植物生理学II 第2回講義

光合成研究の歴史、光合成生物の誕生

第2回の講義では、最初に光合成研究の歴史を簡単に紹介して、今後の光合成研究の方向性についての考え方を述べたのち、光合成生物の誕生過程について短く紹介しました。今回の講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。


Q:光化学系Ⅰと光化学系Ⅱ両方をもつシアノバクテリアや陸上植物と異なり、緑色硫黄細菌と紅色光合成細菌はそれぞれ前者では系Ⅰのみ、後者では系Ⅱのみをもつと習いました。調べてみると緑色硫黄細菌の光合成電子伝達については、電子の供与体、受容体の関係についてよく分かっていないようなので、紅色光合成細菌の電子伝達について、ATP合成の観点から考察を述べます。大阪大の大岡先生の研究室のサイトを参考にさせていただきますと、紅色光合成細菌は電子伝達経路を1サイクルさせるのに2電子を要し、その間ペリプラズム側に2つのプロトンを輸送するそうです。ここで私の知る2つの系を持つ光合成を考えると、リニアな電子伝達だけが起こるにしても、複合体を多く持つ分1サイクルの間に4電子の移動で12プロトンがルーメン側に輸送されます。ここでわかりやすく考えて4つのプロトンがATPシンテースを介した1ATPの合成に必要だとすると、紅色光合成細菌は2回サイクルを回してやっと1ATPを合成できるのに対して、一般的な光合成生物だと1回サイクルを回せば3ATPを合成してしまいます。これでは紅色光合成細菌が低効率のように思えるのですが、温泉だったりよどんだため池などにいるイメージのあるこの細菌は光環境がよくない環境にいるからこそ、この機構を維持しているのではないでしょうか。ATP合成をおこなうのに、2つある系両方に光を当てる必要のある一般的な光合成生物と比べ、1つだけ系を持ち弱い光に対しての閾値を下げることで細々と、しかし確実に光エネルギーを捕捉できるように原始的な形態を維持していると考えることができるのではないでしょうか。ひいては、この柔軟だけれども派手にたくさんは作れないATP合成能が、一般的な光合成生物ほど体が大きくなれずに、細菌の体躯を律速しているということも可能だと考えました。

A:何かを比較するときには、何あたりで計算するのかをきちんと考えることが重要です。この場合、光合成細菌と陸上植物では異なるメカニズムで光合成が動いているのですから、「サイクル」の数で比較しても、あまり意味はないでしょう。おそらく、最初に考えるべきなのは光子の数あたりでしょうけれども、その場合、光合成細菌と陸上植物では吸収する光の波長が異なることも考慮に入れるべきなのではないかと思います。


Q:今回の授業で疑問に思ったことは、なぜシアノバクテリアが陸上植物などの葉緑体になり、紅色光合成細菌は組み込まれなかったのかということである。今回はそのことについて酸素発生型光合成経路を持つ生物が誕生しなかったと仮定した場合、紅色光合成細菌が葉緑体のような存在に変化し、陸上植物などの一部となっていたのかについて考察する。
 まずそもそも太古の地球には紫外線が降り注いでおり、生物が活動できるような状態ではなかったが、そこに大量の酸素が発生したことによりオゾン層が形成され、紫外線が和らいだことで生物が地上に進出できるようになった。つまり酸素発生型光合成経路を持つ生物が誕生しなかった場合はそもそも陸上植物が誕生できない。また何らかの理由で紫外線が和らいだとしても紅色光合成細菌が陸上植物に組み込まれて存在するようになるとは考えにくい。その理由としては光合成に必要なプロトンを得る際にH2SやH2から得ている(1)からである。H2Sは火山付近や熱水噴出孔などの特殊な環境下においてはよく見られるがそれ以外の環境においてはほぼ存在していない物質である。またH2においても海中や大気中において存在はするが微量である。一方H2Oは生物が出現した環境ではすでに多量、かつ広範囲に存在している。つまり紅色光合成細菌のような酸素非発生型の光合成はシアノバクテリアなどの酸素発生型と比べると生息できる環境が限定されてくる。よって、紅色光合成細菌が葉緑体のように取り込まれたとしても取り込んだ側は火山や熱水噴出孔付近でしか光合成が不可能になり陸上や他の地域には進出しなくなると考えられるので、たとえシアノバクテリアがいなくても紅色光合成細菌が葉緑体のような存在には変化しないと考えられる。
1、“第5編 生命現象と物質 9 光合成の仕組み(2)”、改訂版 フォトサイエンス生物図録、数件出版編集部、改訂版、数件出版株式会社、平成24年2月1日、p175

