植物生理学II 第9回講義
光呼吸とC4光合成
第9回の講義では、光呼吸の概略と、それを回避するためにトウモロコシなどにおいて見られるC4光合成について解説しました。講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。
Q:今回の講義で印象的だったのは、C4植物の話である。ケニアにおける実験において、湿潤、低温、弱光という条件下ではC3植物が有利になり、乾燥、高温、強光という条件下ではC4植物が有利になるということを学んだ。この理由について、土壌が乾燥すると、植物は気孔を閉じる。すると、CO2濃度が下がる。したがってCO2を濃縮しておくことができるC4植物が有利になる。強光においては、ATP合成は十分にできるため、C4植物のほうが有利になる。高温においては、水の中に溶けるCO2が少なくなるため、CO2が不足している条件に強いC4植物のほうが有利になる、ということを学んだ。このように、C4植物が有利になるかどうかを判断する要素が三つあるようだが、温度と構成比の相関関係のスライドで、強い正の相関が見られたことから、温度が最も重要なファクターであると予想できる。僕は、高温においてこれほどC4植物が有利になる理由は、「高温においてCO2が水に溶けにくくなるから」以外の理由もあるのではないかと思った。たとえば、高圧条件においても二酸化炭素は水に溶けやすくなる。高圧条件においても実験を行い、高温条件と比較検討することで、高温においてC4植物が有利になるほかの理由も浮かび上がってくるのではないかと考えられる。
A:そうですね。自然条件では、複数の環境要因がお互いに絡み合いながら変動しますから、何が重要なファクターなのかは、厳密な室内実験をしてみないといけません。例えば、温度が変化した場合には、ほぼ必ず相対湿度が変化しますから、そのあたりも考慮に入れる必要があるかもしれません。
Q:今回の講義では、C3植物とC4植物で住み分けができている理由について、土壌水分・光強度・温度の条件が関わっていると学んだ。講義では、土壌水分と光強度の条件については明確な理由を示されたが、温度条件に関しては諸説あると学んだ。そこで、C4植物と温度の関係性について考察する。文献より、温度と光合成の関係は、通常のCO2濃度下において温度が高くなれば光合成量が多くなる(高温すぎると減少する)。ここで講義より、C4植物はC4回路を回すためにC3植物よりも多くのATPを使うため、光合成量が多い方が有利であると考えられる。つまり、C4植物が有利になる条件である高温条件と強光条件は密接に関わっていると考えられる。また、逆に言えば、C4植物は低温だと光合成量が少なくなりATP消費量が減少するため、不利になると考えられる。以上が、私の考えたC4植物と温度の関係性である。
参考文献:光合成の生理生態学講座/温度と光合成/2022-6-6 閲覧、http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/hikosaka_lab/hikosaka/temp-short.html
A:もう一息ですね。温度の場合、ここに書かれているように、温度が高くなれば光合成量が多くなる場合でも、高温すぎると減少します。その場合、この高温で減少する理由が光呼吸であれば、それはそのままC4植物が有利になる条件であって、直接説明がついてしまいます。つまり、実際に光呼吸が原因なのか、ATP消費量が原因なのかを明らかにするためには、光合成量が最大になる温度と、C3/C4が切り替わる温度の関係性を調べる必要があるわけです。
Q:今回の講義では、ルビスコの活性とO2に対するCO2の親和性のトレードオフ進化について触れた。今まで、ルビスコは親和性が上昇する方向で進化をしてきた。そこで、これからルビスコが進化するなら、また、どのようなルビスコが環境に適応しそうかを考える。今日の気候変動として大気中のCO2濃度は上昇していると言われている。O2に対するCO2の親和性は、もしこの気候変動が続くならば、上げる方向に進化する必要が無くなると予想できる。ここで考えるのは、CO2濃度が上昇し続けたら、何億年後の地球では、地上植物ではルビスコの活性が高いものが優位になるということだ。その点では、授業スライドを参考に、シダ植物の繁栄はかなり考えられそうと想像する。ルビスコの進化の方向も、活性が高い方向へ進化するのではないかと考えた。
