、グルコースは呼吸系を通してプラストキノンプールを還元することから、ある程度の強光と同じような作用をしているのではないかと考えています。
DCMUは人工的に作られた阻害試薬です。DCMUを加えたWLがWSより生育がよい理由についてはよくわかっていません。WSではDCMUを作る変わりに、プロトン勾配などを利用して光合成の効率を落としていると考えてはいるのですが。
Q: 今回の講義の中で出てきた、+pmgAのタイプのシアノバクテリアは、強い光を当てられた時はPQ poolのところに電子がたまり、そこで過剰なエネルギーの消去系が働く、とのことでしたが、この時に働くエネルギーの消去系というのはステート変化なのですか?それともサイクリック電子伝達の方なのですか?配られたハンドアウトのデータによると、強光下では+pmgAタイプのものはPSIIの値が増えており、PSIは減っていると考えられるということだったので、ここではステート変化によってエネルギーが消去されているのではないか、とは思ったのですが、実際はどうなのでしょうか?
この疑問がきっかけとなって、ステート変化とサイクリック電子伝達の部分のハンドアウトを見直したのですが、見ているうちにわからないことが出てきてしまいました。ステート変化では、どのような仕組みでエネルギーが消去されているのでしょうか?蓄積したPQH2がLHCIIキナーゼを活性化する時にエネルギーが消去されているのか、それともLHCIIがPSIIコアからはずれていくことがエネルギーの消去につながっているのか、その辺りがわからなくなってしまいました。また、PSIIのコアからはずれたLHCIIは、その後、どこへ行くのでしょうか?PSIIから少し離れたところにとどまったままなのでしょうか?それとも、PSIの隣まで行ってしまうのでしょうか?そしてもしLHCIIがPSIの付近まで移動するのだとしたら、LHCIIはPSIIとPSIの間にあるb/f complexを通りぬけてしまうのですか?
雨によって光合成がどのように影響を受けるか、ということはこれまで聞いたことが無かったので、とてもおもしろかったです。ある程度の光があって、雨が降っている時にはRubiscoの量が減って阻害が起こる、雨が降っていても暗ければ阻害が起こらないということは、なんだか不思議な感じがしました。これは、植物が(この場合はインゲンですが)自然界ではめったに起こらない状況(雨が降っていてかつ明るい)に対して自身を守る防御機能を発達させず、起こり得る状況(雨が降っていてかつ暗い)に対して防御機構を発達させた結果こうなったのか、それとも、元々植物はそんな防御機構を持っておらず、ただ雨とある程度の光がある状況が植物にとって有害で、雨が降って暗いという状況があまり害を及ぼさないからこのような結果が出たのか、と考えてしまいました。
A:1つ目の質問ですが、過剰なエネルギーの消去はステート変化によって起こっています。実は、シアノバクテリアでは、ステート変化以外はエネルギー消去系にあまり関与していないとされます。サイクリックな電子伝達は、光化学系Iの吸収した光エネルギーは消去しますが、光化学系IIのエネルギー消去には役に立ちません。ステート変化が起こるとLHCIIがPSIIからはずれて、おそらくPSIへエネルギーを渡すようになります。その際にPSIの周りを回るサイクリックが必要になります。また、モデル図でPSI,b/f complex, PSII がならんでいる図をよく書きますが、これは電子の流れをわかりやすく説明するための図で、実際のチラコイド膜は2次元です。別にPSII からPSI に行くのに b/f complex を乗り越えていく必要はないんですよ。
やはり、生物は自然界で起こらない状況に対する防御機構は持たないことになると思います。進化の過程でそのようになっているというのが答えではないでしょうか。
Q:今回の講義では、その環境と条件に応じて進化していっているのは私たちの気づかないところで起こっているということがわかりました。特に野生型と変異型でのデータをグラフに表して見比べると、WSは本来自分に有利だから行う順化を行っているにも関わらず、順化がないWLの方が生育がよいというのでは矛盾が生じるという点でも、データの検討の重要性が再認識できた。WSが強光では有利になると考えられていたが、それは短期的条件では適用されないということが、後半のデータではWSの方がWLよりも強光において生育がよいことから、グラフ一つから様々なことがわかるんだということがわかりました。今回の講義での質問は、培養液の散乱グラフの説明で、変異型は本来WSより生育がいい。しかし、時間が経つと変異型の生育スピードは落ちてきて、阻害剤を加えた変異型の生育はあまり変わらない理由がよく理解できませんでした。そして、インゲンの雨の説明で二酸化炭素濃度が低いところでは、炭酸固定系が律速しているといっていましたが、その意味がよくわかりませんでした。
