植物生理学II 第11回講義

CAM光合成

第11回の講義では耐乾燥性を極限まで発達させたCAM植物の光合成について解説しました。今回の講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。


Q:今回の授業では、乾燥地域に生息する多肉植物等がCAM型光合成を行うことを学んだ。一方、乾燥地域には生息しないがCAM型光合成を行う植物が他にもいることも知った。それは胡蝶蘭のようなラン科の植物だ。ラン科は熱帯から亜寒帯に生息し、多種存在する。胡蝶蘭のような葉の分厚いラン科の植物はCAM型のCO2固定により光合成を行う。夜間に気孔を開きCO2を吸収し、リンゴ酸を合成して葉に貯蓄し、昼間に気孔を閉じリンゴ酸から発生するCO2を用いてC3型の光合成によってCO2固定を行う。胡蝶蘭は木や岩場に着生する性質をもつため、土から水を常に吸収できない。その対策としてCAM型光合成を行っている。しかし普段胡蝶蘭を外で見るときは植木に植えられている。なぜ植木でも育つのか気になった。土から水を常に吸収できないからCAM型で光合成を行っているが、植木で育てたら根から常に水が吸収できる。そのように環境が変化すると、昼間にC3型の光合成に変更しCO2固定を行わなくてもよくなるのではないか。昼間も夜間もC3型光合成を行えば生きていけるはずだ。CAM型光合成では蓄積されたされたリンゴ酸の量によっては光合成の効率が下がってしまうが、C3型光合成を行えば気候が過酷にならなければ(過度な乾燥等)光合成効率は落ちない。よってその方が胡蝶蘭は生き延びやすくなる。
日本植物生理学会HP:https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=908

A:前半は講義の内容の紹介で、「植木で育てたら」」(これは植木鉢で土で育てたらという意味でしょうね)以下が自分なりの考察なのだと思います。実は、ある環境条件から別の環境条件に移したときに、どの程度新しい環境になじんで自分の体を変えられるか(これを可塑性と言います)は非常に重要な問題で、きちんと考慮を払う必要があります。サボテンにじゃぶじゃぶ水をやったら生育が良くなるかと言えば、逆です。胡蝶蘭でも、土に植えて常に根が水を吸収できる状態にしてしまうと、かえって生育が阻害されます。つまり、特定の環境にあまりにも適応してしまうと、別の(多くの植物にとってはよりよい)環境では成育できなくなってしまうのです。そのあたりも本来は考慮する必要があります。


Q:今回の授業内でサボテンなどのCAM植物の光合成回路の話が出たが、それを踏まえて日本でのサボテンの飼育方法を確認するとCAM植物型回路の作動システムと関連性があることに気が付いた。サボテンは、春夏秋(4月~9月)は遮光くらいが望ましく、寒い冬はたっぷり日にあてることと、水は春と秋にはしっかりあげ、夏は夕方、冬は午前中に鉢の土が乾いている時のみ少量だけでもよく、梅雨の時期はできるだけ水やりはひかえるようにする(1)ことに注意をして飼育する。一方で現地では乾燥する昼は気孔を閉じ、光エネルギーでカルビン回路を回してでんぷんを得るが、相対湿度の上昇する夜は気孔を開き、CO2とNADPHでリンゴ酸を作成する。日本は温帯であり、4月~9月は湿度が高くなることから、サボテンの性質を当てはめると湿度が高い4~9月は気孔を開き、リンゴ酸を作成する回路、乾燥する冬では気孔を閉じカルビン回路ででんぷんを作る回路になると考えられる。またリンゴ酸の生成に用いるNADPHはH2Oのプロトンを必要としており、光エネルギーは使用しないが、カルビン回路を使用する際リンゴ酸を分解してNADPHを得るためH2Oは必要ではなく、光エネルギーが必要になることから、日本の環境でサボテンはリンゴ酸を作成する4~9月は水分を必要とする一方で光を浴びすぎると光エネルギー過多で枯れ、冬は光エネルギーが必要になる一方で水分がほぼいらないため水分過多だと根が腐り枯れると考えられる。よって日本でのサボテン飼育には4~9月は遮光と水やりが必要になり、冬には光を浴びせ水やりをしないということが必要になり、現在の飼育方法が確立したと考えられる。しかし例外的に春や秋より湿度が高く、リンゴ酸生産が活発になり、水を必要としそうな夏と梅雨には水やりの量が春や秋より減っているが、これは夏と梅雨が高い時には湿度が100%まで上がり、砂漠ではほとんどない高湿度環境の持続があるのでサボテンが環境に対応できず、水やりにより水分過多で枯れる可能性があるからだと考えられる。
1“サボテンの育て方”、伊豆シャボテン動物公園、(2016年12月18日参照)、http://izushaboten.com/saboten/grow.html 