A:「授業スライド」というのは、いろいろな生物のルビスコの活性と親和性を示した図のことですね。そうであれば、「シダ植物の繁栄はかなり考えられそう」というのは面白い発想ではある一方、他の植物でも長い進化的な時間を経ればルビスコの性質を変化させることが可能なのではないかと思います。
Q:今回授業で学んだC4植物の出現と当時の陸上環境について考察をする。C4植物は5500 万年前に出現した植物種で、C3植物に比べて乾燥や強光状態に強い。C4植物の生息条件からC4植物にとって有利なのは森林よりも草原といった環境であると予想できる。現に授業スライドのC4植物の分布でもC4植物の 61%がイネ科の植物でイネ科は草原に多い。C4植物が出現した時代には大気組成の変化原因の一つとして考えられるが、何かしら影響で乾燥化が進み森林から草原へという環境の変化があったと考えられる。C4植物が単系統の理由もそれぞれの環境にて草原化が起こっていったからだと推測される。C4植物が広がったことで動物の食性にも変化が起こったと考えられる。ウマ科の動物もC4植物出現以降、葉の形状を進化させている[文献1]。約 2400 万年前のメリキップスというウマ科の動物は硬い葉をすりつぶすために歯冠の高い歯を手に入れたとされている。C4植物にグラスオパールといったガラス質の細胞を手に入れており、ウマ科の高い歯冠は草原の葉を食べるためにすり減ってもなくならない歯を手に入れた進化である。つまりC4植物は防御力が高い植物ともいえる。草原に植物が進出した際に乾燥などの環境問題だけではなく、植物食動物からの防御力を挙げるためにもC4植物に進化して、C4植物が繁栄していったと考えられる。
「馬VS草の攻防戦からはじまった? 馬の歯のふしぎ」, ファンと牧場を繋ぐ, https://pacalla.com/article/article-3039/, (閲覧日2022年6月11日)
A:よいところに目をつけていますが、途中の「C4植物が単系統の理由もそれぞれの環境にて草原化が起こっていったからだと推測される。」がよくわかりません。まず、単子葉植物は単系統ですが、C4植物は単系統ではありません。また、グラスオパールは、単子葉植物に特徴的な性質であって、C4植物の特徴とは言えません。例えば、イネはC3植物ですがやはり固い葉を持っています。全体として「C4植物の 61%がイネ科の植物」であることを前提として議論を始めるのはよいと思うのですが、細かい議論を進めるときにごっちゃにしないように注意する必要があります。
Q:今回の講義で、同位体比で縄文人の食生活がわかるという話を聞いた。このことから私の地元である佐賀県民のコラーゲンの同位体比はどうなるのかを考えてみた。現代の日本人の食生活では他の地域とあまり差が出ない可能性があると考えられたので、今回は佐賀県の名物を生産地で食べることとして考えた。佐賀県は北と南の両方に海が存在するため、県全体として海鮮を食べることができる。南部に存在する海は干潟で海苔や貝類などの食品を多く食べ、北部では海が広がっているためイカなど魚類を多く食べると考えられた。イカにはコラーゲンが多く含まれているため南部に住む人よりも北部に住む人の方がコラーゲンの同位体比が高くなると考えられた。東部と西部には有名な佐賀牛と伊万里牛の育成地が存在するため、牛の栄養素を多く蓄えた人が多く存在すると考えられた。以上のことより佐賀県民のコラーゲン同位体比は北部に住む人が最も高く、次に南部に住む人、東部西部に住む人のコラーゲン同位体比は最も低くなると考えられた。
A:身近な知識を議論に使うという点は評価できますが、コラーゲンを食べても、それが自分のコラーゲンとして機能することはない、という点は1年生の生化学の講義でやったはずです。講義をきちんと聞かずにいると、連鎖的に落ちこぼれていくことになりかねませんから、注意しましょう。
Q:今回の授業で、同位体比で縄文人の食生活がわかるという話があった。縄文人のコラーゲンの同位体比を見てみると、千葉や長野に住んでいた縄文人の食生活はかなり似ており、草食動物や現代人の食生活に近かったと考えられる。しかし、北海道の北黄金に住んでいた縄文人は海生哺乳類や海生魚類と同じような同位体比になっていた。※1によると、海生哺乳類や海生魚類のエサである、貝殻や魚骨などが北黄金貝塚から発見されている。しかし、海生哺乳類や海生魚類が捕食しないと考えられる、海獣骨やシカの骨なども発見されている。このことから、北黄金に住んでいた縄文人は海獣や動物を食べていたと考えられる。すると、コラーゲンの同位体比は海生哺乳類や海生魚類に近くなると考えられるが、海生哺乳類や海生魚類が食べていない生物も食べているので、同位体比は多少ずれが生じると考えられる。しかし同位対比は互いにほとんど同じところに位置している。このことから、縄文時代のサンプルから測定した同位対比の正確性があまり高くないか、海獣や動物をあまり多く食べておらず、海獣や動物の同位体比が反映されないという可能性が考えられる。
