植物生理学I 第1回講義

光合成とその研究の概略

第1回の講義では、光合成の諸反応の概略、植物にとっての光合成の意義、光合成研究の歴史的展開について話しました。以下に講義に寄せられたレポート(感想)と必要に応じてそれに対する答えを載せておきます。


Q:来年からは物理化学系の研究室で主にNMRをもちいた解析をする予定ですが,出来たら生体物質を扱いたいと思っています。もともと大学では生物か化学でも有機をやるつもりでしたが,自分なりに‘なぜ’を追及していたら,研究室としてはなぜか物理化学系を選ぶことになってしまいました。
 そんな中で先生が講義でおっしゃっていた,howだけでなくwhyも大切という言葉は,正直意外でした。この授業を通してもう一度なぜという問いかけの意味をよく考えてみたいです。そして生物学への(とにかく覚えるという)先入観を払拭し,その面白みを少しでも垣間見れたら,と思っています。
 講義に関する質問なのですが、もやしの成長点が物理的ダメージを避けるために下を向いている、と言う事でしたが,であれば、もやしはある程度成長すると下方に伸びていく,または渦を巻くのでしょうか?
 私事なのですが、僕は高校で生物をとっておらず、成長点という言葉も聞いた事があるようなというレベルなのですが、こんな僕でもこの講義についていけるのでしょうか?また見たところ、僕以外はほとんど生物専攻の学生のようですが、授業中に余り初歩的な事で質問しては、迷惑でしょうか?もしそうであれば,こちらのメールでまとめて聞いてもよろしいでしょか?
光合成は量子化学から生態学まで広くテーマを提供している様ですが、いずれも刺激的に思えたので、苦手な生物の分野(細胞)も頑張って理解したいと思っているので,よろしくお願いします。

A:僕自身も、実は、大学入試は生物ではなく、物理と化学を選択しました。どうも入試問題の生物は知識がないと論理だけでは答えられない気がしたのですから(もっとも、東大の入試問題は若干特殊で、より論理重視ですが、そのため高校教科書の範囲外の事柄も説明を加えつつ問題に取り入れることが多く、予備校などには評判が悪いようです)。個人的には、数学を筆頭にして物理や化学は若いうちにやらないと身に付かないが、生物は年をとってからでも努力すれば、勉強できる気がします。その意味で、もし、生物を研究者としてやるのであれば、高校、大学の学部ぐらいまで物理や化学をやっているのは非常にプラスになると思います。
 もやしを見たことありますよね?先端はフックのようになって下を向いていますが、茎(茎というのは厳密な呼称ではありませんが)自体はまっすぐ上にのびていきます。実際には、フックの部分を巻き戻しながら上にのびているわけです。
 質問に関しては、授業中にするのに、初歩的すぎる質問など存在しないと思います。もちろん、このメールで質問してもらっても全くかまいませんが、わからないうちに授業が進んでしまうと、雪だるま式にわからなくなる可能性もありますから、迷惑などと思わず、どんどん質問することをおすすめします。


Q:今回の授業で、知っているようで知らなかったことというものの多さに気付かされました。例えば「光合成が現在の地球を形作った」とか「水の役割(細胞壁の水分が少ない=しおれる)(孔辺細胞の水分の量で気孔が閉じたり開いたり)」とか「クロロフィルが緑に見えるのは青と赤の波長に吸収極大を持つから」ということなど。どの事柄も言われてみれば納得するし、そんなに難しいことではないと思いましたが自分からは思いつかないし、説明しなさいといわれても出来なかったと思います。高校、大学といろいろ生物の授業を受け、分野ごと、または断片的には結構専門用語とかも知っていたり聞いたことがあったりしますが、それら全体としてのつながりは意外と見えていなかったんだと感じました。分野ごとに一つのコースを終えて、部分的に分かった気になっていてもそれぞれの関わりが見えていなかったために学んでもあまり達成感みたいなものも得られず、そのため忘れやすくなっていくのだと思いました。
 授業形式で望むことは複雑な図などはハンドアウトを頂きたいです。内容としては、「植物生理学」を中心にいろんな分野に絡めて(他分野との関連性)授業をして欲しいです。そして、レポートにより成績がつくということなので、もしレポートにこういう事を書いて欲しいというのがあれば(テーマとか)明確にしてほしいです。