A:面白い点に着目していると思います。考え方はよいでしょう。ただ、「光合成に必要なプロトン」というのは、誤解があるかもしれません。光合成に必要なのは電子で、プロトンではありません。水から必要な電子を引き抜くと、プロトンと酸素が残るので、それは周囲に放出します。その際、そのプロトンは、チラコイド膜を隔ててプロトン濃度勾配の形成に寄与しますので、その意味で、プロトンが使われると言えなくはないかもしれません。


Q:葉緑体は、シアノバクテリアが共生により進化したものだと習ったが、もしも共生されることがなかったら植物はどう存在していたかについて考えた。葉緑体のない植物が存在したとするならば、植物自身の成長は根から得られる栄養に頼ることしかできない。そのため、サイズの大きな植物が育つことはないと考えた。現在サイズの大きい植物の存在は、太陽からの光エネルギーをほかの植物に負けず、充分に得ることができるためであり、サイズの小さいものしか育たないとしても、葉緑体のない植物であれば光を求めて丈を長くする必要がないため生存には問題はないと考えた。次に、植物に葉緑体がないことで周りがどのような影響を受けるのかについて考えた。光合成が行われないため、植物は酸素を供給することは難しく、その場合は他の動物などが生存できる環境になることはなかったと考えた。よって、シアノバクテリアの共生による進化で植物に与えられた光合成という能力は、もしも与えられなかったら現在の生態系が完全に変わるということであり、改めてシアノバクテリアや葉緑体といったmicroな世界こそが動植物を大きく変えていることに興味を持った。

A:うーむ。この場合、「植物」の定義は何なのでしょう。もし植物が光合成生物のことだとすると、葉緑体を持たない植物というのは、光合成をしない光合成生物ということになってしまって、意味をなさなくなるように思いますが・・・。


Q:光合成の研究では1997年以降、ノーベル賞受賞者が出ていない。これには研究技術が追いついていないという問題もあるだろうが、私はそれだけではないと感じた。私が思う問題は、そもそも研究職に就く人が減っていることだ。これは光合成の分野だけでなく、基礎研究全般に言えると思う。基礎研究において研究者が減っている原因は、主に2つあると思う。1つは、将来への不安だ。日本の制度では、ベテランの研究者は終身雇用で雇われるが、若手は任期付きで雇われる。これでは若い人が研究の世界へ進むのを躊躇してしまうのも無理はないと思う。2つめは、基礎研究に研究費が回ってこないことだ。国からの研究費は、社会への貢献性が見えやすい応用研究ばかりに回されている。この結果として、お金の無い基礎研究をする人が減ってしまう。このように、日本の研究の世界は問題を抱えている。これを解決するために、研究者の雇用制度を改めることや、研究者自身が自分の研究を十分にアピールできるようなプレゼン能力をつけることが求められていると思う。

A:講義で示したノーベル賞のリストは、日本の受賞者だけのものではありませんから、それを日本の研究の状況に結び付けるのは無理あがあるのではないでしょうか。また、日本の研究の世界に問題があるのは確かですが、「応用研究ばかりに」といった表現には、やや一方的な印象を受けます。


Q:今回の授業で、シアノバクテリアが植物に進化したのではなく、植物と共生し、葉緑体になったということを学んだ。ここで思ったことは、何が引き金となって共生が始まるのかである。今回考察するにあたって注目したのは各細胞の1番外側である。内側から構造が変化し、共生が始まるというよりかは、外的要因が1番初めに伝わりやすい外側から徐々に変化していく方が自然だと思ったからだ。原核生物であるシアノバクテリアの細胞には細胞壁がある。葉緑体の構造には細胞壁はなく、外膜と内膜の二重の膜がある。おそらく原核細胞の細胞壁がこの外膜か内膜になったのだろうと考えた。真核細胞に取り込まれる時、原核細胞が真核細胞に入っていく形になると考えられる。そのため、外膜はこの真核細胞の細胞膜由来で、内膜が真核細胞壁由来だと考えられる。その後、細胞壁が徐々に構造を変え、葉緑体の内膜と同じようになっていったのだろう。このことから、真核細胞の細胞膜外側には原核細胞(シアノバクテリア)の細胞壁を葉緑体の内膜に変化させるような酵素分泌があると思われる。もしくは、葉緑体の内膜になるように指示する酵素を分泌させる酵素があるのだろう。細胞内共生は真核細胞の膜と原核細胞の細胞壁が接することがトリガーとなって膜が変化することから始まるのではないだろうか、と考えた。

