生化学特別講義II 光と植物 第3回
クロロフィル蛍光を用いたゲノムワイドな遺伝子機能解析
北海道大学・理学系研究科
開講日時
第3回の園池担当分は平成17年10月25日です。
講義の概要
今や数多くの生物種で、ゲノムの全遺伝子配列が決定されています。ゲノムが決まったあとに何を研究するか、というと、やはりゲノム上にある遺伝子の機能解析が一つの目標となります。 塩基配列情報は、バイオインフォーマティクス的な手法にとっていわば「扱いやすい」情報ですが、遺伝子の機能解析にとって重要である遺伝子変異株の表現型情報は、その多様性と定性的な性質のため一般的に大量解析になみません。しかし、単細胞原核光合成生物であるシアノバクテリアを材料とした場合には、光合成反応をいわば道具として使うことにより、遺伝子変異株の表現型情報をクロロフィル蛍光強度の一次元の数値データとして、いわば統一されたフォーマット上に蓄積することができます。これを利用して、遺伝子破壊株シリーズの表現型データベースを構築し、そこから、ゲノムワイドな遺伝子機能解析を行なうという全く新しい試みについて紹介したいと思います。