植物生理学I 第5回講義
緑色でない葉
第5回の講義では、紅葉など、緑色ではない葉について、その意味合いを考えながら講義を進めました。以下に、いくつかのレポートをピックアップしてそれに対してコメントしておきます。
Q:講義でキャベツの結球部分では光合成が行われるのに対して紫キャベツの結球部分では光合成が行われていないことが紹介されていたのでこの理由について考察する。キャベツの系統樹を確認するとケールが元となってしばらく世代を経てから、葉牡丹と呼ばれるキャベツの原種が生まれ、ここから紫キャベツが種分化し、緑キャベツが最も新しい種として分化したことが分かる[文献1]。キャベツと紫キャベツでは収穫時期が異なり、品種による差はあるが緑の葉を持つキャベツは春先に種蒔きをして初夏に収穫することが最適と書かれており、紫キャベツは夏に種蒔きをして11月下旬から12月初旬頃の冬に収穫することが最適とされている[文献2][文献3]。ここで葉牡丹に関しても、冬になると色づいて採取されることから遺伝的に葉牡丹と紫キャベツは近いことが推測できる。葉牡丹は元の葉の色は緑色として成長するが、冬になって気温が低下すると葉緑素が抜けて白い葉になる種と赤い葉になる種が存在して、前者は葉緑素しか持たないことから白くなり、後者はアントシアニンも持つことから葉緑素が抜けた際に鮮やかな赤い葉に変化する。この色が変化する理由として考えられるのが、低温ストレスによる葉緑素の分解である。低温条件では植物細胞の酵素の働きが失活したり、光合成で生成したエネルギーを消化しきれないために活性酸素が生成されて光合成機能障害を引き起こすので、葉で光合成を続けないようにする働きが強くなる。すなわち葉緑素を分解するだけの種と、それに加えてアントシアニンによって太陽光の吸光を防ぐ種が存在すると考えられる。葉牡丹から品種改良が進むと、多数の葉が外側から内側にかけて生えて、その後葉の生育が詰まると中心部から球状に葉が生えていく種が現れる。これが紫キャベツである。全体として葉牡丹と同様に低温条件に弱く、育ち初めは夏の暖かい時期であるから、外側から光合成のできるような緑の葉を備えて育っていくが、冬になると葉緑素を持っていた外側の葉が紫色に変化し、内側の結球部分に生えてくる葉は光合成機能障害をさけるために光合成の機能を持たない葉が育つと考えられる。さらに時代が進むと、日本の温暖な気候に対応できるような、初夏にも栽培できるキャベツが品種改良で生まれていった。このキャベツは一貫して比較的暖かい時期に外側の葉から内側の結球部分の葉まで成長するので、どの部分も光合成の機能を落とすことはなく緑の葉として成長する。なお、現代の品種改良されたキャベツに関しても低温にさらすことで一部の葉が紫に変わることが観察されている。したがって、キャベツと紫キャベツの結球部分の光合成機能の有無は、生育する温度が品種改良によって変化したためと考えた。
文献1:カゴメ株式会社,芽キャベツの栄養や由来、旬の時期、簡単レシピなどまとめ,https://www.kagome.co.jp/vegeday/nutrition/201710/8492/,2023/11/10
文献2:大和農園グループ,キャベツ・ハイボール,https://www.yamatonoen.co.jp/product/leaf-vegetable/cabbage/Y0150/,2023/11/10
文献3:大和農園グループ,キャベツ・紫丸,https://www.yamatonoen.co.jp/product/leaf-vegetable/cabbage/Y0313/,2023/11/10
A:これは一般的なレポートとしては悪くないのですが、この講義のレポートとしては、事実の解説になっているので物足りません。何らかの形で、自分なりの考えを展開する必要があります。強いて言うと、最後の一文は「考えた」となっていますが、複数のステップを踏む論理展開にはなっていません。
