植物生理学II 第12回講義
植物の低温感受性
第12回の講義では、植物の低温感受性を題材に、ある疑問から出発してどのように研究を発展させていくのかを紹介しました。
Q:低温ストレスと凍結ストレスの違いは説明されるまで深く考えたことがなく興味深かった。低温感受性植物は低温状態だと、系Ⅰが壊れてしまうという話だった。では、低温感受性ではない植物の場合、どうやって低温ストレスに対応しているのだろうか。可能性としては
1.光化学系Ⅰが少なく、光化学系Ⅱの割合が多い(低温でも機能する)
2.低温でも光化学系Ⅰを保護する機構(活性酸素を除去する)が機能する
のどちらかが考えられた。2については遺伝子組み換えによる耐低温植物の作成に応用されているようで、確認できた。少し調べていて熱ショック蛋白質を発現させると植物は様々なストレスに耐性を持つようなことが書かれていたんですが、よくわからなかったので可能であれば解説してください。
A:熱ショックタンパク質の中で代表的なのは、タンパク質の立体構造の維持に働く一群のものです。特定の機能に働くというよりは、様々な機能を持つタンパク質を正常な状態に保つ働きをしています。なので、各種のストレス条件下などにおいてタンパク質の機能が失われるのを防ぐことができると考えられます。あと、レポートの前半部分ですが、2種類の光化学系は直列につながって機能しているので、どちらか単独では意味を持ちません。ですから、低温に弱い方を減らして強い方を増やしても、それによって低温に強くなることは残念ながらありません。