A:「細胞壁の水分が少ない」だと細胞壁に水がたっぷり含まれている感じですから、「細胞(壁)の内側の水分が少ない」が正確な表現でしょうね。授業の中でもいいましたが、光合成の分野は物理・化学にまで研究領域が及んでいますので、できるだけいろいろな分野に絡めて話をしていきたいと思います。
 学生さんにとって成績は気になる点だと思いますが、基本的にレポートにはテーマを設定しません(もしかしたら最終回のレポートにはテーマを決めるかも知れませんが)。成績は、レポートの中の考え方に新しい切り口を見せているものを評価したいと思っています。授業の中ではこう言っていたけれども、こういう考え方もできるのではないか、という感じの、僕が考えつかなかったような点を指摘してくれるのが理想です。もっともこの初回のレポートに関しては、今後の授業の進め方の参考にするという点に重きが置かれています。


Q:今回の講義では、光合成のメカニズム解明までの流れが中心に説明され、そして最後に、これからの生物学に求められる「視点」のような話があった。その中で、私にとって印象的だった話題についての感想や疑問などを述べたいと思う。クロロフィルなど、色素が吸収できる光の波長は、その色素によってだいたいの範囲が決まっている。また、色素を有機溶媒に溶かした状態で測定した吸収帯と、色素がタンパク質に結合した状態でのそれとは、異なるという。クロロフィルとタンパク質の結合の度合によっても、吸収帯は少しずつずれがあることから、個体内のクロロフィルとタンパク質の結合にバラエティをもたせることによって吸収帯が広がり、その結果より多くの光を吸収することが可能になるという。これが実用化すれば(もうしているのだろうか?)、たとえば日照時間の短かい地域で人工光を使わずに長日植物を育てるといったことが実現するだろう。
 しかしこの方法は、人工光を利用するよりも経済的に効率がいいのだろうか。つまり、広い吸収帯をもつという性質が遺伝子に取り込まれなければ、毎回色素とタンパク質の結合の度合を変化させる操作を人為的に加えなくてはならず、その労力は大変なものになるのではないだろうか。また、もし遺伝子組換えなどによって色素の結合形態が恒常的に変化させられたとしても、人体などへの安全性が問われている現在、消費者に受け入れられるかどうかはわからない。
 人間が手を加えてより便利なように変化させた植物は多数存在するが、そのような植物(特にポピュラーな農作物)が定着するかどうかは、需要と安全性と採算性のバランスによるのだろうと、考えた。

A:クロロフィルとタンパク質の相互作用を使って吸収する光の領域を広くとるということは、現実の植物ですでに実現されています。広い吸収を持つことはもちろん有利なのですけど、光の量が多くなっても、日照時間の短い地域で長日植物を育てるのは実際には無理です。これは、植物が長日・短日を見分けるのに、光の量ではなく、暗期の長さを利用しているからです。このことは、長い暗期の真ん中に短い明期を挟むと(光中断といいます)、植物は短い暗期が2つだと認識して光の総量はほとんど変わらないのに、夜が短い、つまり長日条件に対する反応を見せることでわかります。
 需要、安全性、採算性に関してはまさにその通りですね。特に安全性に関しては、実際に安全なだけではなく、多くの消費者が安全であると信じることが必要となるでしょう。