Q:授業内で、虫食いの葉に見せるために斑入りにしている葉が存在していることを学んだ。この利点はかなり大きく虫から葉を食われることがなくなる。しかし実際この大きな利点があるにもかかわらず、斑がない葉がかなり多い。つまりあえて斑入りにすることに対してもそれ相応のデメリットが存在することが考えられる。このデメリットとしては、斑入りの場所には葉緑体が存在しないので光合成の効率が小さくなることが挙げられる。しかし虫食いに擬態させるために必要な面積がちいさいことを考えるとこの理由は説明がつかない。ここで斑入りが少ない植物を思い浮かべると、かなり日光が当たりやすい植物に多いことが思い付いた。斑入りの場所は葉緑体がないので色素が少ない。もし色素が少ない斑入りの部分に日光が当たりすぎると、葉焼けがおこってしまう可能性が考えられる。斑入りにすることは、このように葉の生存に影響を与えるんではないか。
A:これは自分なりに考えているようですが、論理展開が少し明確でないように思います。例えば、「色素が少ない斑入りの部分に日光が当たりすぎると、葉焼けがおこってしまう」という根拠は何なのでしょうか。例えば、色素が少なければ、光が当たっても通り過ぎるだけなので、葉焼けが「おこらない」という論理も可能であるように思います。そのあたり、自分の考え方があるのでしょうけれども、それをきちんと人に分かるように説明することが重要です。
Q:街路樹として植えられているツツジ属の株のうちひとつに、上部についている葉の一部で葉脈の周りだけ黄化しているものがあるのを見つけた。これは本授業で紹介されたヒヨドリバナの症状に似ていたため、これもウイルス感染によるものであると考えた。一方で、葉が黄化するウイルス感染では、必ずしも葉脈の周りだけが黄化する症状が現れるわけではない。正確に調べたのではないので断言はできないが、むしろ、葉全体に黄斑が現れる等の症状の方が多いように感じる。また、葉脈の周りだけ黄化から逃れられている症例も見受けられた。(例:https://www.ims.riken.jp/poster_virus/pathog/agriculture/ に掲載の画像) ヒヨドリバナとツツジで酷似した症状が出ている以上、葉脈周辺の黄化の出現に、種を超えて適応できる共通のメカニズムがあることは考えられるが、なぜ同じウイルス感染のなかでも黄化する場所が異なるものがあるのだろうか。考えられる一つの理由として、ある型のウイルスが葉脈の周りだけに感染しやすいというものがあるだろう。ただし、維管束器官のうち茎ではなく葉のものにだけ影響を及ぼすようなウイルスが本当に存在するのか、私は可能性が低いと思う。
そもそもウイルス感染で黄化現象が引き起こされる原理の一例として、ウイルスその他の産生物が(植物の自己免疫疾患を誘導するような形で)クロロフィルの合成を阻害するというものが調べられた(1)。ほかの黄化現象についても、ウイルスの産生物が植物の代謝をどこかで阻害していると考えてよいだろう。この原理からすると、ウイルスの産生物が葉のどこに蓄積しやすいかで黄化のパターンも変わってくると考えることができる。どのようなパターンの黄化現象についても、葉内の物質移動のパターンが異なると説明できるので、原理としてはありうるかと思う。
このことを踏まえると、黄化現象に対してもし薬を作る場合は、薬に葉の一部へ局在させられるような修飾を施してから投与すると経済的であるだろう。例えば、ウイルスタンパク質が葉の外延部に蓄積して黄化を引き起こす場合、葉の外延部に蓄積するにしたウイルスタンパク質分解酵素含有の薬を少量投与するだけで、黄化による収量低下をある程度抑えられるかもしれない。
(1) 志村 華子, 増田 税 「総説 植物のRNAサイレンシングとウイルスの病徴誘導」 "ウイルス" 62 巻 (2012) 1 号 doi: https://doi.org/10.2222/jsv.62.19
A:よく考えていてよいと思います。問題設定としては「特定の場所だけがなぜ種を超えて黄化するか」ということだと思いますが、答が「特定の場所だけに産物が蓄積するから」ということだとすると、結局、「では、なぜ特定の場所だけに産物が蓄積するか」という問題が生じるだけなので、あまり解決した感がないように思います。その点が少し残念です。