A:これはよく考えていて非常に良いと思います。季節変動に焦点を絞っていますが、実際には日周変動も非常に重要であること、遮光するかどうかはもとの直射日光の強さにも依存すること、などを考えあわせると完璧だと思います。


Q:今回の講義中にCAM植物について触れた。この植物の仲間は、水分条件においてストレスのかかる環境で育っており、夜間に気孔を開きCO2を吸収するのが特徴である。C4型との違いは、CO2の濃縮還元を場所で分けるのではなく時間で分けていることである。夜間に吸収を行うのは、昼間に気孔を開いてしまうと水分が余分に消失してしまう為である。作物など、環境によって育てることの出来なかった植物が、CAM植物の遺伝子組み換えにより悪環境の中でも育つことのできるようになれば、地球上における食物不足の対応策になり得るのではないかと考えた。

A:最後の一文以外は前置きですから、レポートととして評価するのは難しいですね。


Q:CAM植物は乾燥に耐える手段として素晴らしい回路を持っているが、世の中のほとんどの植物はC3である。乾燥はどの植物にとっても大敵であるにも関わらず、CAM植物はなぜ繁栄していないのだろうか。私はその原因として、一晩リンゴ酸を液胞にプールしなければならないことがあるのではないかと考えた。つまり、リンゴ酸を液胞にプールするためにはエネルギーが必要で、そのコストをかけてまでも自身を乾燥から守らなければならない植物だけがCAMになったということだ。ここで次に疑問に思うのが、ではどの程度の乾燥ストレスがかかるとCAMのほうがC3より有利になるのだろうか。これは、ケニアでC3とC4の構成比を調べたように、乾燥ストレスのかかる地域でC3とCAMの構成比を調べてみることでわかるだろう。

A:これは最低限のロジックは盛り込まれていてレポートとしては成立しています。ただ、「もう一声」という気もしなくはありませんが。


Q:今回の講義では、終盤に光合成産物であるデンプンについて少し触れた。 植物はアミロースとアミロペクチンを主に貯蔵物質として使用するが、動物はアミロペクチンよりも短鎖で枝分かれの多いグルコースを用いる。この違いはなぜだろうか。まず、動物は運動をするため、瞬発的にエネルギーが必要になる場合がある。そのため、枝分かれが多く、還元性末端のあるグルコースの方が、エネルギーとして使用しやすいのだろう。また、血糖値の変化等、短期的な生理的変化にも対応していると考えられる。

A:これも、最低限のロジックはありますが、何というか、「瞬間芸」的な感じですね。これももう一声。


Q:今回の講義ではCAM植物を中心に炭素同化について学んだ。講義の中心であったCAM植物であるが、昼間は気孔を閉じ夜間にCO2を吸収することで蒸散を抑え乾燥に対応している。しかし、砂漠やそれに近い環境に生息するサボテンなどと、木の上とはいえ熱帯に存在するコチョウランとが同じ乾燥耐性ゆえにCAM型光合成を持つと一括りにされているのに非常に違和感を持った。目的は乾燥耐性であることに変わりはないかもしれないが内容はそれぞれでことなるのではないか。競争相手の少ない乾燥帯に比べると、熱帯には多くの植物が生い茂る激戦区である。CAM植物の弱点はC3光合成よりも炭素同化に多くのエネルギーを消費する上、日中にCO2の取り込みを行わず液胞に貯蔵しているリンゴ酸を用いるため成長速度は大きな制約を受けることだ。成長速度の制約は多くの植物が繁茂する熱帯において大変不利になるのではないか。
 そこでは私はCAM型光合成の他の長所、CAM型光合成への依存度という2点で熱帯CAM植物について考えた。まずCAM型光合成が乾燥耐性以外に有利に働く点であるが、私はCO2を夜間に吸収する以外のことを思いつかなかった。森林では日中は通常の植物の光合成が行われO2濃度の上昇、CO2濃度の減少が起きるだろう。逆に夜間は光合成が行われないためO2濃度は減少、CO2濃度が増加するだろう。そう考えると夜間にCO2の取り込みを行うことは効率が良いのかもしれない。しかし、実際に熱帯の森林でどのくらいCO2濃度が上昇するかわからないが、大気中にごくわずかなCO2が森林の効果で大気の十数%を占めるようなことは考えにくい。
 次にCAM型光合成への依存度である。熱帯には通常の植物なら十分な雨量はある。おそらくしばらく雨が降らない場合にコチョウランなどには問題なのだろう。それならば十分水を確保できているうちはCAM型光合成を行うのは非常に不利である。よって、乾燥ストレスがない場合にはC3型の通常の光合成を行っているのではないか。もしくはCAM型光合成を行うのは日中の一定時間に限定されるのではないか。実際にアイスプラントのように乾燥ストレスや塩ストレスによってCAM型光合成を行う植物は存在する。また授業中に見たCAM植物の日変化のグラフではリンゴ酸が底をつくと通常の光合成を行っていたため、熱帯CAM植物も通常のC3型光合成を行うことのできる可能性は十分にある。熱帯では頻繁に雨が降るため、熱帯CAM植物のCAM型光合成への依存度は乾燥帯のCAM植物よりも低い、もしくは乾燥ストレスが発生した際に限られるのではないか。

