植物生理学II 第9回講義
葉の構造・呼吸反応の概略
第9回の講義では、前回に引き続いて、葉の構造が光合成の効率に対してどのように寄与しているのかを解説したのち、呼吸によるエネルギー生産の概略を糖の分解反応を中心に説明しました。今回の講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。
Q:葉の構造について考察してみる。葉は、柵状組織が光ファイバーのように葉の内奥に光を届かせ、海綿状組織で以って光を乱反射する。そうすることによって効率的に光を取り込む構造をとっている。かつて授業で「光は極めて薄いエネルギーである」と仰っていたが、葉の内部構造によって光は厚みあるエネルギーであるかのように振る舞う。さて、葉の薄い構造は、乱反射を用いて光を効率的に取り込むことにおける最適解なのだろうか。葉の薄い構造と対比させるために、球形の葉について考えてみる。表面に柵状組織、内部に海綿状組織を拵えた構造だ。これと比べて薄い葉は何が優れているか。もっとも大きな点は、横軸に大きく葉を広げられる点だろう。一枚の葉を比べた時、もしかすると薄い構造よりも球形のほうが効率的に光を取り込めるかもしれない。しかし、植物は一枚の葉のみで生きているわけではない。一枚の葉の構造を追求するのではなく、複数の葉に光を行き渡らせることを考えたら、現在の構造がやはり最適なのかもしれない。
A:球形の葉というのは面白いと思います。アフリカのナミビアの砂漠には奇想天外と呼ばれる植物が生えていますが、これは一生の間、二枚の葉をただただ伸ばしていくだけ、というまさに奇想天外な植物です。このようなタイプであれば、球形の葉の存在する余地があるでしょうか?
Q:葉の形状は、効率的に光を吸収するために表側が光ファーバーのように全反射し外に逃がさないようになっており裏側は光を錯乱させることにより葉全体に光りをちりばめていると習った。しかし他にもっと効率よく光を吸収する仕組みが有るかもしれないと考えたので考察してみる。まず第一に考えついた形状は、葉1つ1つで光を逃がさないのではなく、植物体全体として光を逃がさない形状だ。つまり、茎頂側の葉は光ファイバー状になっており光を透過し、根側の葉で錯乱させる形状をとればより多く光を取り入れる事ができるかもしれない。しかし、この形状をとってしまうと上の方の葉では吸収がしにくいため伸張方向の成長に不利に働いてしまう可能性がある。さらに、植物体の根側にあまりに多くの海面状組織があると、地面から跳ね返ってくる光を下側で完全に錯乱させてしまうため内側まで光が届かず、効率はあまりよくないと考えられる。
A:これも考えようとしている点は評価できます。できたら、最後の考察のあと、それに基づいて、仮説を修正して再提案できると、仮説ー検証ー仮説のサイクルとなってより科学的なレポートになるでしょう。
Q:今回の講義では葉の柵状組織と海綿状組織の役割について学んだ。この組織の構造の違いによって葉の表面と裏面の色が異なって見えるということも学んだ。最近は寒い日が多く家で鍋をする日が多くなった。その具材の中に葱があるのだが、今回の講義を受けてから考えると葱の葉の色は表も裏も特に無く、色は同じである。しかし、葱の葉に生えている向きに沿って包丁を入れ、内側を見てみると外側に比べて色が薄いことを確認できる。このことから私は葱の葉はどの方向から光を浴びても吸収効率をよくするために葉の外側は全て柵状組織で覆われており、葉の内側は海綿状組織なのではないかと考えた。この仮説を確かめる方法として葱の葉の細胞を顕微鏡で観察する方法を挙げることができる。
A:自分の経験に基づいて考察していて、非常によいと思います。同じ仮説でも、単に頭で考えた仮設よりも、経験に基づいた仮説は説得力がまします。
