植物生理学I 第2回講義

形は機能に従う

第2回の講義では、植物の葉の形態の共通性と多様性を考えることにより、それらが何に由来し、何を意味しているのか、という点を中心に講義を進めました。以下に、いくつかのレポートをピックアップしてそれに対してコメントしておきます。なお、面白くて紹介したいレポートでも、今後の講義の話題に関するものについては将来的な重複を避けるために掲載しないことにしています。

Q:授業でサボテンについての話題があった。乾燥した地域に生息するサボテンは蒸散による乾燥を防止するという機能を考えた場合、葉を棘という形すら残さずに無くす選択肢もあると考えた。しかし、多くのサボテンは棘として残している。これは何故なのか棘の役割はなんなのか考えた。まずは外敵から身を守るために棘を残していることが考えられる。乾燥した地域で多くの水分を含むサボテンは貴重な食糧であると考えられる。また、中部大学の研究によると前述の自己防衛の他に、綿毛のような棘で全身を覆うことによる紫外線遮断、温度調節。それに加え、棘が動物の体に着くことを利用した繁殖に利用する種もいるようだ。

A:このレポートの場合、最初の3文が前置き、4文目が問題設定で、5文目が解答、6文目がその理由ですね。それ以降は中部大学の研究の紹介なので、この講義のレポートとしては評価対象となりません。つまり、レポートとしての評価対象は、「サボテンの棘の役割は何か」ー>「水分を含むサボテンは乾燥地域では貴重な食糧である」ー>「外敵から身を守るのに役立っているのだろう」という部分です。ロジックとしては成り立っているのでレポートとして最低限の条件をクリアしていますが、もう少し大学生らしい展開が欲しいところです。なお、このように、他の人/機関の発表内容を紹介するときには、必ず出典をつけるようにしてください。


Q:今回の授業で、植物は茎頂と根端からしか成長しないことを学んだ。それは人間が分裂細胞を全身に持っているのに対し、植物の分裂細胞は茎頂と根端に存在するからだ。では、どんな得があって植物は茎頂と根端からしか成長しないのだろうか。根端に関しては、根が土の中にあるために成長するときに受ける抵抗を、最小限に抑えることで余分なエネルギーを使わなくて済むからだと考えた。根は土の中にある以上、成長する際、土を押しのけなければならない。もし、根の途中から成長させると、その成長部分より先の長さが長いだけ、土の抵抗は大きくなり、余分なエネルギーを使ってしまう。茎の成長については、茎頂以外の部分からも成長してしまうと、節間がずれてしまい、成長するたびに葉に効率よく日光が当たるよう、調節しなければならなくなるからだと考えた。茎頂のみ成長させていけば、すでにある節や葉に合わせて成長すればよく、効率よく成長できる。

A:これは、問題設定も明確ですし、考え方も面白いと思います。強いて言うと、「節間がずれてしまい」という部分をもう少しわかりやすくできるとよいかもしれません。


Q:葉の形を変えるためには細胞の数または大きさを変化させるという2つの仮説が考えられるということを学んだ。シロイヌナズナのan、rot3変異体では葉の幅と長さがそれぞれ減少した。an変異体では細胞の幅の減少が葉全体の変化の原因となっていることが突き止められたが、この現象は具体的にどのような機構が働くことにより起きているのだろうか。遺伝子の変異により起きた変化であることからその最終産物であるタンパク質が関わっていると考えられ、そのタンパク質の働きについて考察してみる。細胞の生長について調べると、「細胞がどの方向に生長するかは,細胞壁の構造,特にセルロース微繊維の方向が決めている。(中略)微小管の方向が微繊維の方向を決めていることになる」(1)とある。つまりこの遺伝子が変異する事によって細胞内の微小管の方向が変化し、細胞の成長方向が水平方向ではなく垂直方向に変化するのである。微小管自体もタンパク質から成るが今回は方向を変えるということであるから本体とは関係ないだろう。ここで考えられるのはモータータンパク質ではないだろうか。物質を動かすにあたって大いに仕事をしているのがこのタンパク質であり、エネルギーを消費することで様々な細胞小器官を輸送している。変異型an遺伝子は自身がコードするタンパク質で分子量の大きい微小管自体を動かすのではなく微小管の合成経路にかかわる物質を輸送することによりその配置を変え、結果的に微小管、ひいてはセルロース微繊維の方向を変えることに役立っていると考えられた。
参考文献(1) 塩井祐三 井上弘 近藤矩朗 ベーシックマスター植物生理学 株式会社オーム社, 2009年, p30