A:非常によく考えていてよいと思います。森林のCO2濃度はある程度変動しますが、その変動は地面に近いところで多いので、土壌中の生物の影響が大きいのでしょう。その場合、樹上性の植物への影響は大きくないでしょうね。もう一つ考えるべきは、「熱帯は激戦区」という前提そのものです。CAM植物は最大光合成速度が低いので、光が強い場合にもすべて利用することはできません。これは、逆に言えば、光が弱くて光合成速度の上限が抑えられている条件では、CAM植物のデメリットが小さくなることを意味しています。熱帯の森林で上部が他の植物に覆われている暗い環境では、他の植物も光合成速度を上げることができず、CAM植物とであるメリットを生かせるのかもしれません。


Q:アイスプラントを塩水に浸けて水耕栽培する話を聞いたとき思い出したのが、植物生理学1で習った、植物において水はポテンシャルの高いほうから低いほうへと流れ、導管内を移動していることだ。ここで、アイスプラントを純水に浸けているときと、塩水に浸けているときで水の移動がどのようになっているのかを考えた。アイスプラントを真水に浸けているとき根の周りの純水は水ポテンシャルが0であるため、導管液の浸透ポテンシャルは0よりも小さい値となっているはずである。次に塩水に浸けている場合、海水の水ポテンシャルは約-2.5であることから、正確な値は分からないが、この塩水も負の値を取っていると分かる。そのため、このときの導管液の浸透ポテンシャルは周りの塩水の水ポテンシャルよりも低いものである必要があるため、こちらの場合でもやはり0よりも小さいはずである。これらのことから、アイスプラントは(1)導管液の浸透ポテンシャルを、自身が耐えうる塩水のポテンシャルよりも小さい値で保っている、もしくは(2)根が浸かっている環境に応じて導管液の浸透ポテンシャルを変化させている、ということが考えられる。

A:これもよく考えています。僕自身は、2つの仮説のどちらが正しいのか知らないのですが、アイスプラントの光合成のタイプがC3からCAMに変化していることを考えると、(2)の仮説の方が正しそうに思えますね。


Q:今回の授業でCAM植物について取り扱い、CAM植物の光合成機構について学習した。ここで疑問に思ったのは、夜間CAM植物内では生成したオキサロ酢酸にNADPHの還元力が渡ってリンゴ酸になる。しかし、NADPHは光合成によって合成される物質であり、夜に合成することができない。このため、昼の間に光合成によってNADPHを生成し、夜間まで保管しておく必要がある。また、NADPHからNADP+に変化する反応の自由エネルギーはマイナスであり、自発的に進行する。このため、一部の保管されているNADPHはNADP+に変化することがあると考えられる。よってCAM植物には昼の光合成により生成したNADPHを夜まで保管する箇所が存在し、NADPHの自発的な反応の進行を抑えることが考えられる。

A:これは、考え方が面白いですね。講義での説明をうのみにせずに、自分の頭で考えていることが感じられます。この点を考えるにあたっては、リンゴ酸の原料としてはオキサロ酢酸も必要であることを頭に置いておく必要があります。この際、オキサロ酢酸はデンプンを分解して得られるホスホエノールピルビン酸(PEP)から作られますが、デンプンの分解過程では還元力が放出されます。これは解糖系の反応を考えればわかると思います。逆に、昼間にリンゴ酸からCO2とNADPHを取り出すとピルビン酸が残りますが、これはデンプンに変えられて蓄積され、その際には還元力が消費されます。つまり、「NADPHを夜まで保管する箇所」は、実はデンプンであると考えると、きれいに説明することができるわけです。