Q:今回の授業では、葉は表側の方が緑色が濃く、裏側は光が侵入する前に反射してしまうため白っぽいが、稲のような縦に生える葉は例外だという話があった。ではなぜ稲のような葉は裏面が白っぽくならないのか、またそのような葉はどのような構造を取っているのかを予想する。横向きに生える葉において裏面が白っぽい理由は、裏面に海綿状組織が集まり、光を反射させるからである。つまり、縦向きに生える葉は片面に海綿状組織が集中していないと考えられる。では、具体的にはどのような構造を取っていると考えられるだろうか。一つ目は、柵状組織と海綿状組織の分化がない構造である。葉の両方向から光を受け取れるため横向きの葉のように柵状組織により内側へと光を誘導し、海綿状組織により反射させるとことをしなくても十分な光量を確保できるのではないだろうか。しかし、この構造の場合、横向きの葉に比べて縦向きの葉が白っぽくなってしまうが、実際にはそんなことはないため可能性は低い。二つ目は、葉の中心に海綿状組織があり、それを柵状組織が挟み込むような構造を取っているという可能性である。これならば両面から受け取った光を内側へ誘導し、内部で反射させることにより効率よく光を吸収することが出来る。以上が、考えられる縦向きの葉の構造である。
A:これもしっかり考えていてよいと思います。結論自体はやや常識的なので、どこかでもう一ひねりあると面白くなるのですが、まあ、そこまで行かなくてもね。
Q:今回の講義で、柵状組織で葉内部に取り込んだ光を海綿状組織内で乱反射することにより、光路長を長くしてクロロフィル単体の吸収効率の悪さを補っていることが分かった。柵状組織に存在するクロロフィルにより、青色光や赤色光は吸収されるので海綿状組織に届く光のスペクトルは緑色光が主な光となる。なので、柵状組織を構成する細胞の葉緑体と海綿状組織を構成する細胞の葉緑体とでは光合成色素の組成が異なることが推測できる。また、柵状組織のある表側よりも海綿状組織のある裏側のほうが気孔の数が多く、さらに海綿状組織のほうが空気が占める体積が大きいので二酸化炭素を取り込みやすい構造をしていることからも、柵状組織の葉緑体と海綿状組織の葉緑体とでは、同じ葉であっても光合成効率が異なると考えられる。この効率の違いを測定するには、葉の向軸側から光を当てたものと葉の背軸側から光を当てたもので光合成量を比較すればよいと考えられる。葉の背軸側から光を当てることにより、光は海綿状組織内を乱反射して柵状組織には届かないため、海綿状組織内だけの光合成量を測定できるはずである。
A:これもきちんと考えていますね。東京大学の植物生態研の寺島さんは、葉を表面と平行に5層に薄く切り分けて、それぞれの層の光合成タンパク質の違いを調べるという、もっと直接的な研究を、今から30年以上前にしています。1枚の葉の厚みを5枚に切り分けるというのは、なかなかの神業です。
Q:前回に引き続き、色素についての講義で、植物は緑の光を全て捨てている訳ではなく、実際は葉の構造を利用して、緑の光も十分に利用しているという話があり、計算されたような作りに改めて生命の不思議を感じ、面白いと思った。ただ、多くの植物において捨てる光の色が緑にだけ絞ったのかが気になった。この理由として考えられるのは、植物が誕生したのは水中だったことに由来することだと思う。以前、海藻の話で、75mの深海では青緑色になっているという話題があった。もともと植物しかいない環境であれば、海全体が青緑色になっていたはずである。つまり、海は赤色や青色の光を吸収していたはずである。植物がこのような環境下で生育していれば、それに適応し、赤色や青色の光を利用して光合成をするようになるだろう。それで十分にまかなえれば、緑色の光は必要でない。その結果、緑色の光はあまり利用しなくなったのではないかと考える。
A:面白い点に着目していますが、最後のところの論理がちょっとわかりません。海が青や赤の光を吸収してしまったら、そこで生育している植物は、むしろ残った緑色の光を吸収するように進化するのでは?