Q:今回の講義では、植物の紅葉に見られる赤色色素アントシアニンが光合成色素ではないこと、植物によっては紅葉している葉には一切光合成色素が含まれていないことを学んだ。そこで、植物に含まれるアントシアニンの役割について調べてみたところ、アントシアニン類は太陽光からくる紫外線からの 毒性を防ぐ役割をしている[1]という事が分かった。では、なぜ紅葉の時期(9~11月)になるとクロロフィルが消え、アントシアニンが増えるのだろうか。太陽光から受ける害を少なくしたいのであれば、太陽光が強い夏頃にこそアントシアニンを蓄えておくべきである。考えられ得る理由の一つが、落葉に向けた機能の変化である。植物の葉は、先述したような太陽光が強い時期には紫外線による害を受けるものの、それと同時に多量の光エネルギーを使って光合成を行うことが出来る。植物にとって、紫外線による害を光合成による利が上回っているため、アントシアニンが生成されないのではないだろうか。一方で秋から冬になると、日光の照射量が減り、光合成による利が減ると葉は落葉へと向かいクロロフィルを減らしていく。これにより日光による害が(太陽光が強い時期よりも)大きくなるため、この影響を削減するためにアントシアニンを形成するのではないかと考えられる。これらを踏まえると、アントシアニンの合成/維持コストはクロロフィルのそれよりも低く、季節の進行による太陽光照射量の減少によりクロロフィルの合成/維持が「非効率」であると判断された際に、クロロフィルの合成/維持を停止し、より低いコストで太陽光から受ける害を低減できるアントシアニンの合成/維持に切り替えるのではないかと考えた。
[1].武田晃治・和田 薫・砺波雄介・佐藤純.村上敏文・新村洋一「植物色素アントシアニンのヒドロキシルラジカル消去活性を可視化した理科実験教材開発とその教育効果」『東京農業大学農学集報』61巻2号(2016)p77より
A:これもよく考えていてよいと思います。ただ、「葉は落葉へと向かいクロロフィルを減らしていく。これにより日光による害が(太陽光が強い時期よりも)大きくなる」という部分の展開が理解できませんでした。クロロフィルが減ると光合成が減るのは理解できますが、なぜ日光による害が大きくなるのかの説明が一言欲しかった気がします。
Q:キャベツと紫キャベツの違いにおいてキャベツの葉は葉緑体が存在するので光合成を行うが、紫キャベツは葉緑体をもってなくアントシアン色素であるため、光合成を行わない。動画で述べていた通り、別の場所で光合成を行うので成長はできるとあったが、各葉で栄養を生み出せない完全にキャベツに劣る植物が存在する理由を考える。まずは人為的理由で、人間にとっては食用としての視覚的な魅力を高めるために存在することである。生物の優劣関係なしに人間がそのような植物を求めるから栽培するという単純な理由である。次にキャベツより優っていると考えれあれる点はストレス耐性が強いことだ。葉が光合成しないことは裏を返すとその葉の持っている水分や栄養素を節約することで、乾燥や寒さなどの厳しい環境下でも生き残りやすくなる進化の一つであると考えた。一点の部分で光合成をすることによって効率よくエネルギーが生成され、厳しい環境でキャベツよりも生育しやすい利点がある。
A:これも、よく考えていると思います。ただ、「葉が光合成しないことは裏を返すとその葉の持っている水分や栄養素を節約することで、乾燥や寒さなどの厳しい環境下でも生き残りやすくなる」という部分のロジックが理解できませんでした。もし、節約が必要なのであれば、光合成しない葉など作らないのが一番の節約ではないでしょうか。
Q:キャベツは結球部分にもクロロフィルを持つのに対し、紫キャベツが結球した部分にはクロロフィルを持たず、最も外側にある葉にのみクロロフィルを持つ理由について考察する。葉にクロロフィルを持たないことのデメリットとして光合成効率が下がることが挙げられるが、その一方で葉緑体をつくるためのコストを削減できるというメリットが挙げられる。キャベツと紫キャベツはどちらも結球性を持つが、結球性を持つことで内側の葉にはあまり光が当たらなくなる。光が当たりにくい部分にクロロフィルが多く存在していても、光合成により得られるエネルギー少なく、クロロフィルをつくるためのエネルギーの方が大きくなってしまうために、紫キャベツはクロロフィルを結球部分には持たず、外側の葉にのみ持つことで、クロロフィルをつくるためのコストと、それにより得られるエネルギーのバランスを最適化しているのではないかと考えた。