A:これは問題設定が明確で、それに対して自分なりの考え方を示していてよいと思います。微小管自体のタンパク質が違いの原因であるという仮説に一度触れてから否定しているのも、最後の結論に収束させていく際の説得力を増しています。


Q:今回の授業で葉の大きさは葉の中の細胞数で制御しており、基部でいまだに細胞分裂している途中なので、葉の最終的な大きさが決まっていないにも関わらず、先端にある細胞の大きさはすでに決まった大きさになっているというものがあった。では細胞自体の大きさで調節するのではなく、細胞数で調節するメリットは何があるのか疑問に思ったので考えたいと思う。まず第一に考えられるのは、細胞を大きくしてしまうと耐久性が低下してしまうと考えられる。例として、水風船はあまり水を入れない状況だと地面に落としても割れないのに対し、満杯になるまで入れると、低い位置から落としても割れるようになってしまう。これを防ぐためには細胞を大きくするのと同時に細胞壁も厚くすることで強度を保つことができるが、その分材料が必要になると考えると、細胞を大きくするメリットがなくなってしまう。また、光合成の関係で葉を厚くできないため、防御面は弱くなってしまい、虫や病気に攻撃されやすい葉では限られた細胞に役割を集約してしまうと、一つの細胞が壊れただけで大きなダメージを受けることになってしまう。さらに、細胞が大きいと再生させようとしたときに、一つの細胞を作る時間が長くなってしまうため、すぐに修復できないことになってしまう。これらのように、葉は危険にさらされることが多いので、防御面に優れている策を取ろうとしたときに細胞の大きさで全体の大きさを制御するよりも、細胞の数で起き差を制御する方が優れていたのではないかと考えられる。

A:最初の一文の講義内容の紹介の所は少し誤解を招く部分がありますが、その後は、問題設定が明確で、かつ、複数の可能性をきちんと考えていてよいと思います。


Q:植物の葉はほとんどが平たい形態をしているのは、太陽光の密度の低さが影響していると聞いた。しかし、なぜ多くの葉が楕円形をしているのか、私は気になった。同じ面積であれば丸い形でも四角い形でも良いのではないか、と疑問に思った。葉がたれ下がらないように、葉の強度を上げる事に関しては葉脈を通す事で、楕円であるのと同じく保てると考える。私が考えるに、四角い形にする事に関しては、90度の角を付ける事は自然に起こる事ではなく、無駄にエネルギーを使ってしまうのではないか、と考える。しかし、丸い葉に関しては例があった。ペペロミオイデス等である。インターネットで丸い葉を調べてみると、一覧で出てくるのは観葉植物がほとんどであった。また、肉厚のありそうな葉ばかりであり、「太陽光を効率よく吸収するために平たい葉が多い」という自然の論理に少々反していると考えるため、これらの丸い葉を持つ植物は自然にはなく、人間が品種改良し、できた植物なのではないかと考える。植物において、四角い葉は作るのにエネルギーを消費しすぎるので、発生しないし、丸い葉は肉厚のある植物ばかりであったので自然には発生せず、作られた品種のものであると考える。

A:これも問題設定は明確ですね。「90度の角を付ける事は自然に起こる事ではなく」という部分がやや論理性に欠ける気がしますので、そのあたり、もう少しかっちりした論理展開にできるとよいと思います。最後の品種改良の影響をきちんと考えているところもよいと思います。