Q:<今後の授業について、話してほしいこと・すでに知っていること>
まず、生物の基本的なところ、例えば細胞の構造などは、Cell Biologyの授業で学んだので既知の内容として扱ってよいと思います。今回の授業では、光合成の発見や、光合成研究の流れを研究者の名前とともに年代的に追っていくのが、自分的にははじめての形だったので新鮮に感じました。また、もやしの話で、暗いところ=土の中=>よって日のあたるところに出ようと早いスピードで伸びるという話も面白かったです。
今後も、もやしの話のように、光合成にかかわるいろいろな寄り道的な話をしてほしいです。また、現在の光合成を研究している研究者たちが光合成のどのようなことをどのような素材を使って研究しているかについても触れてほしいです。C4植物やCAM植物、また光合成細菌についての話も聞いてみたいです。
<今回、自分で調べたこと>
授業中にでたアイザック・アシモフのことは名前だけは聞いたことがありましたがどんな人か知らなかったので気になって調べてみました。その結果、彼は1938年ごろから1983年までに200冊もの本を出し、その本の内容には生物・化学・物理・数学・天文・その他いろいろな分野の内容についての本を出していることを知りました。最初はSF作家としてデビューしたようですが、実際にはフィクションだけでなくノンフィクション(すなわち、学問的な本)を多く出していたようです。生物学的な内容を扱ったものは「人体の話」、「ビタミンって何?」、「恐竜ってなに?」、「細菌ってなに?」、「脳—生命の神秘を探る」などがあります。

A:自分が学生だったときのことを考えても、授業で一番おもしろいのは寄り道ですよね。結局、後々覚えているのは寄り道の部分ですからせいぜい役に立つ寄り道をしようと考えています。
 アシモフは大学では生化学を教えていたようで、日本で言えば助教授クラスになっています。僕は彼のSFが好きですが、フィクションでは「黒後家蜘蛛の会」シリーズなどのミステリー(といっても謎解きよりは知的な会話を楽しむという感じですが)も書いてて、これも面白いですね。亡くなったときはNatureという雑誌に特集記事が載りました。


Q:今回は授業へのコメントと、どこまで光合成について知っているか述べます。
まずは授業から。プリントとプロジェクターの使用は解りやすくて良いです。理解が促進します。ただし、重要そうな部分はある程度黒板に書くと良いです。例えば、理解のキーとなる単語(カルビン=ベンソン回路とか)などです。書いてあれば確実に記載出来ますので、後で調べる時楽になるためです。生徒側も出来るだけ前に座り、見落としが無いようにします。
次に、光合成についての知識程度です。カルビン=ベンソン回路、非環状光リン酸化など、光合成の概論的な知識は把握しています。それらの基本的な仕組みについても同様です。ただし、詳細、化学反応の細部などはまだ理解しきっていない、あるいは全く知らないというところが山ほどあります。概論的な部分をざっとやった後、光合成ならば光合成の細かいシステムを詳しく説明して欲しいです。

A:追々細かいシステムにまで踏み込む予定ですが、なるべく、細かい点を覚えるための授業ではなく、その意味合いをつかみ取るような方向に進めていきたいと思っています。ただ、みなさんの中には将来、大学院への進学を考えている人もいるでしょうし、そういう人には、大学院受験のためにも細かい知識が必要でしょうかねえ。ただ、受験のための知識というのも本末転倒のような気がしますし。