また、紫キャベツはアントシアニンが豊富に含まれており、栄養素の観点からはキャベツよりも優れていると言えることから、食用に品種改良が繰り返されてきたキャベツの形態なのではないかともいえる。また、先ほど述べた理由から結球部分にもクロロフィルを持つキャベツ(緑)はエネルギー効率が悪いといえるが、紫キャベツよりも一般に苦みが少ないので、味の観点からはキャベツ(緑)の栽培が進んだのではないかといえる。ここで、上記の考察を行う過程で、光合成効率の観点からは結球性をもつことは不利になるにもかかわらず、なぜ結球性をもつのかについて疑問に思った。参考文献*1には「キャベツはもともと地中海沿岸に起源する野菜です。そのため冷涼な気候を好み、暑さは苦手。種子の発芽適温は15~30℃で、生育の適温は15~20℃。」とあり、発芽した後に結球が始まる生育期間の適正温度は15~20℃と比較的低い。このことから、発芽した後に成長する時期には気温が下がるために、結球することで寒さによる影響を受けにくくしているのではないかと考えた。
参考文献 *1.大和農園グループ, もっと知りたい野菜づくり, 2017-02-02掲載,https://yamatonoen.co.jp/information/special/261/, 2023-11-11参照
A:よく考えていてよいと思うのですが、最後の部分のロジックが理解できませんでした。生育期間の適温が低いのであれば、必要なのは寒さ対策ではなく、暑さ対策では?
Q:ムラサキキャベツの原種は、通常の緑色のキャベツと同じく、ヤセイカンランであるという話を、進化生物学の講義で聴いたことがある。ヤセイカンランは、緑色の野草であり、人間による品種改良で、キャベツのみならず、カリフラワーやブロッコリーも育成されるようになった。進化生物学の講義で、ヤセイカンランを原種とする野菜の写真をその他にも多く見たが、紫色の葉を持つ野菜はムラサキキャベツ以外見なかった。つまり、紫色の葉を持つことは、原種を同じくする他の栽培種と比べれば、数少なく特殊な形質だと言える。では、ムラサキキャベツにおいて、このような特殊な形質が保持されているのはなぜなのか。以下に考えた理由を2つ示す。
1つ目は、葉緑体を合成する分のエネルギーを成長に回せる点である。成長には、栄養成長と生殖成長の2通りがある。この2通りの成長にエネルギーを割くことで、ムラサキキャベツは成長することも、子孫を残すこともできる。2つ目は、葉物野菜に産卵するチョウからの食害を防御できることである。葉物野菜に産卵するチョウの狙いは、葉の色と幼虫の体色が類似していることを利用して、幼虫を天敵から守りながら、葉を幼虫の食物として与えることである。しかし、ムラサキキャベツでは、緑色をしたチョウの幼虫の体色は目立ってしまうため、チョウは卵を産み付けにくくなる。すると、ムラサキキャベツは、チョウの幼虫による食害を受けにくくなり、成長を妨害されにくくなる。
以上2つの理由から、ムラサキキャベツは、紫色の葉を持つことで、緑色の葉を持つ他の種よりも成長しやすく、子孫を残しやすいという点で生存に有利な形質を獲得していると言える。この成長しやすく、子孫も残しやすいというメリットが、葉緑体をできない分の光合成速度の低下というデメリットを上回っているため、紫色の葉を持つ特殊な形質が保持されていると考えられる。
A:論理的に考察されていると思います。生物学という観点からすると、「紫色の葉をもつ」という形質が「特殊」なのであれば、普通の植物は、「光合成速度の低下というデメリットを上回って」おらず、紫キャベツでは上回っていることになりますよね。そうであれば、その差が何によって生じるのかが重要なので、その点の考察が欲しいところです。その差が多様性を生み出していることになりますから。