Q:熱帯地域に生息するCAM植物である胡蝶蘭や、時間によってpHの影響で味が変化する話が印象に残った。また、アイスプラントという多肉多重組織を持つ多肉植物は初見であったため非常に気になった。アイスプラントの原産地は南アフリカのナミブ砂漠でありヨーロッパでは古くから食されていたそうである。アイスプラントの特徴として土壌に含まれる塩化ナトリウムを吸収することができるらしく塩害対策に役立てられないかと模索中である。またこの特徴のおかげで土壌から吸収したミネラル分を豊富に含む。このことを知り一つ疑問に思ったのは砂漠のような乾燥地帯で土壌栄養も少なそうな土地にアイスプラントが生息し始めた理由である。と思い砂漠が形成される過程を調べると土壌中における塩類濃度の上昇により植物が育成できなくなる塩性化が挙げられていた。この塩性化に順応する機構を獲得した唯一の植物であるのだろうか。

A:悪くはないのですが、これだけだと調べものレポートですね。僕の講義のレポートとして要求しているのは、自分なりのロジックですから、例えば、最後の一文をオープン・クエスチョンではなくし、その答えを何らかの形で提案するようにすれば、よいレポートになると思います。


Q:今回の授業では、CAM植物に関して学習した。アイスプラントが外界の塩濃度が高くなった条件でCAM化するということも授業内で触れたが、このアイスプラントは「乾燥条件下に晒されると、CAM化するまでに約一週間を要する」(1)という。このことから、恐らく塩ストレスに晒された場合もすぐにはCAM化状態に移行出来ず、しばらくかかるのではないかと考えられたが、このような機構で乾燥が激しくなったり、或いは塩分濃度が急増したりした場合に耐えることが出来ないのではないかと思った。アイスプラントは「地中海性気候の海岸に生息する植物」(2)ということから、海岸からどれだけ離れたところに自生しているかにもよるが、波打ち際から遠ければ海水を被ることも少なく、そこまで大きな塩分濃度の変化は起こらないと思う。ただ、波打ち際から少ししたところに自生していたならば、海水を被ることで塩分濃度の上昇による影響は必ず受けるであろうし、悪天候により海が荒れた場合は特にである。もしそのような条件下の場所に根付いてしまったならば、根から水が吸収出来る時間というのが少なくなるであろうし、常に塩ストレスに晒されてCAM化していないといけないと思うから、すぐにCAM化状態に移行出来なければ枯れてしまうのではないかとも思った。もっとも、自然化で悪条件すぎる場所に生えてしまった個体は自然淘汰されるのが通常ではあると思うが、実際のところ塩分濃度が大きく影響する場所に生えてしまった場合のアイスプラントはその環境に適応しきれずCAM化する前に枯死するのではないかと推測した。
[参考URL] (1)(2) http://www.sci.saitama-u.ac.jp/content/research-2010-1011-koreeda.html、埼玉大学理学部「CAM 植物 - 乾燥に耐える光合成」是枝 晋 講師(2016.12.13)

A:よく考えていると思います。一つ講義で言い忘れたのは、「アイスプラントは塩ストレスによりCAM化する」=「アイスプラントは自然条件で塩ストレスをよく受ける」ではないということです。実際には、アイスプラントは乾燥ストレスによりCAM化する場合の方が多いのではないかと思います。にもかかわらず塩ストレスが実験に使われるのは、土壌水分を調整するよりも、水耕液中の塩分濃度を調整する方が、はるかに楽だからです。つまり、実験環境として塩ストレスが使われるのは、もっぱら人間(実験者)の側の都合なのです。


