植物生理学II 第11回講義
オーキシンの働き
第11回の講義では、植物ホルモンについて概説したのち、光屈性や重力屈性、そして頂芽優勢などの植物の働きにかかわるオーキシンの機能について解説しました。今回の講義に寄せられたレポートとそれに対するコメントを以下に示します。
Q:講義を受けて、光を感知するのは茎頂であるのに関わらずオーキシンに極性移動が起こることを疑問に思った。そこでオーキシンの極性移動を整理してみたい。オーキシンはPINタンパク質によって極性移動が可能になる。また、オーキシンは茎頂で分泌され、パールの実験から光に関係なく極性移動が起きることが分かる。さらにオーキシンの局在には二つの可能性が考えられる。一つは茎頂においてオーキシンが光の当たる側と反対側に集まること。二つ目は茎頂において光の当たる側と反対がでのみオーキシンが合成されることである。この二つにおいて共通するのはオーキシンが偏るのは茎頂においてのみであり、茎を通るときは地面の方向に向かって移動するという事である。以上から、茎頂のみに光の影響を受けPINタンパク質を移動させる因子があり、茎にはそのような因子は存在せず、PINタンパク質は成長過程で一定方向に固定されるという事が考えられる。
A:きちんと考えて書いていることはわかりますが、欲を言えば、もう少し何らかの独創性がほしいところですね。わざわざ茎頂と茎とでそのような違いを生み出す理由など、考える種はいろいろあると思います。
Q:植物ホルモンの一種のエチレンについて少し調べてみると生長を阻害、花芽形成を抑制する作用があることがわかった。このことから果実や野菜を作る植物はエチレンが作用していると考えられる。例えばジャガイモ・ニンジンなどの根菜は根に養分を貯めるためエチレンを作用させていると考える。花が小さいことからもそう考えることができる。このことからエチレンを果実・野菜が作られる時期に多く分泌させることができればもっと栄養価が高い果実・野菜ができると考える。
A:確かに最初の概説部分でエチレンについて触れましたが、実際の話はほとんどオーキシンでしたよね。講義のページを見れば、今後の回でエチレンについて触れられることもわかるはずだと思います。なぜ、今回エチレンについてレポートを書くのかがいまひとつわかりません。概説では複数のホルモンを比較したわけですから、ほかのホルモンと比較してのエチレンの特徴について取り上げるのであればわかりますが。
Q:今回植物の重力を感じる部分は根の先端にある人間でいう耳石のようなものであるという事を学んだ。ここで、なぜ人間は耳に、植物は根に重力を感じる器官があるのか疑問に思った。まず、植物の根は植物体を支えたり水分の吸収を行ったりと非常重要な部分である。根端分裂組織は根の先端にあり、根の成長に非常に重要な部分である。ここに重力を感じる器官があることによって、根の成長の進行方向がしっかりと下へ向かっているかという事を敏感に感じることができると思われる。また、人間では成長によって体が上に大きくなっていくので、真っ直ぐ上へと成長しているのかというのを感じるという点で重力を感じる器官が耳にあるのではないかと思われる。
A:考え方は面白いと思います。ただ、植物の方はともかく、「人間では成長によって体が上に大きくなっていくので」というのはいかがなものでしょうか。子供のころから寝たきりだったら、背が伸びる代わりに横に太くなった、などという話は聞いたことがありませんが。
Q:今回の講義は主に植物ホルモンであるオーキシンについて学んだ。オーキシンの作用には様々なものがあるが私が興味をもったのは茎の伸長生長促進と根の生長阻害である。生長の促進と抑制という相反する作用をひとつのホルモンがつかさどることに疑問を感じた。どのようにして異なる作用をさせているのだろうか。考えられることはオーキシンが受容体に結合した後に出る物質が異なり、それぞれが別の経路が働くということである。根ではその経路の結果、抑制に働く因子が放出し、茎では促進に働く因子が放出されると考えられる。これを確かめるためには、茎と根でそれぞれオーキシンを加える前後で物質がどう変化するかどうか調べ、変化した物質を茎と根で比較すればよい。変化をみるにはプロテアソーム解析を用いればいいと考えられる。茎と根で変化した物質が異なっていれば、オーキシンが作用する経路が異なっているといえる。もし変化が見られなかったり、変化は見られたがそれが同じ物質であるならば経路以外の可能性を、例えば細胞内のオーキシンの濃度によって作用機構が異なるなどを考えなければならないだろう。