Q:僕は今回の授業で不思議に思ったのは植物が緑色をしているとうことである。緑色は波長的にも吸収しにくい色である。その理由として授業では光合成においては緑の波長を吸収しないから個体自体が緑であっても関係ないということでした。その際に人の目にも緑のほうがよいとおっしゃっていて、そこに疑問を抱きました。昔から植物は暗い緑のような色をしていたと考えられています。人よりも先に生物が存在しているため、人の目が緑をあまり吸収しないような構造をとっているのではないかと考えられる。したがって緑は見やすいという観点から黒板なども緑が採用されていると思われる。もっと波長やクロロフィルの研究が進めば、光によって起こった様々な結果が得られると思う。まだ解明されていない色の仕組みについてなども調べてみようと思います。前回の授業などで紹介していた空の色の変化などの話も面白かったです。
A:何か論点が少しずつずれていく感じで、全体としての結論がよくわかりませんでした。「不思議に思ったのは」とはじめたのであれば、最後は、単なる感想で終わるのではなく、きちんとその答えを論理的に導き出して終わるほうがよいでしょう。
Q:本講義でクロロフィルはグルタミン酸を基に作られていることを学んだ。さらに人間の血液の赤い色のもとであるヘムとクロロフィルは似たような構造を持つことも分かった。ヘムもクロロフィルと同様、グルタミン酸からプロトポルフェリンIXを合成する。その後、マグネシウムを入れるとクロロフィルaになり、鉄を入れるとヘムbになる。このように植物と動物の異なる器官にある色素の構造が似ていることは不思議である。なぜこのように類似した合成経路なのか疑問に思った。原因の一つに同じ祖先から多様化した進化の過程が影響していると考える。どちらも機能は異なるが、細胞内においてヘムは酸素の運搬をするヘモグロビンの基となり、クロロフィルは光合成において光吸収をするのに非常に重要な役割を担っている。このように両方とも生命活動における大事な要素であるという点が合成経路の類似に関与しているのではないかと考える。
A:目の付け所はよいと思います。植物は、ヘモグロビンこそ持っていませんが、いろいろなヘムを持っていますので、そのあたりを考えると、全体の論理構成がまた変わってくるかもしれませんね。
Q:今回の授業では、たんぱく質や糖類や脂肪の基本代謝経路について学んだ。摂取した栄養はまず消化されて中間生成物となり、使うときは再び合成してから使うというものである。私は糖類の中間生成物である単糖と、脂肪の中間生成物である脂肪酸が相互変換可能であると聞いて、なぜこれらを同じようなものとして統一せず、明確に分けたのだろうと考えた。分子構造を見てみると、これらを構成する原子の割合は似ているが、単糖類は環状になっているのと脂肪酸は直線状になっている点で異なる。さらに文献より、糖類はその場ですぐ使うエネルギー源で脂肪は長くためておくエネルギー源というように使い道が明確に異なることがわかった。最近流行っているものに「糖質制限ダイエット」というものがある。糖質は制限するが脂質は制限しなくてもいいというものである。長くためておくためのエネルギー源を制限しなかったらダイエットにならないのではないかという疑問がまた生じる。私は、この理由を代謝経路の違いによるものではないかと考えた。つまり、糖質が単糖になる経路よりも脂肪が脂質になる経路のほうがエネルギーを多く消費するため、単糖を得るにしろ脂肪酸を得るにしろ、糖類を摂取するよりも脂質を摂取した方が太りにくいのではないか、ということである。
参考文献:http://temaeitamae.jp/health/nutrients.html
A:これも考える姿勢は評価できます。通常、大きな分子を合成するためにはエネルギーが必要とされる場合が多いのですが、逆に分解する場合には、エネルギーはむしろ放出されるでしょう。そのような生化学的な知見を考えると、最後の部分の論理はやや無理があるように感じました。
