藍藻の分子生物学2003
本研究会では、最近2年間の急速なゲノム生物学の進展を受け、特にラン藻におけるゲノム生物学の研究の現状と展望について発表と討論を行いました。最新の研究動向について情報交換を行うため、論文発表以前のデータを中心にしてインフォーマルに議論する「ゴードン・コンファレンス」形式での研究集会としました。内容は主に、1) ゲノム情報を活用した光化学系と代謝系の研究(セッション1、2)、2) 代謝機能に関するゲノム情報に基づく光合成生物の進化の研究(セッション3)、3) ゲノム情報およびゲノムワイドな遺伝子発現情報の解析のための新しいプログラムとデータベースの開発(セッション4)、4) 光合成機能の環境応答とシグナル伝達についてのゲノムワイドな解析(セッション5,6)、の4つの領域に関する講演を21名の方にお願いしました。また、講演の他にポスドクおよび大学院生によるポスター発表36件を行い、ポスターセッションにも十分な時間を充てて活発な討議を行いました。
2003年12月
オーガナイザー 小俣達男(名古屋大)
福澤秀哉(京都大)
プログラム
第1日(12月5日(金))
13:00 - 13:05 福澤秀哉 はじめに
13:05 - 13:25 小池裕幸(姫路工大) ラン藻の環状電子伝達系
13:25 - 13:45 伊藤繁(名古屋大) 共焦点顕微分光、光速蛍光寿命、電子スピン共鳴、極低温法による遺伝子操作シアノバクテリア発現系の評価
13:45 - 14:05 和田元(東京大) 光合成を支えるホスファチジルグリセロールの機能
14:05 - 14:25 吉川博文(東京農大) Synechococcus sp. PCC 7942株DnaK2タンパク質のストレス応答とpsbAII mRNAの安定性へ寄与
14:40 - 15:45 ポスターセッション1
15:45 - 16:05 日原由香子(埼玉大) Synechocystis sp. PCC 6803におけるアポトーシス関連遺伝子pirinホモログの機能解析
16:05 - 16:25 田茂井政宏(近畿大) ラン藻カルビンサイクル調節に関わるCP12の分子特性
16:25 - 16:45 田中寛(東京大) Synechocystis PCC6803におけるPII結合タンパク質(PamA)の同定
17:00 - 17:20 小俣達男(名古屋大) 始源植物細胞の成立に関する硝酸仮説
17:20 - 17:40 藤田祐一(名古屋大) 原生代における酸素耐性クロロフィル合成系の創出
17:40 - 18:00 増川一(早稲田大) 水素生産増大に向けたAnabaena sp. PCC 7120の遺伝子工学的改良
18:30 - 懇親会
第2日(12月6日(土))
09:00 - 09:20 杉田護(名古屋大) Synechococcus PCC 6301ゲノム
09:20 - 09:40 佐藤直樹(埼玉大) 計算と実験との融合によるラン藻と植物の比較ゲノム学
09:40 - 10:00 池内昌彦(東京大) 好熱性シアノバクテリアの遺伝子・タンパク質の解析
10:00 - 10:20 金久實(京都大) CYORF:シアノバクテリアゲノムと細胞機能の統合データベース
10:35 - 11:50 ポスターセッション2
13:20 - 13:40 朝山宗彦(茨城大) 光応答や寿命に関与するシグマ因子
13:40 - 14:00 西川建(遺伝研) 転写因子と二成分制御系の比較ゲノム解析
14:00 - 14:20 鈴木石根(基生研) 高温、高塩濃度、高浸透圧ストレスのシグナル伝達に関わる二成分情報制御系
14:20 - 14:40 大森正之(東京大) ラン藻のcAMP情報伝達系
14:55 - 15:15 沓名伸介(横浜市大) ラン藻の概日時計入力系の研究
15:15 - 15:35 岩崎秀雄(名古屋大) シアノバクテリアの概日時計:システムとしての理解を目指して
15:35 - 15:55 九町健一(名古屋大) Synechocystis sp. strain PCC 6803のDNAマイクロアレイを用いた概日リズムの網羅的解析
15:55 - 16:00 村田紀夫(基生研) おわりに