Q:今回の授業で緑色硫黄細菌は炭素固定をクエン酸回路の逆回しである還元型カルボン酸回路を使うということであった。しかしこの還元型カルボン酸回路を使うのは嫌気性の細菌のみで好気性の生物ではうまく機能しないそうだ。好気性の生物は効率の悪いルビスコを使っているので、もし還元型カルボン酸回路が使えればより有機物の生産効率が上がって有利になるのではないであろうか。今回はなぜ還元型カルボン酸回路は好気性の生物の体内でうまく機能しないのか考えていきたい。
 もし好気性の生物が還元型カルボン酸回路を使っていたら、2つの反対向きの回路が存在することになり、片方(クエン酸回路)は酸素量で、もう片方(還元型カルボン酸回路)は二酸化炭素量で回路全体の速度が変化する。地球上の酸素、二酸化炭素の大きな変化は植物によってもたらされ、常に酸素が多くなると二酸化炭素は減少、逆に酸素が減れば二酸化炭素が増加するという関係であった。このような生体内の反応の速度を律速しているものに酵素量と基質や生成物の濃度の2つがある。もし酸素量が増加したためにクエン酸回路の速度を上げようとして酵素量の増加を促す一方、還元型カルボン酸回路では二酸化炭素が減少したために速度を低下させたく、同じ酵素の量を減少させたいとなるであろう。回路のある場所が違うのでお互いに混ざることはないものの、生産された酵素の運搬が正しく行われなかったり、片方の器官から漏れ出してしまったりしたときに両方の回路がうまく機能しなくなる可能性がある。基質と生成物においても酵素と同様に漏れ出てもう片方の回路に入り込んでしまうことが全くないとは言い切れないのではないであろうか。この場合、呼吸及び炭素固定の植物の生存にとって大切な機能の2つが同時に動かなくなるということである。これは植物にとって大きな危険なのではないであろうか。好気性の生物はこのようなリスクを冒してまで効率の良い回路を使うのではなく、ルビスコという効率は悪いが他の反応とは関係のない酵素を使うことによって呼吸と炭素固定の2つが同時に停止するという危険を回避する方を選んだのではないではないかと考えられる。

A:代謝について、ここまで考えられるのは偉いですね。素晴らしいと思います。酸素については、酸素があると動かない代謝系、逆にないと動かない代謝系などがあって、なかなか一筋縄ではいきません。地球上にシアノバクテリアが誕生して大気中の酸素濃度が上昇し始めた時の生物は、さぞかし大変だったろうと思います。


Q:講義内で触れたCAM植物とC4植物の形態を水分ストレスなどにより変える植物について、私はなぜ全ての植物がそうならないのかということを考えた。なぜなら通常の植物は塩環境や水分不足環境内では生育できない。しかしCAM植物はできる。このことから全ての植物がCAM植物になればより生育できる環境も増えよいと考えた。しかし現実そうなっていないことに何か理由があると考えられる。私は通常の植物とCAM植物において通常条件下(塩濃度も高くなく、水分も十分に与える)において二つを比べればそこに明確な差があり、通常の植物の方が効率がいいのではないかと仮説を立てた。そのためにCAM植物は通常の条件下ではデメリットもあり全てがCAM植物にならないと考えると論理的に整合性があると考えられる。

A:おそらく、それぞれにメリット・デメリットがあるという部分については、C4植物の際にも説明したように当たり前のことなのだと思います。できたら、レポートには、講義で説明された以上のことを盛り込んでほしいと思います。


Q:今回は前回に引き続き、C3植物やCAM植物について学んだ。今回例として登場した中で最も興味深かったのはアイスプラントという植物である。アイスプラントは塩ストレス、乾燥ストレスによってC3型光合成機構から、CAM型光合成機構に変移できることで知られている。そこで思ったのは、どのような条件でこれら2つのストレスを受けるのかという点についてである。思いついた答えは、塩分の絶対量と塩分濃度である。これら二つについて考えてみると塩分の絶対量であった場合は乾燥ストレスはうまく探知できないと思った。なぜなら乾燥ストレスは植物体内の水分量の割合のことであり多くの塩があったとしてもその時多くの水が植物体内に含まれていたら問題ない訳である。しかし塩分濃度がシグナルであったら塩ストレスはもちろんのこと乾燥ストレス、つまり植物内の水分量にも大きく関わってくるので都合のいいシグナルであった。以上のことをふまえるとストレスのシグナルは塩濃度なのではないかと考えられる。これを調べるためには水分量の多い個体と少ない個体を用意して同じ量の塩を与え、もし水分量の少ない植物が移行した場合シグナルが絶対量ではないことが分かると考えられる。

A:自分なりに考えていてよいと思うのですが、塩分の絶対量というのは、どうやって感知するのでしょうか?乾燥ストレスも同時に感知できるかどうか、という以前に、体内の物質の絶対量をそもそも調べることができるのか、という疑問がわいてきてしまいました。