Q:生物が地球上で生きるためにはエネルギーを得る必要がある。そのエネルギー源の一つが太陽である。太陽は自身に3.8×1026[w]ものエネルギーを持っている。そのうち地球に届くエネルギーは1.8×1017[w]で、これは一メートル四方の面積あたり1.4[kw/m2]のエネルギーが得られるとわかる。太陽エネルギーを一時間分貯めれば、人類が消費するエネルギーの一年分を賄うことができる。これより、太陽エネルギーをメインのエネルギー源として扱えば今現在世界中で問題となっている地球温暖化問題の解決の手立てになるかと思われるが、実際はそのように上手くいくことはない。
 太陽よりエネルギーを得る上で問題となるのは、エネルギー効率の悪さである。「太陽エネルギー一時間分は人類のエネルギー消費一年分」と前述したが、これはあくまで太陽エネルギーの変換効率が100%だった場合である。実際にソーラーパネルを用いてエネルギー変換しようとすると、主流であるシリコン系太陽電池では変換効率は大体14?20%、最大でも29%1)と言われている。他の太陽電池でも40%にも満たないくらいである。それに太陽エネルギーは天候によって得られる量に偏りが生じてしまうし、地球上全体で太陽光をエネルギー変換するわけではないのだから、到底一時間で人類のエネルギー消費を賄えるわけがない。それだったら別のエネルギー変換(火力や原子力など)を用いた方が断然効率が良いのである。
 人間からの観点で太陽エネルギーについて考えたが、これより考えられるのは太陽エネルギーだけでは生物が生きるために必要なエネルギー全てを賄えられないということである。植物においても光合成のために太陽光を得ようと葉を大きくしたり位置を被らせないようにしたりと工夫しているが、それだけではエネルギーは足りず地に根を張り地中や水からエネルギーを得ている。生きるためには太陽エネルギーが必要だがそれだけでは生きることが難しいというのは、生物の仕組みが複雑であることを示しているのだと考えられる。
1)国立研究法人NEDO, ”世界一のモジュール変換効率40%超を目指す、太陽電池開発中”, https://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201111sharp/index.html,2012/2

A:3段落からなる比較的長めのレポートですが、最初の2段落は講義の内容の繰り返しなので、評価の対象にはなりません。3段落目は独自の考察のようですが「地に根を張り地中や水からエネルギーを得ている」というのはどこから聞いた話でしょうか?この講義のレポートでは、知識は問いませんから事実と異なることを主張しても構わないのですが、少なくとも、なぜそのように考えたのか理屈なり出典なりがわかるように書く必要があります。


Q:植物の葉の形には様々な形がある。講義より、たいていの葉は平たいということを学んだ。では、なぜたいていの葉は平たいのか。また平たくない葉は、どうして平たくないのか。これらを考察する。たいていの葉は平たいといっても、平面的な形には様々なものがある。例えば、丸かったり、手のひらのような形をしていたり、卵型の形をしているものもある。これらは個々の植物がおかれた異なる環境に応じて形が変化しているのだ。これを多様性という。また、なにか本質的な機能によっても形は制限される。これを共通性という。では、本質的な機能とはなにか。植物は生命活動を大きく分けて二つあり、光合成と呼吸がある。呼吸は植物の全体でしているが、光合成は大部分を葉に依存している。となるといかに効率よく光を集めるかが大事になり、平たい葉が効率よく光を集められると考えられる。しかし、僅かな光合成でも生命活動できるものは平たい必要はない。このような植物は防衛などその他の要因によって、葉の形を決めたりしているのだと思われる。

A:これは、ほぼすべてが講義で紹介した内容の範囲ですから、評価の対象になりません。


Q:植物の形には意味があり、目的もなく植物がその形になった訳ではないということを学んだ。そこで授業で取り扱った葉と葉柄に中心に実際に植物の形について考える。ここでは普通の葉の形とは異なるオオオニバスを取り上げる。オオオニバスはアマゾン川原産で特徴は大きな葉であり、高くは成長をせずに横に葉を広げている。葉の外周は立ち上がっている。この構造の理由は説明しやすい。葉を大きく広げている理由は光合成のためである。他の植物と同様に光を受けやすくできるからだ。オオオニバスの葉が高く成長をしないことも、葉が重なりあうことを防ぐためであると説明できる。また、あのサイズの葉に高さを加えるためには葉柄にかかる負担が大きくなる。雨水などで葉の重さが増し、葉柄が折れるようなことがあれば葉の分のエネルギーが無駄になり、足し引きにおいてマイナスが大きくなる。
 次に注目すべき点はオオオニバスの葉の外周が立ち上がっているということだ。ここで日本に生息しているオニバスと比較すると、オニバスには葉の立ち上がりが見られない。これらのことから、オニバスに立ち上がりある理由はアマゾンの気候が原因と考えられる。アマゾンの気候は高温多湿で降水量も一年間を通して多い。だから、水位変動も大きいはずだ。一方で日本のオニバスは生息域がため池と水位変動が少ない地域で生息している。これらのことから葉の立ち上がりは水面の上昇で葉が沈まないようにすることが目的と考えられる。また、葉の外周が立ち上がっているため葉に水が溜まってしまうとも考えられるが、オオオニバスの葉には小さな無数の穴があり、排水は十分である。だから、オオオニバスの立ち上がりは降水量が多い地域で水位変動に対応するためにできた機能であると考えられる。
参考文献:1.高橋俊一.”オオオニバス”.世界の植物. 世界の植物、植物名の由来 (sakura.ne.jp), (参照 2021-04-17)、2.岡山理科大学生物地球学部生物地球学科.”オニバス”旧植物生態研究室HP. オニバス (ous.ac.jp), (参照2021-04-17)