A:これも着目点は面白いのですが、議論をしているのが過去の進化の過程の話なのか、現在起こっていることなのかがよくわかりませんでした。共生は、その生物にとっては一回限りのことでしょうから、議論に説得力を持たせるためには、共生のための酵素をあらかじめ生物が獲得している理由づけが必要でしょうね。


Q:第2回では光合成の基本事項や光合成に関する研究など、講義のアウトライン的な内容を行った。特に興味をひかれたのは光合成の研究方向で、マクロな視点での光合成の研究である。マクロな視点の光合成研究は、植物生理学というよりも植物生態学に分類されるのかもしれない。しかし、あえてマクロな視点を生理学に落とし込んで研究する研究案を考える。例えば、生育環境の異なる同種の植物で光合成反応にどのような違いがあるか、という研究である。具体的には、標高の高い地域にある植物と標高の低い地域の同種の植物とを比較すれば、光阻害などの影響によって活性酸素除去機構が強く発現するなどの差異がみられると考えられる。またそれによって光合成産物の生産効率にも変化が生じることも考えられる。調査方法としては、標高の高い地域と低い地域の植物の葉などをサンプリングし、酸素電極を用いて、単純な光合成効率や光強度による光合成の変化を比較する。また、分光光度計や蛍光光度計をもちいて光合成機構を比較調査する。このように3年実習で行った内容でもある程度の研究が行えると考えられる。ただし、問題点としては、葉を採取してから時間が経過すると、葉緑体が劣化するため正確な測定が行えない。そのため、採取後なるべく早く実験を行うことのできることが重要である。また同じ地域の個体であっても生育環境や採取する葉の生育状況によっても違いが生じるため、多数の葉をランダムに採取し調査する必要がある。

A:きちんと考えていてよいと思います。ただ、これだけだと研究というよりは実験ですね。実験した結果、おそらくは2つの地域の植物に差がみられるでしょう。しかし、単に「差がありました」というだけでは、よい論文は書けません。どのような差があったのかをよく検討してその原因を考えてなぜそのような差が生まれるのかの仮説を考えて、それを実験的に証明できて初めて良い研究になります。


Q:光化学系Ⅰを持つ光合成細菌と光化学系Ⅱを持つ光合成細菌とが遺伝子の水平伝播を引き起こし、これがシアノバクテリアの祖先となった。しかし、この二つの光合成細菌が互いの遺伝子を取り込み、シアノバクテリアに至るまでにどのような過程を歩んできたのだろうか感じた。この進化の中には酸素存在下でも光合成可能になるまでに進化した光合成細菌が存在するのではないのだろうか。光合成細菌は嫌気性のものが存在し、酸素存在下では生育できない。また、酸素存在下でも生育が可能な通性嫌気性の光合成細菌は存在しても、その環境下では光合成をおこなうことができない。もし、酸素存在下でもバクテリオクロロフィルによる光合成が可能な光合成細菌、もしくはクロロフィルを持つ光合成細が発見されれば、シアノバクテリアに至るまでの進化の過程を解明する一助になるのではないだろうか。

A:その通りだと思います。ただ、進化の過程のミッシングリンクが見つかれば研究が進むだろう、という考え方はごく一般的なものだと思いますので、できたら、もう一歩踏み込んで考えてみてください。