参考文献:※1 世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群「史跡北黄金貝塚」、https://jomon-japan-production.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/ja/wp-content/uploads/2021/03/04143317/F003a000002.pdf
A:おそらく自然界の動物の食性は、多くの場合かなり固定化されているのに対して、ヒトの食性は、現在の食生活から考えても分かるように、かなり雑多ですし、今以上に季節などによって変動していたのではないかと思います。そのあたりを考慮に入れる必要があるように思いました。
Q:C4植物はC3植物に比べ、優れた光合成能力を持っているというお話から、管理されて育てられている作物よりも雑草が成長してしまう点との繋がりを考えた。具体的には、野菜を育てる際に管理をしている野菜よりも、周りから多くの雑草が生えてしまい作物の成長を阻害してしまうことがよくある。これは野菜がここでいうC3植物であり、雑草がC4植物にあたるのではないかと考察する。雑草がC4を持っているならば、C3を持つと思われる野菜よりも光合成能力高いため、雑草の成長速度が上がると予想できる。またそれに伴いC4の野菜とC4の雑草の場合どうなるのかについて予測する。この場合、その作物の高さに依存すると考える。理由は光の当たる量が高いほど多くなるためである。具体的には、C4の野菜としてとうもろこしが挙げられるが、比較的作物の高さが高い。するととうもろこしよりも下に存在している雑草はとうもろこしによって光が阻害され、成長しにくくなると推測する。よってC4とC4の場合、作物の高さに依存すると考える。
A:考えているという点では評価できます。ただ、後半の仮説とそれについての考察がやや物足りなく思います。その原因は、C4とC4を比較しているため、C4光合成の特徴が考察に反映されないことだと思います。つまり、全く同じこと(作物の高さの影響)は、C3とC3の比較でも成り立ってしまいます。やはり、ここでは、C3とC4の比較に持って行かないと深い考察になりません。可能な方向性としては、C4とC4の比較の場合の高さの影響を、C3とC3の比較の場合の高さの影響とどのように異なると考えられるか、という問題設定だと、深い考察が可能になるでしょう。
Q:Rubiscoは12Cを選択的に使うが、PEPCは12Cと13Cをえり好みせず使う。この違いは何から生まれるのだろうか。一般に、元の原子より重い同位体が化学反応に使われると、結合エネルギーが強くなるためその結合を切断する反応は遅くなる。Rubiscoは反応速度が遅い酵素である。それは、Rubisco誕生時は二酸化炭素濃度が非常に高かったために、基質特異性をある程度犠牲にしてでも反応速度が優占されたことからもわかる。これと同様に、少しでも遅い反応速度を補うために、軽い12Cだけを使うRubisco遺伝子だけが自然選択され、Rubiscoの同位体選択性に至ると考えられる。
A:これは面白い考え方でよいと思います。ただし、反応速度が遅い方がよい、という場合はあまりないように思いますから、これだけだとPEPカルボキシラーゼでは同位体効果が見られない理由は説明できないように思います。つまり、「軽い12Cだけを使う」ようになった場合に、基質特異性が甘くなるなどのデメリットがあることを同時に論証する必要があるかもしれません。