Q:今回の授業では葉の構造による光の吸収方法について学習した。しかし、表面から光が多く入ってくるため、表面からの光を十分に吸収する構造であるが裏面の光は利用せずにほとんど反射させてしまう構造であることに疑問を持った。多少ではあるが、裏面からの光を考慮するのであれば表面から厚いさく状組織、海綿状組織、薄いさく状組織で並んでいた方が効率よく光エネルギーを吸収できるのではないのだろうかと考えた。しかし、裏面が白くならない植物も存在していることも考えると機能的にこの葉の裏が白いことが関係しているのではないだろうか。そこで考えられることは、裏面で得られた光反射することによって下層に位置する葉へ光エネルギーを送っていることである。先に述べた構造をとればあらゆる方向からの光を取り入れることができるが、その位置でほとんどの光が吸収されてしまうことになる。草本植物であれば、何枚も葉が重なっているという状況はあまりないが、樹木であれば上層の葉でほとんどの光が吸収されてしまうと下層の葉が生育できなくなってしまう。そのため、葉の裏面を白くすることで光を反射し上層の葉は下層に位置する葉へ光を送っていることでより少ない葉で多くの光を独占するよりも多くの葉で光を共有することができ、結果として葉の枚数を増やすことが可能となり二酸化炭素の吸収量を増やしているのではないかと考えた。
A:面白い考え方ですね。この仮説が正しかった場合、葉が密に込み合っている植物の葉は裏が白く、葉と葉の間隔が広い植物の場合は、それほどでもない、ということがあるのでしょうか。
Q:今回の授業で植物は葉に柵状組織と海綿状組織をもつことで光路長を伸ばし光合成の効率を上げていることを学んだ。これは細胞と細胞間隙での光の屈折率の違いを利用したものである。これ以外に光を効率よく利用する方法がないのではないか、またなぜそれが利用されていないのかを考えた。葉緑体は細胞の中に不規則にあるが葉緑体をある場所にまとめ屈折率などを利用しそこに光を集めて光合成をするほうが効率がいいのではないかと考えた。しかしこの方法は葉緑体を集めた分、周りの環境や組織の損傷などに対するリスクが大きく、また光を一つに集める構造を様々な方向から降り注ぐ太陽光に対応させることが難しいため用いられていないのではないかと考えた。ひまわりのように、太陽の移動に合わせて葉の向きを変える可能性も考えたが、向きを固定しながら変えることはしっかりと葉を支えなければならず、また多くのエネルギーを必要とするため効率が結果として悪くなってしまうため用いられず、現在のような光合成のための葉の構造になっていると結論づけられた。
A:これも、自分なりに考えていてよいと思います。強いて言うと、やはり結論がやや常識的な気がしました。もちろん、一般社会では、常識というのは美徳なのですけれども。
Q:今回の講義で、インフィルトレーションをした葉では、葉の構造をうまく使うことができなくなり、光合成に影響することを学んだ。しかし植物の中には、葉に水を貯める植物も存在している。このような植物は多肉植物と呼ばれており、乾燥に耐えるための戦略として光合成を犠牲にし、インフィルトレーションした葉と似たような構造をしていると考えられる。そこで今回は、多肉植物が葉に水を貯めることで得られるメリットを考察する。
多肉植物の多くは葉の内部に水を溜め込み、葉の体積を大きくしている。また葉の形も楕円形に近いものが多く、表面積に対する体積の割合を大きくすることに寄与している。これにより、貯蔵できる水の量を増やしつつ、蒸散量の減少にもつながるので、乾燥に対しては有利である。また、比熱の大きい水を内側に溜め込むことで、外気温の変化の影響を受けづらくなる。1日の温度差が大きい乾燥地域では、気孔を開くことができない日中において、植物体の温度が上がりすぎてしまうと、タンパク質変性のリスクが大きくなってしまう。一方、温度の下がりやすい夜には、植物体の温度が下がりすぎてしまうと、酵素の活性が低下してしまい、体内の反応系が進行しにくくなってしまう可能性がある。そこで内部に比熱の高い水を貯蔵することで、このようなリスクを軽減することができるようになると考えられる。
このように乾燥に対して素晴らしい戦略を練ってきた多肉植物だが、それが仇となり葉の内部に貯蔵してある水を目当てに集まってくる動物たちが天敵になってしまった。動物からの捕食を防ぐための戦略を体現している植物としてはサボテンが身近であろう。今まで意識したことはなかったが、サボテンの祖先はもしかしすると、多肉植物なのかもしれない。