Q:植物生理学1の初回の授業は、だいたいが理解できましたが、クロロフィルa、bの吸収スペクトルの話が難しかったです。クロロフィルa、bに光を照射した時、主に青や赤の光が吸収され、緑や黄色の光はあまり吸収されない。そのため、人が目で光合成色素であるそれらを見たと時、吸収されなかった黄色や緑の光が目に入り、光合成色素は緑色だと認識される、と私は解釈したのですが、それで正しいのでしょうか?私は物理を大学に入ってから必修の授業でやっただけなので、物理の知識があまりありません。しかし、大学に入ってから様々な授業を受けるうちに、それぞれの分野は互いに関連し合っており、たとえ生物を専攻するのだとしても、他の分野を学んでおくことはとても重要なことだと感じるようになりました。もし、この授業で物理に絡んだ内容が出てくるのだとしたら、自分の知らなかったことを学ぶいい機会になると思いますし、私も自分で調べるなどして取り組みたいと思います。
 自分がどの程度の知識を持っているか、ということについて、光合成に限って言えば、明反応、暗反応と呼ばれていた反応の大まかな流れの知識はあります。具体的には、明反応では、antenna complexを通ってきた光エネルギーを利用して水が分解され、そこから放出された電子がどのような道筋を通るか、また、それぞれの過程へ電子を運ぶ役割をするものにはどのようなものがあるか、そして最終的には、ここの反応によって後の反応に必要なATPとNADPH2ができる、ということ、そして暗反応においては、二酸化炭素を取り込んで、明反応の時に作ったATPやNADPH2を利用して、カルビン・ベンソンサイクルを回し、ブドウ糖ができるということやNADPH2を使って還元したため、水も発生するということが現在の私の持っている光合成に関する知識です。ただ、暗反応でどのような物質が順番にできていくか、その物質名はあまり覚えていません。
 今回の授業で印象に残ったのは、研究の方向性についての話でした。どのようにしてある事柄が起こるのかというメカニズムを調べることはできても、なぜそうなるのかということを解明するのは難しい、というのは本当にその通りだと思いました。「なぜ」という疑問に対する答えは、それがあっているかどうかは誰にもわからないという曖昧さを常に抱えているものだと思います。しかし同時に、その問いは、たとえその曖昧さの中に人々を招き入れるものだとしても、ある事柄に対する興味をかきたてる魅力的な問いであるような気がします。

A:クロロフィルの吸収スペクトルの理解は完璧です。上の方にも書きましたが、物理的な考え方などは、たとえ生物をやるにしても早いうちになれておいた方がいいと思います。年をとるとだんだん拒絶反応がでてきますから。
 カルビン・ベンソン回路の物質名は、実は僕もあまり覚えていません。それでも、光合成の研究者でござい、とやっていけるのは、必要なときにどこを調べればよいかわかっているからです。もちろん、自分で覚えていれば一番でしょうが、どこを調べればよいか、もしくは誰に聞けばよいのかがわかっていることは、将来のために非常に重要ですよ。それに負け惜しみになりますが、自分がよく知らないと、人に説明するときに丁寧になっていいですよ。非常によく知っていることだと、相手にも思わずその知識を前提として求めてしまうため、かえってわかりづらい説明になりがちです。
 僕の授業の中の「なぜ」がみなさんにとって魅力的な問いになるように努力します。


Q:今回の講義は、光合成の仕組みと働きの概要であった。光合成が現在の地球を形成してきたという事実から、現在の地球は太古の地球と違って、植物が光合成を行うようになったため、二酸化炭素と酸素の量などが違うという事を理解した。そして、光が地球に着くまでに雲に反射されたり、大気に吸収されたりしていること、また光合成研究の流れの説明によって光合成の解明の順序を知った。光合成に影響を与える三つの要因は光の強さ、二酸化炭素の濃度、温度がある。光合成の速さは、光が強くなるにつれて増加し、光がある強さ以上になるとほぼ一定になる。(光飽和)二酸化炭素も濃度が高くなるにつれ、光合成の速さは増加し、ある一定以上になるとほぼ一定になる。また、光が弱い時は光合成の速さは温度の影響をあまり受けない。強い光の時は、ある一定の温度に達するまで温度が高くなるにつれて光合成の速さは増加する。しかし、ある一定の温度をこえると、遅くなる。これは、光合成に関する酵素が高温になったことにより失活したためである。次に光エネルギーの吸収に関与する色素であるクロロフィルとカルビン・ベンソンサイクルの話によって光合成の全体の概要を理解し、光化学系のものはチラコイド膜状にのっていて、カルビン・ベンソン回路は葉緑体のストロマで行われているということがわかった。またこの説明で以外意外だったことは、酸素は副産物であるということでした。一回目の講義を受けた感想は、用語の解説にも気を使って下さっていて、高校で生物をやっていない僕でも理解に困る部分がありませんでした。一つの難点としては、OHPが暗くてよく見えなかったということでした。また、重要である事は黒板に書いていってほしいと思います。