A:面白い点に着目していると思います。プロテアソームはタンパク質分解系の名称なので、網羅的解析系を言いたいのであればプロテオーム解析です。ただ、プロテオーム解析でわかるのはタンパク質の挙動だけですから、二次的に働く因子がタンパク質以外である場合には、情報が得られない点に気を付ける必要があります。
Q:今回の講義ではオーキシンは細胞内を極性輸送によって移動し、それにはオーキシン輸送タンパク質であるPINタンパク質が重要であることを知った。またこの極性を持ったオーキシンの輸送は芽や若い葉が供給場所の場合に起こり、充分に成長した葉が供給場所の場合には起こらないことが示された。この2つの使い分けについて考えると、オーキシンの極性を持った輸送は、植物または植物のある特定の部位が新たに形を作る際に外界からの刺激に応じるのに適していて、一方で、ある程度成長し師管を含む植物の構造や組織が定まり、個体としての成長が必要で、大きさを持って発生過程より長距離のホルモンの拡散(輸送)を必要とする場合、師管のような通道組織を用いるのが効率的になるのだと考えられる。後者のような場合でも局所的には細胞間を極性を持たずにPINタンパク質を介して拡散しているのかもしれない。
A:オーキシンの輸送の違いからその意義の違いを予想して議論できるとは、大したものです。感心しました。長距離輸送と局所輸送に結び付ける感覚は素晴らしいと思います。
Q:今回の授業で興味深かったのは、オーキシンは根の中心部を通って基部から先端に向かい先端に到達すると外側を通って基部のほうに向かうが、このオーキシンがこの先どうなるのかという話である。授業でも話があったがオーキシンは若い葉や茎頂で合成されるということから考えると、合成するだけだと増え続けてしまうのでどこかで分解されるということが考えられる。このことを証明するためにはどのようにしたらよいか考えてみる。まず根の様々な部位で単位時間当たりオーキシン濃度を測り濃度がどのように変化するかを何日間か見ることで濃度が上昇するのか、一定なのか、減少するのかわかる。いったん上昇しても時間がたった後で正常の濃度に戻っているとしたら分解されたのではないかと考えることができる。一定であればオーキシンがつくられるとその分、分解しているのではないかと考えられるし、オーキシン濃度を基準にして合成したり分解しているということができる。さらに、人工的に標識をしたオーキシンを作りこれを根の基部から根の先端、根の内側のでのオーキシンが観察できる。この方法では可視化できるので標識オーキシンが分解した場所が探しやすい。このような方法でオーキシンの分解に関することがわかるのではないか。
A:これもきちんと考えていてよいと思います。前半の方法だと、やはり濃度は一定になるのではないでしょうか。基本的に生物は環境が変化しない状態では定常状態をとることが多いものです。でも標識オーキシンを使えばわかりそうですね。
Q:植物ホルモンの一種オーキシンについて、根以外において基本成長促進に関与し、植物全体において分泌されるなどのことを学んだ。その中で、濃度が10-8~10-5Mのときに作用することの意義について疑問に思い以下に考察する。植物は動物とは異なり、特定の器官から分泌されるのではない。そのため植物のどの場所でも一定の濃度がある。どの濃度でも作用してしまうと、成長させたくない部分でも輸送され取り込まれることがおこってしまう可能性がある。よって作用する濃度の上限と下限が定まっているのだと考えられる。
A:植物ホルモンの濃度の差が屈性を引き起こすという講義のレポートに対して、「植物のどの場所でも一定の濃度がある」というレポートだと、何とも答えようがありませんね。