Q:C4植物は葉肉細胞で二酸化炭素の濃縮を行い、維管束鞘細胞で光合成を行う。また、CAM植物は夜に気孔を開いて二酸化炭素を有機酸に取り入れ、昼に光合成を行う。どちらもC3植物に比べてエネルギーを使うという点で同じだが、C4植物の方が光合成速度が大きい。そこで、なぜCAM植物の光合成速度が遅いのかを考えた。理由は2つ考えられる。1つ目は、CAM植物は二酸化炭素の濃縮ができないから、昼の光合成で用いれる二酸化炭素の量は貯蔵する液胞の大きさによって限りがあるからだ。昼に日光を多く浴びたとしても二酸化炭素が限定要因となり、光合成速度が小さくなると考えられる。2つ目は、光合成をしている昼には気孔を開けないので、光合成によって生じる酸素を体外に放出できないからだと考える。昼に生じる酸素は、紫外線によって活性酸素に変化しやすく、植物の光合成系にも害を及ぼす可能性が考えられる。よって酸素を植物内に保持し続けることは危険だと考え、CAM植物は酸素を発生しないで光合成を行なっているのではないかと考えた。すなわち、酸素を発生しない光化学系Iで生じるATPによるエネルギーのみを用いて光合成をしていると考えたので、光化学系IIを用いるC4植物やC3植物よりも光合成速度が小さくなるといえる。以上①二酸化炭素の濃縮ができない②酸素を放出できないの2つの理由からCAM植物はエネルギーを使うにも関わらず光合成速度が遅くなると考えた。
A:面白い考え方だと思うのですが、2番目の点の論理がよくわかりませんでした。トウモロコシの維管束鞘細胞で光化学系Iだけを含むのは、葉肉細胞からリンゴ酸などの形でNADPHが供給されるからです。そして、リンゴ酸は葉肉細胞で作られ、そこでは光化学系IIが存在します。もし、CAM植物に光化学系IIが存在しなければ、二酸化炭素を還元するためのNADPHが供給されないので、ATPがあっても光合成はできないでしょう。
Q:縄文時代の食生活は同位体比を用いることである程度推測することができると書いてあった。では現代人の食生活で同じように分析するとどうなるのか。現代人の主な食べ物は主食であるコメ・小麦、大分類として肉、魚がある。魚を食べている場合は縄文人と同じ同位体を表すと考えられる。コメと小麦はC3植物であるため植物性タンパクの影響を受けるため、窒素同位体比と炭素同位体比が低い左下の方に分類されると考えられる。対して肉は恐らくトウモロコシなどのC4植物の飼料によって育てられていることが多いため、炭素同位体比が高い傾向にあると考えられる。よって縄文人の偏った同位体比より全体に散らばるような安定した同位体比になると考えられる。
A:考えているようではあるのですが、結局、内容を整理すると、現代人の方がいろいろな食べ物を食べているから同位体比も散らばる、ということを言っているにすぎないように思います。その結論自体は、それでも良いのですが、そうであれば、結論を導く論理構成をその結論に沿ってもっと筋道だったものにする方がよいでしょう。
Q:維管束鞘細胞の葉緑体はグラナスタックがほとんど見られないこと,およびそれは光化学系Ⅱをほとんどもたないためであることが紹介された。LHCⅡ含量が増加するとグラナスタックが多くなるということを示唆する記述もある1)。このことから考えると,グラナスタックは光化学系Ⅱ(あるいはLHCII)をもつチラコイドにとって都合のよい構造である可能性が高い。いったいどのように都合がよいのだろうか。改めて講義資料の「高等植物のチラコイド膜モデル」の図を見ると,グラナスタックのチラコイド膜のうちストロマとは接しない部分の膜に緑色の光化学系Ⅱ+LHCII,黄緑色のLHCIIが多く存在することが読み取れる。グラナスタックではないチラコイド膜や,グラナスタックの中でもストロマと接する部分の膜には光化学系ⅠやATP合成酵素が存在する。この配置から考えると,光化学系ⅡやLHCIIは光化学系Ⅰと比べて強光に対して弱いのではないかという考察ができる。膜を敢えて重ねてまとめてしまうグラナスタックという構造は,一見すると光を集めるには効率を悪くしてしまうように思えるが,強光には弱い光化学系Ⅱ(LHCII)をちょうどよくはたらかせるためには,グラナスタックで敢えて光の届きにくい部分に配置するほうがちょうどいいのではないか。光化学系Ⅰに限って過剰エネルギーを排除するカロテノイドをもつこともこの仮説を支持するものである。さらなる検証のためには,光化学系Ⅱ(LHCII)をもつチラコイド膜部分のグラナを壊し,ばらばらにした場合に光合成活性がどのように変化するかということを確かめる方法が考えられる。
1) 日本光合成学会,グラナ,< https://photosyn.jp/pwiki/?%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%8A >,2022/06/11アクセス.