A:OHPに関しては、どうもあの機種の限界のようですから、なるべく前に座ってもらうしかなさそうですねえ(スライドと違ってOHPシート自体の問題ではないですから)。それに第2回目以降は主要な図は紙でも渡す予定です。重要なキーワードもなるべく載せるようにしたいと思います。


Q:
Comments on last lecture
I felt that the last lecture was a little too basic. The ground that we covered was interesting, and the lecture itself was very organized, so it was comprehensible. However, I think that most students who were in the class have most of the elementary knowledge already. Maybe it might be better to make handouts of the basic material, and just skim through it, and use more time going deeper into discussion. I am interested in the research that you do, so if you could explain more about it, I think that it would be intriguing.
Report
During the previous lecture, we touched upon tropisms. A tropic (tropistic) response is a growth response oriented with regard to the stimulus (377, Mauseth). The direction of response in respect to the direction of the stimulus- toward (positive) or away (negative) from stimulus, at right angle (diatrophic) or some other angle (plagiotrophic) to the direction of the stimulus is the defining feature of a trophic movement (138, Hart, Light). Though tropisms, plants continuously monitor and adjust the orientations of various organs, thus maximize their uptake of nutrient and energy. (138, Hart, Light). Phototropism is growth in response to light, as opposed to other factors such as gravity (gravitropism), chemicals (chemitropism), and touch (thigmotropism). (138, Hart, Light). Though light itself is essential for growth and development of plants, it has a wide variation in parameters such as quality and quantity of light, and the periodicity of its presence and absence. But the most significant feature may be the direction that the light comes from (135, Hart, Plant). Phototropism is often defined as a response to unilateral light, but bending responses will occur in plants that receive light from all sides. This is in response to thee unequal distribution of fluence rate, thus in reality, phototropism is a growth response to a light gradient (392, Hopkins). There are three main stages in phototropism: signal perception, signal transduction, and response. The photoreceptor, which is involved in signal perception, has been heavily debated. Looking further into the physiological blue-light effect, from the action spectra, two possible candidates have emerged- carotenes and flavins or flavoproteins- as the photoreceptor (393, Hopkins).
Sources
Hart, J.W. Light and Plant Growth. Unwin Hyman Ltd: 1998.
Hart, J.W. Plant Tropsims and Other Growth Movements. Chapman & Hall. London: 1990.
Hopkins, William G. Introduction to Plant Physiology. second edition. John Wiley Sons: 1999.
Mauseth, James D. Botany: An Introduction to Plant Biology. second edition.
Saunders College Publishing: 1995.

A:これまでに集まったレポートを読む限りにおいては、授業の進度をすぐに上げるのは少し無理があるかな、という気がしています。授業の後半には、実際の研究の話に入る予定ですので、もうしばらく待ってくださいな。
 本当に光形態形成の分野ではものすごい量の研究がなされています。だけれども、授業中にも言いましたが、これからは徐々に、「なぜ」そうなるのか、もう少し具体的に言うと植物がそのような形態をとるとどのような利益があるのか、にまで踏み込んだ研究がでてきてもいい頃だと思うのですが。


Q: 初回の授業のレーポート、何を書けばいいのかさっぱり分からず迷っています。だが光合成について考えていたら、太陽って凄いと思った。太陽は地球のエネルギー源だと授業でやったが、太陽のエネルギー源は何ですか?また、太陽はいつかは燃え尽きるなどと言う話を聞いたのですがそれは本当なのでしょうか?あと、質問ですが、海洋の植物と陸の植物は同じ光合成の仕組みをもっているのですか?
今日の調べもの:
植物が光エネルギーをうまく利用するためには、多すぎもせず、少なすぎもしない量の光エネルギーを集めることが重要であると考えられる。補足する光が少ないと、十分光合成が行われず、また多すぎると反応中心が破壊され、光障害を引き起こしてしまう。