Q:今回の講義ではオーキシンの働きについて学んだ。特にオーキシンが非常に多くの役割を持っていることが印象に残った。またその役割は似たような作用ではなく、成長の促進と阻害といったような真逆のものであった。これだけの多くの複雑な役割をなぜ植物は一つの植物ホルモンで補っているのだろうか。私は輸送の簡便化が理由なのではないかと考えた。もしも役割を様々なホルモンで分担していたらそれぞれに適した輸送を行わなければいけないことになる。そのため輸送経路は複雑化し、コストも大きいものになってしまうのではないかと考えられる。そこで植物は一つのホルモンで複数の役割を行うことでこのような問題に対処したのではないかと考えられる。
A:考え方は良いと思います。ただ、「一つのホルモンで複数の役割を行う」ためにも一定のコストは必要なはずですから、最後にそのコストとの比較をすることが必要であるように思います。
Q:植物の伸長成長をつかさどるオーキシンという植物ホルモンは植物の多くの器官を一つのホルモンで成長させている。ではなぜ植物は色々なホルモンを使わず一つのオーキシンというホルモンを使って成長するのだろうか。その理由を考察する。まず一つのホルモンで成長する大きな利点は、合成がしやすいということである。同じ成分でできたホルモンであれば材料が入手できれば量産しやすいと考えられる。また条件によって自動的に濃度差や移動量でホルモンの特性決まることによって間違った作用を起こさなくなる。
A:最後の文の意味がよくわかりませんでした。また、植物でそのような利点があると主張した場合には、動物ではなぜその利点が意味を持たないのだろうかと、もう一度元に戻って考えてみることが必要です。
Q:今回の授業では植物ホルモンであるオーキシンについて取り挙げられた。茎と根ではオーキシンによる成長促進率の最適濃度が異なり、茎で伸長成長が最大となる濃度では、根では伸長が阻害される。また、オーキシンの濃度を茎の成長促進率がほぼ0に近くなるときまで下げるとわずかながら根の生長が促進される。オーキシンは植物体内を循環しているので、オーキシンが茎と根の両方に成長促進するような濃度で存在するほうが生存に有利だと考えられるが、この関係から根と茎が共にオーキシンによって成長促進される濃度の範囲はほぼ存在しないといえる。これは茎と根が同一のホルモンによって同じ濃度で同時に成長が促進されてしまったら成長に必要な栄養素を一度に大量につかってしまいバランスがとれなくなってしまうのを防ぐために、このような機構が働いているのではないだろうか。
A:考え方は面白いと思います。ただ、一度に栄養素を使ってしまわないようにするメカニズムとしては、オーキシンで地上部と地下部を同じように制御しておいて、オーキシンの濃度を栄養素の濃度で制御するのが一番確実であるように思いました。
Q:今回はオーキシンのはたらきやそのシステムについての講義であったが、やはり気になるのはオーキシンの行方である。というのも、様々なはたらきやその移動について裏付けのある説明があったが移動して植物体にはたらきかけたオーキシンが最終的にどこへいくのか謎が多いとのこと。なのでオーキシンの行方について講義内容から自分なりに考えてみる。オーキシンと言ってもその種類はひとつではなく作用後に形を変えるもの、分解されるもの、分泌されるものがあるが、最終的に標的部位へ移動した後にオーキシンは移動前の方向へと戻るようだ。では、どこに戻るのか。まず、オーキシンのはたらきから考えてみる。茎の伸長、根の成長阻害だけ見ると植物体全体に分布していいてもおかしくない。しかしオーキシンは腋芽の成長阻害や、果実の成長促進、花芽形成誘導にもはたらき植物体の地上部へのはたらきが多く、地上部寄りの部位にオーキシンが戻っていくのではないかと考えられる。次に、オーキシン濃度の観点から考えてみる。オーキシンはその濃度によってはたらきを変え、オーキシン濃度は根の成長阻害<茎の伸長のようにはたらく。このことからも地上部にオーキシンを保存しておくことは合理的であると考える。最後に移動の観点から考える、移動は輸送機構、極性に起因しているがそもそも重力に依存することが最も合理的である、したがって地下部寄りにオーキシンを保存した場合、作用頻度の高い地上部へオーキシンを輸送する手間がよりかかる。以上のことから、オーキシンについて考えると植物体の中心を地上部寄りとして、中心部にてオーキシンを管理していると考えられる。