A:というか、通常の考え方ではサボテンは多肉植物に含まれると思います。ここで見落とされているのは、多肉植物では、おそらく光の吸収が光合成の律速段階となっていない点です。律速段階でなければ、わざわざ屈折を利用して光の吸収効率を上げる必要がない、という点も考慮する必要があるでしょう。
Q:今回の講義では緑色の光も多くは吸収されているとのことだった。葉の表から入った光は柵状組織を通過し海綿状組織で散乱することで少しずつ光合成に利用されているとのことである。私は何故このような非効率な方法で緑色の光を吸収し利用しているのか疑問に思った。光を最も吸収するとしたら黒色が効率がよくなるがこれは講義でもあったが光を強く吸収しすぎてしまい、害がでてしまうと考えられる。では、何故赤色や青色でなく緑色を選択したのだろうか。クロロフィルが誕生した時の海では緑色の波長の光は海の中まで届いていなかったのではないかと考えた。そのため赤や青の光を主に利用するものが主に生き残り現在にいたったのではないだろうか。それらのクロロフィルを利用する植物は、緑色の光を利用できる形態のものが生存に有利だったため、緑色の光は散乱によって利用するようになったと考えた。
A:論理がきちんとしていてよいと思います。ただ一箇所だけ、「緑色の波長の光は海の中まで届いていなかった」という部分が気になります。これは生物の側からだけの推論なのでしょうか。そうだとすると、単に生物の側でわからない謎を、海の側に押し付けただけ、という気がします。海の側での論理が生物の側の論理と符合するように論理を進めることができると説得力がまします。
Q:今回の授業で、赤色光、青色光の吸収率はともに90%であるが、緑色光の吸収率は70%であり、光合成において緑色光も意外に利用されていることがわかった。そもそも太陽光には緑色が最も多く含まれているのに植物は緑色光の使用を避けている。この理由について考えてみると、赤色光は緑色光よりも光子を多く含み、青色光は緑色光よりもエネルギーが大きい。緑色光を継続的に受容するよりも少し量が少なかったとしても赤色光や青色光を受容する方が効率良く光合成が行えるからなのだろうか。また、緑色光を反射させることで周囲の植物に光が行き渡るようにしている可能性も考えられる。
A:途中までは考えていますが、そこで、論理を追求せずにふわっと終わってしまった感じですね。もう少しロジックにこだわる必要があるでしょう。
Q:もやしは、光を受けずに育つため、クロロフィル合成を活性化できず、白いままであると学んだ。また、以前には、もやしに光を当てれば、緑色になるのだとも聞いたことがあった。私は、なぜもやしは、あえて白いままで生育するのかについて疑問を持った。まず、植物一般として、白いままでいることと、緑色になることのメリットとデメリットを考えたいと思う。前者のメリットとしては、クロロフィルを合成するために余分なエネルギーを使用しなくて良いことである。一方デメリットは、光合成ができず、自ら有機物を生成して成長できないことにある。また、後者に関しては前者と正反対で、メリットは、光が当たれば光合成によって、自ら有機物を生成して成長できることであり、デメリットは、クロロフィルを合成することにエネルギーが必要となることである。もやしが、クロロフィルを持たず、白いままであることを選んだということは、光合成をして成長するよりも、クロロフィル合成にかけるエネルギーを保存した方が生存競争に勝てたということである。「野生のもやし」が、もともとどのように生育していたかという情報は、調べていてもあまり出てこなかったのだが、恐らく、水は手に入るが、日のほとんど当たらない環境下で生息していたのではないかと推測できる。もやしは、その恵まれない環境下において、万が一光が当たるようになった時のために、クロロフィルを合成し、光合成できるような能力ももつ一方で、そうでない場合にはきちんとエネルギーをセーブして生き抜くすべを身につけているのだと言える。
A:まさかとは思いますが、「もやし」という植物種が存在すると思っていますか?「もやしに光を当てれば、緑色になる」というのは正しい情報ですし、そもそも光があたる条件では白くなりません。普通の植物を暗所で育てたものが「もやし」になるのです。そして、その意義については、広義の最初の方で話した気がしますが・・・。