A:基本的に、野生型のシアノバクテリアは、強光で光合成活性をわざと低下させており、そのため、もちろん生育は少し遅くなるけれども、連続して強光があたっても生きていけるのだと考えています。変異株に阻害剤を入れたのは、変異株の高い光合成活性を無理矢理下げるためです。仕事中毒の人間は早死にしがちだけれども、強制的に休暇を取らせると寿命が延びる、といった感じでしょうか。
以前でも講義の中で触れましたが、ルビスコは効率の悪い酵素で、空気中くらいの二酸化炭素濃度である程度の光が当たっていれば、ルビスコによる二酸化炭素の固定が光合成の律速段階になります。その状態で、光化学反応に多少の阻害が起きても、それは律速段階でないので、光合成全体の速度は落ちません。しかし、ルビスコに阻害が起これば、直接光合成の速度が落ちます。逆に、光化学系が阻害されているかどうかを見るときには、光強度を弱くして光化学系が律速した状態での光合成速度を測ればよいことになります。
Q:*梅雨の降雨ストレスについて
まず、なぜ葉が濡れると気孔がいったん閉じてしまうのか、と疑問に思った。水が気孔から葉に入るのはなにか葉にとって都合の悪いことがあるのだろうか。しかし、時間の経過と共に少しづつ回復していくようなので、この可能性は低いのかもしれない。それとも、孔辺細胞が水分を吸収したために細胞内の圧力が増加し、それに伴って気孔が閉じるのだろうか。しかし、葉の表面にはワックス成分があるはずなので、水分は吸収されることは少ないのだろうか。なにか理由があって閉じているのか、あるいは単なる刺激に対する反応なのだろうか。疑問に思うところであった。
次に、ルビスコのことについて考えたことがあった。なぜ、光がある程度強くて雨が降った場合になぜ、ルビスコは壊されてしまうのだろうか。雨により気孔が閉じてしまうのであるならば、葉内のCO2濃度は低い状態のはずである。その状態で強い光が当たると言うことは、光阻害が起こりやすい状況となるはずである。このことと、ルビスコの破壊には関わりはないのだろうか。ルビスコは、光呼吸によって糖からCO2を生成することにより光エネルギーを余らないようにしていることは以前授業で習った。しかし、光阻害が起こりやすい状況が長時間続くと、ルビスコも破壊されてしまう可能性はないだろうか。
最後にもう一点、再びルビスコについてだが、もしも同じ実験をCAM植物で行った場合はどうなるのであろうか。昼間、強光のもとで脱水を避けるために気孔を閉じている状態の時に葉を水で濡らすことは、降雨による光合成阻害が起こりやすい状態に置くことと言える。乾燥耐性を持つCAM植物であるから、おそらく最終的には死んでしまうであろうが、どのような結果をもたらすのか、興味がある。
A:葉が濡れると気孔が閉じる理由は、現在のところよくわかりません。単なる応答なのかも知れません。東北大学の前先生のグループは、活性酸素でルビスコが失活する減少を見つけています。葉内に酸化炭素濃度の低い状態では、一種の光阻害を通じてそのようなことが起こっているのかも知れません。
CAM植物では、もともと昼間に気孔を閉じているわけですが、この場合には、二酸化炭素は有機酸(C4化合物)の解離によって供給されますから、細胞内の二酸化炭素濃度の低下は起こらず、光阻害は起きないことになります。
Q: The first research discussion was a
little too complicated for me to comprehend
completely. The section where a section of
DNA was mapped out was confusing- I don’t
think that I had enough basic knowledge to
understand what it was about. I understood
that the point was that the DNA of WS1 was
taken into the DNA of WL3, and that the specific
site where this occurred could be targeted.
Is that correct?
I found the other experiment more interesting,
perhaps because it was more on my level of
thought, but also because it involved an
experiment that a graduate student performed.