A:自分なりに考察していてよいと思います。ただ、「重力に依存することが最も合理的である」という部分は、少し考えないといけないでしょう。食塩水の中のナトリウムイオンには重力が働いているはずですが、重力によって下に移動するかといったら、そんなことはありません。オーキシンでも同じで、オーキシンが重力によって下に移動することはないでしょう。逆に言えば、溶液中で重力を感知するメカニズムを考案する方が難しいのです。植物は、そこで、水に溶けない(細胞レベルからすれば)大きなアミロプラストを平衡石として使って重力を検知しているわけです。
Q:植物はアミノプラストという平衡石を持っていて、光屈折によって曲がったまま植物が成長することを防ぐ。平衡石は脊椎動物にも存在していて、耳石がそうである。運動を行う動物においては、自分の状態を認識するために、重力を感知することは重要なことであるということは容易に想像できるが、動かない植物において平衡石があることは驚きであった。植物と動物を比較することは難しいが、植物においては植物体の端の部分に平衡石が存在するのに対して、動物では耳という中心寄りの部分に存在する。このことから、平衡石の存在する位置には意味があるのではないかという疑問が浮かんだので、今回は植物において平衡石が茎と根に存在することについて考察する。植物においては、光を得るために上に向かって茎を伸ばしていくことが重要である。そして、ただ上に伸びていくだけではなく、葉になるべく多くの光が当たるようにまっすぐ伸びていく必要がある。もし茎が寝てしまえば他の植物の陰になってしまったり、葉の光合成効率が悪くなったりして生存に影響があるからである。また、栄養をしっかり吸収するためや植物体の支持を行うために根は広範囲に、そしてある程度深くまでまっすぐ成長する必要がある。もし根が曲がって成長していけば地表近くに根が集まることになり、狭い範囲からしか栄養を吸収できなくなったり、地面から抜けやすくなったりしてしまうからである。このようなことから、茎や根の正常な成長(光屈折をしていない)は植物の生存にとって重要なことが予想できる。したがって平衡石は異常をいち早く感知したい茎や根に存在していると考えられる。
A:「アミノプラスト」は「アミロプラスト」、「光屈折」は「光屈性」のことでしょうね。自分で考える姿勢は感じられます。地上部は上に伸びた方がよいし、地下部は下に伸びた方がよい、というだけだと、やや当たり前で物足りない気もします。もう少し自分なりの論理がほしいところです。
Q:今回はオーキシンの生理作用について学習した。オーキシンは様々な促進・抑制作用をもつがその中でも特に注目したのが、茎の伸長促進作用と根の抑制作用である。というのも、植物の大部分を占めるこの二つの器官が、ひとつのホルモンによって相反する作用を持っているということに驚いたからだ。仮に茎が伸長生長し、根が阻害生長した場合、とても不安定な状態になる。これは単純に言うと土台がしっかりせず、上が大きくなればその分だけその物体は非常に不安定になるからだ。そこでオーキシンの感受性応答グラフを見ると、オーキシンの濃度によって、その作用を使い分けていることがわかる。つまり、そのような相反する二つ作用を同一ホルモンで制御することは通常ならば危険と感じるかもしれないが、逆にその制御がしっかりと働いていれば、同一ホルモンで行った方が安定する。このように、我々動物とは概念が異なることが植物には多々存在するということ。更には先ほど安定性の面で問題があると述べたがこれもつる植物など、茎がしっかりしていなくてもよいような植物も存在するためこうした面からでも、一概に同一ホルモンでは危険性が高いとは言いにくいと考えられる。
A:きちんと考えていると思いますが、最後の方のつる植物などの話の部分のロジックが何を目指しているのかが、もう一息つかめませんでした。