A:自分なりの問題設定に対して考えて答えを見いだしている点で評価できます。強いて言うと、1段落目は、物理的に考えると安定性の面で重要なのは「高さ」というよりも「水面に接しているかどうか」ではないでしょうか。


Q:食虫植物は、なぜ光合成だけでなく、虫を捕食する必要があるのだろうか。食虫植物は、主に痩せた土地に生息することが多い。この痩せた土地とは、日光や水などの条件は揃っているが、窒素、リン酸、カリウムなどの養分が不足している土地である。典型的な植物では、光合成をしたり、根から養分を吸収することで、成長する。しかし、食虫植物は、生育環境の関係で、根から養分を吸収することが困難である。なので、食虫植物は根から吸収することができない養分を、虫を捕食することで補っていると考えられる。なので、食虫植物が生息している土壌に窒素、リン酸、カリウムなどの養分を与えると、食虫植物は虫を捕食しなくても養分を得ることができるので、虫を捕食する必要がないと考えられる。もし、食虫植物に窒素、リン酸、カリウムなどの養分を与えると、他の一般的な植物に比べて、多くの栄養分を得ることができるので、通常の食虫植物よりもよく成長すると考えられる。

A:これは、これだけ読めば別に悪いレポートではないのですが、今回の講義内容とは直接関係がありません。レポートの題材は、講義の中身に関係するものにしてください。


Q:今回の授業において、太陽光はエネルギー密度が低いため、葉の面積を増やして太陽光をなるべく集めるようにしているという話があった。私はこのことから植物の葉をパラボラアンテナの形状にすれば太陽光を多く集めることができるのではないかと考える。パラボラアンテナ形にすることでより多くの光を集めることができるかつ、同じ光を集めるにしても、より少ない面積で済むので効率が良いと考える。

A:これは、短くてきちんと論理展開ができていないというだけでなく、科学的に考えていないようです。「パラボラアンテナは電波を集める」ー>「光を集めるのにもパラボラの形にすればよい」というのは言葉上の論理展開としてはあり得ますが、「なぜパラボラアンテナで電波が集まるのか」というメカニズムをちょっとでも考えれば、科学的なロジックはナンセンスであることが理解できると思います。科学的なレポートでは、言葉の雰囲気ではなく、メカニズムを考えて論理を展開することが必要です。


Q:植物の主根から側根が分岐するときに、根端分裂組織がどのように分裂するのか疑問に思った。植物の側根は*1「主根の頂端がやや離れた部分の内鞘(中心柱の最外層)が新たな分裂組織となり、主根の皮層と表皮を突き破って」伸びてくる。根の内皮の内側から側根が伸びるため、根の維管束の一部が分裂組織に変化していると考えられる。
*1「根の内部構造」根の内部構造 (tsukuba.ac.jp) 2021.4.17

A:別にレポートは長ければよいわけではありませんが、さすがにこの短さではきちんと論理展開するレポートにするのは無理でしょう。いずれにせよ、調べましたというだけのレポートは評価の対象になりません。


Q:生物の特徴を把握する上で、具体と抽象の使い分けが重要であると考察する。具体的な特徴から本質を見抜くことで、予想の範囲外から疑問・発見をすることができるからである。特に今回の授業で取り上げられた積み木の例では、「積み木」という具体的なものを「積むもの」という抽象的なものと認識することは、いわゆる王道である。しかしながら、積み木を「売り物」や「木」、「幼児の遊ぶおもちゃ」といったような、異なる抽象的なものとして取り上げると、別の視点を得ることが容易になる。売り物であればコスト面。木であれば繊維の方向の問題。幼児の遊ぶおもちゃであれば安全面。これらのように抽象化すると、それぞれの理由が容易に仮定できる。以上のことから、具体的なものと抽象的なものを使い分けることが、生物の特徴をを把握する上で役に立つ思考ツールであると考える。