The central ideas of an experiment are mostly
clear and simple, but in order to prove the
ideas right, the process of actually doing
the experiment can be very complicated. From
the several experiments that we have covered
so far, the variables of the environment
are the key to conducting a successful experiment.
And it seems that the only way to know which
variables need to be put under the right
conditions is to go through the experiment
step by step, and to be organized with the
results of each experiments.
One of the things that can’t be forgotten
is that the conditions inside of a laboratory
are different from those of a natural environment.
In nature, there are so many variables affect
that can interact on each other, and this
kind of interaction is hard to reproduce
in the lab. In both experiments that were
introduced in the last lecture, the organisms
were affected in a different way than from
real wild types. As a result, in the second
experiment with plants and rain, the new
knowledge in very interesting, but almost
impossible to utilized directly. This is
by no means a failure though because it may
be connected to other ideas and experiments.
A:WSのDNAがWLに取り込まれてWS型に変化するところの理解はそれでよいと思います。実験条件に関する感想は、まさにその通りだと思います。生物学の実験は、予想と結果がはずれていたときの方が面白い研究になるような気もしますし。
Q: シアノバクテリアの強光適応と植物の降雨ストレスの2つの研究についての講義でしたが、私は最初のシアノバクテリアの強光適応のお話がとても興味深かったです。制限酵素で特定の部位を切り取って徐徐に mutation siteを探し出したり、プロモーターを使って親か子の株どっちららが異変を起こしたのかを調べたりとなんか探偵になったような感じですね。楽しそうに聞こえますが実際にその作業を行った方はいろいろと苦労したのでは?実験の失敗というのはあるんでしょうか?
A:もちろん、実験に失敗は付き物です。たぶん皆さんも、学生実験を始めていると思いますが、学生実験の場合は、実験を失敗しても何とかそれでレポートを書かなくてはなりません。実際の研究では、やり直して成功すればよい、とも言えますし、別な言い方をすれば成功するまでやり直さなくてはならない、とも言えます。また、実際に研究を始めると、「ネガティブな結果が出る」ことと「実験に失敗する」ことが、まるで違うことにも気がつくかも知れません。
Q:今回の講義では、シアノバクテリアが強光適応していく過程に関する、強光耐性変異株の発見、また変異株、野生株を比較する実験のお話と、雨(実際には葉が濡れるということ)が光合成に与える影響についてのお話をしていただきました。
シアノバクテリアの強光適応のお話では、変異株を遺伝子操作により人工的に生み出していく過程を見ることができ、その面白さに魅せられました。順応に関しては、変異株は強光によりはじめは光合成効率が上がり、一見生育の効率が良くなるように見受けられるが、実際にはその電子伝達系において活性酸素が発生してしまい三日目からは生育が落ちてしまうので長期戦には弱く、逆に光合成効率を下げる野生株はしっかりと生き、強光に対して光合成効率を落とすという野生株の順化は意味を持つということ、また、生育は実験室においては良くなる模様が観察できるが、実際には生育の良くなる条件は狭く、環境が変化する自然界における進化は簡単ではないことから、進化とは移りゆく環境の中でゆっくりと築かれていくものなのだと解りました。生きるために効率を悪くするというのは、我々人間にも通じているように感じ、考えさせられました。