A:これはよく考えていて面白いと思います。メカニズムとしては、LHCII同士の分子間力がグラナ形成を引き起こしているという説があります。ひとつだけ「光化学系Ⅰに限って過剰エネルギーを排除するカロテノイドをもつ」というのは、どこからの情報ですか。僕はこのような話を聞いたことがありません。このような記述をするときには、必ず出典をつけるようにしてください。
Q:今回の講義で、同位体比で縄文人の生活がわかるとあったが、千葉の向台で見つかった縄文時代後期の人の炭素と窒素の比は草食動物や海生魚類のものと類似しており、主に食していたのはそれらであることに疑問を抱いた。そもそも、千葉の向台という土地は、蘇我や成田、柏や市川などに存在するためどの場所からの調査なのかはわからないものの、市川に縄文時代のものと考えられている向台貝塚というものが存在する(*1)。さらに、貝塚があるということは、貝類を食していたことは確かであるため、なぜ海生貝類の同位体比に類似していないのか考えた際、一つの考えとして、貝類は種によって同位体比がかなり異なる可能性があることが考えられる。市川は縄文時代は汽水域であったと考えられ、アサリやシジミ、ハマグリなど汽水域にも住むことができる貝類が貝塚からも見つかっているが、これらの貝類の同位体比が完全に海生であるサザエやアワビなどの貝とは異なっていた場合、ヒトへの影響も変わってくると考えられる。つまり、同位体比の異なる汽水域に生息していた貝を食していたため、同位体比が海生貝類のものとは異なる結果となった考えである。また、そもそもどの程度の頻度で食していればコラーゲンの同位体比に影響するのかも疑問であるため、現代の様々な食文化を持つ人でコラーゲンの同位体比を調査し、具体的なデータからその結果が食生活に一致するのかを示すことができればよりこの研究の信頼性が増すと考えられる。
(*1) 歴史わが町 <市立市川考古博物館学芸員・領塚正浩>.市川よみうり.http://www.ichiyomi.co.jp/rekisi/index4.html
A:汽水域と海では異なるのではないか、という議論の出発点は面白くてよいと思います。ただ、なぜ異なるのかの仮説が欲しいようにも思います。講義で話したように、窒素同位体比については、主に食物連鎖による一種の生物濃縮によって変化しますから、本当はその点と絡めて議論できるといいですね。
Q:授業で、縄文人の食生活について取り扱った。そこで、同位体のどの区間に現代の日本人が存在するか(千葉や、長野の人を対象とする)、食生活の違いから考察しようと思う。まずはじめに、現代の流通の発達により、内陸部でも魚類の摂取が盛んになっており、現代人の同位体比は、縄文人の集団(千葉や長野)より、右上の、北海道民と近い位置に座していると考えられる。次に現代の日本人は「戦後、食の欧米化が急速に進み、動物性たんぱく質や脂質が増え、逆に炭水化物や食物繊維の摂取量が減少した」とある(文献1)。縄文時代の日本において、家畜は行っていなかったために、現代人と比較して動物性タンパク質として牛や豚を採取していなかった事が考えられる。また、炭水化物や食物繊維摂取量が減少した事より、炭素量は縄文人よりも減少している事が考えられる。この事より草食動物を摂取し、炭水化物摂取量が低下した現代人は、コラーゲン同位体比の草食動物郡の上位に座してるが、炭素量は縄文人よりか低い位置に座している事が考えられる。上記から、縄文の北海道民よりである事、草食動物郡の真上に座している事から、現代人はN15%、C20%の座標に存在すると考えた。
参考:1 フジッコ 現代人の食と栄養、https://www.fujicco.co.jp/shokuiku/washoku.html
A:考える姿勢は感じられます。やや日本語が読み取りにくいように思います。「家畜は行って」は「牧畜は行って」でしょうか。また、後半の「炭素量」というのは、「炭素同位体比」のことでしょうか。それとも、「炭素摂取量」のことでしょうか。
Q:今回の授業で降水量とC4サブタイプの関係性についてまなんだ。この中でNADP-MEとPCKは降水量が増加するとサブタイプの占める割合が高くなっていくのにもかかわらずNAD-MEだけは降水量が増加していくとサブタイプの占める割合が減少してくことについて考察を行う。まず、NAD-MEは年降水量の低い地域であるとサブタイプの占める割合が高いことから乾燥ストレスに強い植物であるといえる。そもそもC4植物とC3植物を比較するとC4植物のほうが乾燥ストレスには強いわけであるがその中でも強い耐性を持つということがわかる。ただし、これはあくまでも乾燥に強いというだけであり、湿潤に弱いわけではない。ではなぜNAD-MEだけは降水量が増加していくとサブタイプの占める割合が減少するのかということについてはちょうどほぼ似たような傾きでありながら符号が逆の傾きを持つNADP-MEと関係していると考えられる。NADP-MEの割合が増加するがために相対的にNAD-MEが減少しているように見えるのであると考えられる。ではなぜNADP-MEは降水量が増加するとサブタイプの占める割合がほかのサブタイプに影響を及ぼすほど上昇するのだろうか。これは生成されたNADPHがC3回路に使用されていることから、C3植物に似ているためであると考えられる。ケニアのC3,C4植物の構成比のグラフを見ると土壌水分係数が大きくなると次第にC3植物が多くなっている。つまり、C3植物とよく似ているNADP-MEはC3植物の性質の影響を強く受けているためにNADP-MEとPCKは降水量が増加するとサブタイプの占める割合が大幅にたかくなり、相対的にNAD-MEだけは降水量が増加していくとサブタイプの占める割合が減少してくのだと考えられる。
A:これは、考えているという点では評価できます。結論は、NADP-ME型はC3に近いので、それと逆に動くNADPH-MEはC4の中でも乾燥に強い、ということになるのだと思います。その場合、結局、グラフの示していること、ほぼそのものではないでしょうか。前提と結論が堂々巡りをしている印象を受けなくはありません。