Q:小学生の時から、光合成は太陽の光と二酸化炭素を使い二酸化炭素から水と酸素、成長に必要な栄養やエネルギーが作り出されることを習う。ただその経路にはいまだ未解明なメカニズムも多く、これに対して多くの光合成研究がなされている。始原的な光合成生物である光合成細菌は硫化水素、シアノバクテリアは地球上に普遍的に存在する水をそれぞれ電子源として使用している。水分解の反応メカニズムの詳細にもまだ未解明の範囲がある。調べてみたところ、2012年に岡山大学大学院自然科学研究科の沈教授らは水分解の触媒機構におけるカルシウムイオンの役割、2013年には理化学研究所が、光合成膜タンパク質への水の供給経路、酵素と水素イオンの排出経路の解明の成果が発表されている。反応機構の全貌が解明することによって太陽光エネルギーをより効率よく利用できる人工機構の可能性がひろがるであろう。光合成研究は構造情報に加えて時間のファクターが重要になるそうだ。水が分解される動的な事象を調べるために、同位体を使って水の分解の流れを観察したりすることを考えたがそれはそもそももう把握済みで今一つどこが未解明の領域でどこを知りたいのかがわからなかったので非常に興味がありもっと調べてみようと思う。

A:文章としては悪くないのですが、レポートとしては、自分なりの考えもしくは論理があまり読み取れませんでした。もう少し、自分の考察を前面に押し出してほしいところです。


Q:光合成の研究は、現在だと4次元の解析が進んでいるという。光合成機構の解析や環境応答、環境ストレスによる阻害や老化現象など、時間軸を重視した研究がメインである。この他にも、以下のような研究があれば、より光合成について知見が広がるのではないかと考えてみた。所謂草本や樹木ではなく、寒帯や亜寒帯の地衣類や草本に着目して、その土地における光合成速度・光合成量を測定してみるとする。寒冷地につき他の植物が育成しにくい状況であろうので、地衣類の受ける光量は比較的多く、二酸化炭素もふんだんに使用出来るのではないかと推測される。しかし近年は過剰な人間活動のために温暖化が進み、本来地衣類や小型の草本ばかり生息していた土地にも背丈のある草本が侵入したり、逆に温度上昇や草本に太陽光を遮られることにより地衣類が減少したりする可能性も考えられる。寒冷地は元々植物が少ない場所なので、二酸化炭素濃度の変動も森林地帯などと比較すれば恐らく小さなものであると予測されるが、温暖化と植生遷移によって二酸化炭素濃度の変動がどのようになるのかということを、長きにわたって実地調査したり、スーパーコンピューターでシミュレートしたりすると分かるのではないかと考えた。 同様に、温暖化に伴う植生遷移という観点から、標高が高く気候が寒冷な地域に生息する高山植物の遷移と、それに伴う二酸化炭素濃度の変化も調査すると、標高の高い山において森林限界が山頂に向けて進みやすい環境条件へとどれだけ移ってきているのか、ということも可視化出来るのではないかと考えた。

A:30年前には、どこそこの山を調べると植物Aが何割、植物Bが何割、植物Cが何割という割合で生えていました、という植生分布調査的な学会発表がずいぶんとありました。しかし、最近では、そのような発表を見るのは高校生の生物部の研究発表ぐらいでしょう。現代の科学としては、やはり普遍性が重要で、温暖化するとある地点の植生がどのように変わるか、ということを単に調べただけでは評価されないと思います。植生が変化するメカニズムを明らかにする方向に進むか、あるいは、植生のタイプ別に結果を積み上げて、全休的な変化の予測につなげるか、そのような研究の方向性を考えることが必要になるでしょう。


Q:今回の講義で、最初の光合成生物について学んだが、そもそもなぜ光合成生物が現れたのかを考察する。今か約32億年前に、光合成生物が誕生したが、それまでの生物は硫化水素などの環境中にあるえいようぶんを分解するだけであった。また、繁殖が進んでいくうえで、環境中の栄養分が足りなくなってしまったため、自らエネルギーを作り出せる光合成が誕生したと考えられる。また、それまで光は生命を傷つける存在であったが、光を利用してエネルギーを作り出せる光合成は生物にとって、一石二鳥なものであった。

A:やや幼さの感じられるレポートですね。例えば「栄養分」というのは具体的に何でしょうか。中学校では確かに「栄養分」という言葉が使われますが、大学生としては、有機物なのか、無機栄養塩なのか、そのあたりの意味を考えて書くようにしてください。