雨が光合成に与える影響のお話は身近であり、非常に興味深く面白かったです。まさか雨と光が共に存在することが光合成に障害を与えてしまうなんて思いつきもしませんでした。植物は雨を降らせる雨雲が光を遮断することによって守られているのですね。雨が光合成に与える影響は、光化学系、CO2固定系共に障害を受けるということでしたが、光化学系では、光化学系Iまた光化学系IIでは阻害を受けず、それらを繋ぐポイントで阻害が生じているということでしたが、このメカニズムはどのようなものなのか疑問に思いました。やはり今までの講義で光合成障害がある度に顔を出した活性酸素が影響してるのでしょうか。また、CO2固定系では、たった24時間の雨処理だけでRubiscoの量が1/2になってしまうなんて本当に驚きでした。
A:雨による電子伝達の阻害部位がPSI と PSII の間らしいということはわかったのですが、実際のメカニズムや、正確にどこが阻害されているのかは、結局わかりませんでした。活性酸素が関与しているかどうかは空気中から酸素を除いてやればわかるかも知れませんが、雨チャンバーはかなり大がかりなので、実験的に難しくて断念しました。
Q:今回の授業では、ストレス、雨が植物に与えるストレスについてふれられていました。ストレスについて興味があったので、このことについてすこし調べたことを報告します。つまり、環境ストレスのひとつとしてとりあげられていました。環境ストレスには、水ストレス、機械的ストレス、傷害、微生物感染、大気汚染、低温傷害、などがあります。そのなかで、水ストレスについていくつか調べてみました。
夏など強い直射日光が当たっている場合では、植物は耐乾性をもつようになる。そして、そのようなストレス下でも生き延びることができるようになる。このとき、植物はまず、急速にアブシジン酸を合成し、アブシジン酸が気孔を閉じさせる。また、長期間乾燥状態におかれた植物組織中にはアブシジン酸以外にアミノ酸のプロリンが大量に蓄積される。このように短期的な場合では、気孔の開閉などが考えられる。長期的に考えてみると、根の伸長(土壌に十分に水分がある場合、ない場合は逆)、葉数の減少などが考えられる。他にも化学的な要素もあると考えられるがここでは考えないことにした。
水が与えるストレスを測定するときの基準としては、Alvim法、蒸散の測定、気孔の開閉度測定、孔辺細胞内のカリウム量の測定、土壌のpF-水分曲線などが考えられる。Alvin法についてしらべてみました。
左の図のように1 mlのピペットと肉厚のゴム管を接続し、ゴム管の底はガラス製のせんでふたをしておく。あらかじめ肉厚ゴム管のなかにエオシンで着色した水溶液を加えておき、鋼鉄製の幅1 cmぐらいの平板バンドでゴム管の部部を植物の幹と一緒にとめる。このようにすうと幹の中の水が減少してくると、しめられていたバンドがゆるみ、肉厚ゴム管を圧迫していた圧力がすくなくなるため、ピペットの中のエオシン溶液が下がる。また幹の中の水が十分にあたえられたときには、幹の直径が増加し、金属製のバンドは肉厚ゴム管に食い込み、ピペット中のエオシンを押し上げる。このような方法で幹の中の水分状態を簡易に測定できる。実際直径3cmぐらいより太い樹皮の固い植物を使えば、24時間周期で、夜間に幹が太くなり、日中細くなるのが観察される。
A:Alvim法というのは、現在ではあまり使われていないかも知れませんね。
Q:WLの植地にWSのDNAをスポットする実験に関してWSの遺伝子を取り込んだWLがグルコース存在下でも阻害を受けないという結論だったと思うのですが、この取り込みは滴下DNA量にのみ依存するのでしょうか、それとも遺伝子の取り込みと並行して取り出しが起きたりして、ある種の平衡相関が存在するのでしょうか。さらにWSの遺伝子を取り込んだしあのバクテリアも隣接のWLに影響を及ぼすのでしょうか。またこのような遺伝子の取り込みは人間のような高等生物にも見られるのでしょうか。ウィルスがDNAを媒体するというようなことを聞いたことがあるのですが。
植物の降雨によるストレスに関する研究について
この研究から葉がぬれた状態で光が照射されると光合成が阻害されるという結論が導かれたと理解したのですが、この光の照射は実際どの程度で阻害を引き起こすのでしょうか。熱帯地方で霧が発生したときなど高層に位置する葉はかなりの阻害予想されるのですが。また降雨ではありませんが、藻類はともかく水際に生息する植物が降雨による増水などで水没しているのを見かけますが、これらの植物は根が腐る前に上の阻害を受けるのでしょうか。
A:「遺伝子の取り出し」というのはないでしょう。生育に不必要な遺伝子が、長い培養の間に「落ちる」ことはありますが。自然に外来の遺伝子を取り込む能力(形質転換能といいます)のある生物は下等な生物の一部に限られます。高等生物の場合は、人間がいろいろ苦労をして形質転換することになります。
雨の時の阻害は、直射日光の1/10程度の強さの光で起こります。水に濡れやすい水辺の植物などは、葉にワックス成分などを分泌して水をはじくようにしている例が多いようです。基本的に水がかかっても濡れなければよいわけですから。