Q:今回の授業で取り扱われた斑入りの葉について、なぜ斑入りの葉が生じるのか、その生物学的な意義について考える。授業ではウイルスによる要因と遺伝による要因の2つが紹介されたが、特に遺伝的な要因について考える。まず、授業内で紹介された虫食いの葉に関して、虫食いを受けたような斑入りの模様を作り出すことで、虫を錯覚させて葉に卵を産ませないようにするという考えが非常に面白いと思った。これに似た、斑入りの葉が生まれる原因について、いくつか予想してみると、これとは逆の考えで葉を目立つように模様をつける葉があるかもしれないと考えた。例えば、ある花に付いている葉が、美しく目立つような斑入りの模様を付けることで、蜂や鳥などの花粉を運ぶ生物を呼び寄せて、受粉を手伝ってもらう役割を果たしている可能性があると考えられる。また、それは人間にも言えることで、人間が斑入りの葉に美的価値を見出し、品種改良を重ねていったことで、斑入りの葉が流通していったことも考えることができる。また、先ほどの虫食いの話と似た部分があるかもしれないが、斑入りの葉にすることによって、葉緑体を少なくし、捕食者が栄養の少ない斑入りの葉を食べるのではなく、綺麗な葉をターゲットにするように仕向ける可能性もあるとも考えられる。
A:悪くないと思います。一つのアイデアを出してそれについて論じている感じですね。もう少しロジックが前面に出ると、もう少し科学的なレポートになると思います。
Q:今回は葉の赤い原因のアントシアニンに焦点を当てて考察する。この中で考察するうえで紅葉の仕組みを知る必要があったので、順番に考察していく。紅葉して赤くなった葉にはアントシアニンが多く液胞にふくまれており、この葉はいずれ落とすため資源として貴重な葉緑体は含まれておらず、光合成をしない。まず第一に子どもむけで簡単なことだが確認として、なぜいずれ落とす葉にアントシアニンをわざわざ多く含む必要があるのか。単純に葉緑体だけを回収してしまえば良いのではないか。そして、アカカタバミという植物は全体が赤く同様にアントシアニンを含んでいるが、これは葉を落とすというわけではなくこの赤い植物体全体で光合成を行っている。緑色のカタバミもよく見かけるが、なぜ光合成色素を持っているのに、アントシアニンが多いアカカタバミと普通の緑色のカタバミがあるのか。まず紅葉の仕組みについて簡単に調べた。植物の葉にはもともとクロロフィル(緑色)やカロテノイド(黄色)などが含まれており、気温が下がるとクロロフィルが分解されカロテノイドの黄色が目立つようになる。そして今回焦点を当てたアントシアニンは、光を遮りクロロフィルが吸収する光を減少させることで、分解中の光合成装置のクロロフィルから活性酸素が作られてしまう恐れを少なくする役割をもつ1。この活性酸素については前回のレポートで光阻害について自分で学習した。この理由から、植物が葉を完全に捨てる前にわざわざアントシアニンを合成する理由がわかった。そして、次にカタバミについて考察する。上記の紅葉でアントシアニンの役割が、活性酸素による余った光エネルギーからクロロフィルを守るという役割を考慮すると、アカカタバミの方が光による害を防ぐために光の強いところに生息し、緑色のカタバミは光が害にならない程度の強さ(アカカタバミが生息しているところよりも光の弱い)の場所に生息していると考えられる。春学期に植物形態学・実験でカタバミを見た時に、まさに赤い色をしたカタバミが一番背丈が高く、中間の色が背丈も中くらいで、最も緑色をしたものが背丈が低いというレポートを自分で書いていた。全体が赤いアカカタバミは普通の緑色のカタバミよりも上方を生息域として選び光合成を行えるように生存競争をする中で、上層部でも光阻害の影響を受けにくいように同時に進化していったと考えられる。以上のことから、アカカタバミは普通のカタバミと違いアントシアニンを全体に含みながら葉緑体も植物体全体に分布させ光合成を行っていると考えられる。
1 福岡県環境部自然環境課野生生物係 , “生きもの雑学コーナー” , 生物多様性情報総合プラットフォーム 福岡生きものステーション , 紅葉はなぜ起きる? ~葉の色が変わる仕組み~ | 生きもの雑学コーナー | 県内の動植物種について知りたい(身近な生きもの) | 生物多様性情報総合プラットフォーム 福岡生きものステーション (fukuoka.lg.jp) , (2023/11/07) .
A:少し前半が冗長な気がしますが、そのあと、生育光環境に注目している点が評価できます。光阻害の回避、というだけで終わってしまうと単発の推測ですが、そこから生育光環境を推定して、実際の生態と結び付けて考えたことによって、ぐっと引き締まったレポートになっています。