生物学教室公開セミナー

日時:2016年12月16日(金)13:00-14:30
場所:早稲田大学50号館、2階、共用会議室A

ジョリオ型分光光度計で測定するサイクリック電子伝達活性とその他の光合成活性

高橋拓子博士(埼玉大学大学院理工学系研究科生命科学系専攻)

光合成電子伝達を駆動するチラコイド膜タンパク質複合体は、クロロフィルなどの色素・ヘムなどのコファクターを結合している。これらの吸光度や蛍光収率の変化を測定することにより、光捕集能や電子伝達活性についての情報を得ることができる。ジョリオ型分光光度計(JTS-10)は、測定光および励起光の光源とフィルターを交換することにより、光化学系Iの反応中心P700や、シトクロムの酸化還元に伴う吸収変化、膜電位変化を反映するカロテノイドシフト(ECS)測定、熱放散の指標であるNPQをはじめとしたクロロフィル蛍光測定を行うことが可能である。我々は、JTS-10を用いたサイクリック電子伝達測定により、サイクリック電子伝達活性はステート遷移によるアンテナサイズの変化に依存しないということを報告した(Takahashi et al., 2013, Nat Commun)。本セミナーでは、この研究で用いたサイクリック電子伝達測定法とJTS-10で測定可能な光合成活性について紹介する。セミナー後には、実際に機器を操作して測定を体験する時間をとる。

学外からも三重大学、東京大学、東京理科大学から参加があり、学内の教育や理工の学生・大学院生など、合計18名が参加しました。人数が多かったため、実際の機器を操作しての実習はやや手狭になりましたが、機器に触れる良い機会になったと思います。