A:これは悪くはないのですが、「別の視点を得」た結果、どのような思考につながるのかの具体例が挙げられていないので、説得力に欠けます。せっかく視点を3つほど挙げているわけですから、その中で、一番生物的な「繊維の方向の問題」を取り上げて、その問題からどのような思考を紡ぎだせるのかを具体的に記述をすれば、素晴らしいレポートになるでしょう。


Q:今回の授業で植物は個々がおかれた環境に応じて形などが変化しているということを学習した。葉には薄いものと厚いものがあるがこれも環境が関係しているのだろうか。葉が薄いものは地面に近い、低い位置に生えている傾向がある。逆に葉が厚いものは木など高い位置に生えている傾向がある。薄い葉であると踏みつけても元通りに戻ることができる。逆に厚い葉にしてしまうと折れ曲がるもしくは割れてしまうだろう。これが低い位置に生えている葉が薄い理由であると考えられる。逆に高い位置では踏みつけられることが少ないため薄い葉である必要はなく、高所になればなるほど強くなる風に耐えられるようにしなければならないため厚い葉が多いと考えられる。高所にも薄い葉をつける植物(カエデや桜の葉は比較的薄いといえるだろう)がある。この植物の特徴として落葉樹であることがあげられる。落葉樹は1年で葉を落としてしまうので葉の強度よりも葉を生成するために必要なエネルギーを節約することを進化の過程で優先させたと考えられる。以上のように、それぞれの植物の生育環境に合わせて葉の厚さも変えていると考えられる。

A:これは、問題設定が比較的明確で、それに対して自分なりの論理を展開していますので評価できます。ただ、実際の要因が「地上からの高さ」なのか「木本と草本の違い」なのか「葉の寿命」なのかの切り分けができていないように思います。3つの要因が考えられる場合には、2つの要因を同じにして1つの要因だけを変化させた条件を設定して考えたいところです。


Q:今回は、植物の形態の基本的な部分を学んだ。各器官と各組織の、3×3で成り立っているというかなりシンプルな構造であることや、茎と葉で1ユニットと認識し、シュートができるとまた次のシュートを形成していることには驚いた。また、葉脈が葉の中心にタテに1本大きく入り折れているのは、もちろん栄養や水分を行き渡らせる意味もあるだろうが、折り目があると曲がらずに、より広い面積で日光をとらえることができるためであると考えると、誰が指示したわけでもなく、そのようなメカニズムになっているのは興味深いと感じた。そもそも、葉に折り目があるという認識は全くなかった。たしかに言われてみれば、維管束を垂直になるように切ったときの断面を想像したとき、中心から端にかけて丸みを帯び、ふっくらとしてるイメージがある。最近、植物形態学・実験の授業で扱ったヤブツバキの葉もそのようになっていた。だが、絶対折り目がないといけないのかと考えると、なくても葉として機能を保てるのではないかと思える。折り目がなくても葉として機能を保てることが出来る要素の一つとして、かたさが浮かんだ。ヤブツバキは葉が比較的かたい方だと思う。葉がかたければ、しなることなく、葉全体に日光があたるため、折り目はなくてもいいだろう、あっても最小限の折り目でいいだろうと推測できる。しかし、ヤブツバキにはしっかりと折り目がついている。また、自分はいま、コロナになり在宅が多くなってから観葉植物にはまっていて、ポトスやガジュマル等を育てている。そんな観葉植物の中で、「かたい」で有名なぺぺロミア・アングラータという植物がある。成長した葉は、プラスチックのようなかたさとも言われる植物だ。しかし、こちらにもしっかり折り目がついている。したがって、折り目は葉のかたさによって変化しないことがわかる。この折り目というのは多様性ではなく、“たいていの葉は平たい”のような、共通性があるものではないかと考えた。

A:これはいろいろ考えていることはわかるのですが、話が少しずつ移っていくので、レポートというよりはエッセイのような感じです。もし、「葉のかたさ」を主題に据えるのであれば、最初に問題設定を明確にして、結論を一点に収束させていくような書き方をするとより科学的なレポートになります。