Q:今回の講義では、オーキシンとその作用について学んだ。オーキシンには茎の伸長を促進させる働きがあることは知っていたのだが、その他の様々な働きにも関与することを知って驚いた。その中でも、根と肢芽の生長阻害をするという点に特に驚いた。作用する器官は異なるが、伸長生長の促進と阻害という真反対の作用を同一のホルモンが制御している。生長の促進を行うホルモン=オーキシンというような秩序が存在した方が、植物体にとっても都合がいいように思える。なぜこのような制御機構になっているのだろうか?考えられる理由の一つ目は、オーキシンが作用するときの植物体の実状である。茎の生長を促進したいとき、植物はどのような状況にあるのか。茎を生長させたいのだから、おそらくより日光を享受できる状態になろうとしている。より日光を必要としているということは、光合成を制御している他の限定要因が過剰な状況である。つまり、水分やCO2の補給を抑制するために根などの生長を抑制する必要がある。このような一連の流れから、茎を生長させたい状況にあるときは、同時に根や肢芽の生長を抑制したい状況であることが推測できる。二つ目の理由としては、エネルギーの問題である。植物体が茎の伸長生長を行うとき、言うまでもないが多大なエネルギーを消費する。当たり前ではあるが、その他の器官を生長させるにも同様に多大なエネルギーを必要とする。つまり、茎や根、肢芽などの様々な器官を同時に生長させることは、エネルギー消費の観点から非常にリスクを伴うことであることが推測される。以上のような点が、オーキシンが器官によって生長を促進したり阻害したりする理由である。
A:似たようなレポートがありますから、独創的とは言えませんが、しっかりと考えていてよいと思います。特に限定要因に注目した議論のところなどはよく考えられていると思います。
Q:植物の平衡感覚を司る機能は、根に存在していることが印象に残った。一方、人間において平衡を司る機能は三半規管つまり頭部に存在する。植物はその場から動くことができず、最も安定している部分つまりもっとも動かない部分は根であろう。また、反対に動物は動き回ることができる。つまり、身体を考えたときに動きが少なく安定している部分は頭であるように感じる。このように、安定している部分に平衡を感知する機能がつくのかもしれないと感じた。
A:人間を中心に考えてしまうと思いつきづらいかもしれませんが、植物は、動物のように、中枢神経によって全身を制御しているわけではありません。根端のアミロプラストによって反応が制御されているのは根の方向だけです。植物の制御系は基本的に部分部分でかなり自律的なのです。
Q:前回の授業ではオーキシンが刺激に対してその局在を変えることにより屈性を制御していることを学んだ。さらにオーキシンの働きがその濃度により変わり、根と茎とでは同じ濃度でも全く逆の働きになることがわかった。ここでは濃度の違いによる働きの多様性がどの点において有利なのか考察する。濃度の違いという一見不安定な要素に頼るのは不利であり、異なる物質と拮抗させたほうが自然と考えられる。しかし同じ物質で複数の役割を持たせることで、あらゆる細胞で役割を持たせることができるという利点があると考えられる。つまりある濃度のオーキシンにより植物体全体が一度に複数の変化を直接連動させることができると考えられる。さらに恒常的にある濃度のオーキシンを生成していたとして何らかの環境の変化を感知するとき、それを濃度という情報で行うことで直接的かつ迅速に対応できると考えれられる。自由に体を動かせない植物の屈性による環境応答はその細胞成長に依存しており、細胞成長以上に環境の情報感知が遅れてはならないはずである。もし他の物質と拮抗させていたとすればその物質の合成および目的の部位への移動が必要になり、それよりオーキシンの濃度を直接変えたほうが情報伝達という面では早いと考えられる。動物の場合を考えると、濃度によって役割が真逆になることは負のフィードバックによりなされる。植物のオーキシンにおいてはこれが採用されていないと予想され、その理由はフィードバックにはその効果が出るまでに時間がかかってしまうため、ポンプを用いた血流という物質の移動に頼れない植物にとって都合の悪い機序であるからと考えられる。
A:反応の速度という点に注目して一つの論理を組み立てていて非常いよいと思います。特に、最後に、動物との比較に戻って、植物でのみそのような方法がとられている理由を考察している点が素晴らしいと思います。