A:テーマが決まっていないと書きにくいかも知れませんね。太陽のエネルギー源は核融合です。水素原子が核融合を起こすことによって膨大なエネルギーが放出されています。いわば連続的な水爆ですね。もっとも、地球上の核融合では、条件的に水素では厳しいので重水素などを使っていて実際にはちょっと違いますが。太陽の中の水素の量は限られますから、その意味ではいつかは燃え尽きることになります。ただ、太陽を含む恒星にも進化の系列があって、その状態は刻々と(といっても10億年単位ですが)変わっていきます。単に燃料が燃え尽きるわけではなく、たいていは赤色巨星かなんかになって最後は超新星として爆発するようです。
 生物の話に戻りますが、光合成の仕組みは、陸上植物と海藻などでは、少なくとも反応中心についてはほとんど同じです。アンテナ系はだいぶ違いますが。これらとは別に、光合成細菌というものがあり、これは反応中心自体もだいぶ違います。


Q:今日の授業では、まずこれからの授業の展開の方向性について大まかに説明されていた。先生の専門が光合成ということであり、この授業で取り扱うべきもう一つの分野に関しては先生もこれから準備していくということのようなので、光合成から授業は展開される。
  太陽エネルギーの転換効率
  光合成発見、研究に関する歴史
  光合成の大まかなメカニズム
について、先生は大雑把に述べられました。

(太陽エネルギー変換について)
 太陽エネルギーは主に葉で吸収される。
太陽から地球に降り注ぐエネルギーのうち、地表にまで到達するのは50%である。葉は、太陽エネルギーのうち、60%は波長が合わないため吸収できず、16%は反射、熱放射に、19%は新陳代謝に使用してしまい、残りの5%のみを炭水化合物合成に使用している。
 また、我々が使用しているあらゆるエネルギー(石油、石炭、水力、など)は、その80%は、太陽エネルギー由来である。(水力も実はそうである。海水がwarm up → vapor → 雲になる → 山の方にいって、雨を降らす → 河からながれる → 水力発電 → 海へ)
(光合成研究に関する流れ)
主に次の3つのステップがあります。
1、 光合成色素の構造決定
2、 炭酸固定系の解明
3、 光化学系の解明

光合成色素の代表例としては、クロロフィルが挙げられます。
クロロフィルは、植物の葉緑体やシアノバクテリア(藍藻)に存在する光合成色素の一種であり、クロロフィルa,b,cがある。クロロフィルaとbは,テトラピロール環の中央にMg原子1個をもつジヒドロポルフィン(クロリン)の誘導体にフィトールがエステル結合したものである。クロロフィルaとbの溶液はそれぞれ緑青色・緑色で,赤色部と青紫部に顕著な吸収を示す。生細胞中では,クロロフィルの光の吸収帯は溶媒中におけるよりも10~50nm長波長側にシフトしている。チラコイド膜中では蛋白質と複合体を作って存在し,その結合状態の違いにより分光特性の異なる5~7種類のクロロフィルの存在状態が知られている。分子の大部分は集光性色素で,光合成過程で光エネルギーを吸収し,それを反応中心クロロフィルへ伝える。また反応中心では光合成反応中心—蛋白質複合体と結合し,反応中心クロロフィルとして光合成の初発電荷分離をつかさどる。

A:こうやって、まとめてもらうと、ある意味で、僕の授業のどこがちゃんと理解されて、どこが理解されていないかがわかりますね。あと、ふつうのレポートとしてはこれはいいのですが、この講義のレポートとしては、光合成がどうなっているか、という事実だけではなく、それを自分がどう考えたのか、という視点が付け加わるとさらにいいですね。