Q:今回の授業ではシアノバクテリアが好気性細菌に取り込まれて細胞内共生を始めたことによって植物細胞ができたと学んだ。シアノバクテリアを取り込むことによって光と二酸化炭素と水さえあれば自分で有機物をつくることができるため、生存しやすいように思われる。しかし実際にはシアノバクテリアを取り込まなかった動物細胞が存在し、地球上で植物に並ぶ幅を利かせている。なぜすべての好気性細菌がシアノバクテリアを取り込まなかったということを考えていきたい。まず考えられることに当時いた好気性細菌の数に比べてシアノバクテリアの数が少なかったということが考えられる。シアノバクテリアが少なければすべての好気性細菌が取り込むことはできない。次に考えられるのはシアノバクテリアを取り込んで光合成をすることにリスクがあるということが考えられる。光合成をする際に光が強すぎると活性酸素ができるため、それを取り除くのにエネルギーを使わなければならない。またシアノバクテリアを取り込んで葉緑体とすると、そこも自分の体の一部であるため大きくなったり分裂したりする際には葉緑体の分のタンパク質も作らなければならない。しかしタンパク質には生体内に存在しない窒素が含まれるため貴重なものであり、作れる量にも限りがあると考えられる。そのためシアノバクテリアを取り込むと有機物を自分でつくれる一方、タンパク質をそこで使ってしまうため他の体の部位に回せなくなるという問題点もあるのではないであろうか。このような状況があったからこそ現在植物と動物という大きな2つの界が存在し、生物の多様性に一役買っているのではないかと考えられる。

A:次回以降で紹介しますが、シアノバクテリアの共生による真核光合成生物の出現は、基本的に地球の歴史の中で一回限りの出来事だったと考えられます。現存の植物は、すべてその一回の共生の結果生まれた生物の子孫なのです。あと、「動物と植物という2つの界」という考え方の是非についても今後の講義の中で取り上げる予定です。


Q:今回の講義中にて構造が解明されたことによって光合成の研究分野が活発化された原因を構造が解明されることは先生の出会った教授の言うようなゴールではなく機能を知るための手がかりであるためだとしていてそれがとても興味深いと感じた。その上でなぜ構造が分かると機能や動きを知れるのかというと、それは構造というものは目に見えるためイメージしやすいからであると感じた。そこで私は逆の方向はあり得ないのだろうかということを考えた。つまり機能や動きから構造を予測するということである。構造が分かるとイメージを持ちやすいのは私たちの周りには構造をもったものであふれているからであり、構造は分類などが容易であるためだと考えた。私はこれにあたるものを機能や動きに関しても分類しさらに構造の分類も組み込んだデータベースのようなものを作成することが今後よりミクロな生物の構造を予測する上で必要になると考えた。またこのデータベースを生物だけでなく様々な理系分野とミックスさせたものとして開発することによって生物学における構造の概念からは生まれないような視点や構造、機能を発見することに繋がるかもしれないと思った。

A:これはユニークな考え方ですね。早稲田に来てからだけでも1万以上のレポートを見てきましたが、このようなレポートは初めてだと思います。もう少し具体的な例を挙げて論じることができるとさらに良いと思いますが、これでも十分です。


Q:今回は光合成の進化の過程について学んだ。一番興味を持ったことは光化学型1を待つ緑色硫黄細菌と光化学型2をもつ紅色硫黄細菌が細胞融合してシアノバクテリアになり、現在の光化学型を2つもつ植物の祖先となったことである。ここで疑問に思ったのは元は2つに分かれていた光化学型1と2がなぜ細胞融合するにいたったかという点である。今回はその疑問に対して自分なりに考察しようと思う。まず生命は産まれたときから日々進化を続けている。進化するにつれて複雑になり、より多くのエネルギーを必要とする。よってそのために光化学型1と2が合わさったカルビンベンソン回路といったより効率よく太陽エネルギーを養分に変えられるエネルギー合成回路を必要とするようになったのだと考えられる。植物実験でも光化学型1と2どちらかよりも光化学型1と2両方のクロロフィルの方が圧倒的にエネルギーを効率よく生産していた。これからも進化の過程でエネルギーがより効率よく必要になったためだと考えられる。

A:講義で「細胞融合」ってしゃべりましたっけ?おそらく実際には、遺伝子の水平伝播がきっかけであった可能性が強いのではないかと思います。あと、進化の過程で効率が良くなる、という議論をする場合には、では効率が悪い光合成細菌がなぜ生き残ったのか、という視点を持つことが重要です。